一般的には「インデックスファンドvs.アクティブファンド」とされるけど、さっき言ったようにインデックスファンド以外がすべてアクティブファンドとされるせいで、実態としてこれはかなり乱暴な分類になっていると思う。
日興アセットは二択でなく実は三択だと言っている。インデックスファンドと一般的なアクティブファンド、そして「コンセプトファンド」の3つだ。
まずアクティブファンドにおける「ベンチマーク」について説明しないといけないかな。これはウチのあるファンドの目論見書なんだけど、一般的なアクティブファンドはこういう風に何を「仮想敵」として運用するかを宣言している。
このファンドは日本株のアクティブファンドなのでTOPIXをベンチマークとしているね。これはファンド毎に違っていて、世界株のアクティブファンドならオール・カントリー指数だったり、米国株のアクティブファンドならS&P500だったりする。
あくまで本コラムをわかりやすくするために示したものであり、具体的な商品の内容を解説するものではありません。
で、半年とか1年とか3年とかの期間を振り返ってみて、ベンチマークを上回るリターンがあげられていれば優秀だったね、そうでなければダメだったね、と評価されてしまうわけだ。
このタイプのアクティブファンドの場合、もちろんファンドマネージャーの裁量権はあるんだけど、場合によってはまったくの「フリースタイル」がしづらくなる可能性がある。ベンチマークとの短期的な勝ち負けを強く意識させられる場合、個性を出しにくくなる可能性があるってことだ。
例えば、「GAFAMは割高だから全く組み入れませーん」といった思い切った行動はなかなか難しくて、「GAFAMを入れないとベンチマークに置いていかれてしまう可能性があるから、GAFAMは同じ程度に組入れておいて、他のところで特徴を出そうかな」みたいな感じ。
これはこれで、「規律ある自由演技(?)」ってことでは決して悪いことではないんだけど、あまりに「ベンチマーク迎合」が行き過ぎると、つまりベンチマークを意識し過ぎて同じような中身になってしまうとそれは非常によろしくない。
そういうファンドは「隠れインデックスファンド」として海外でも結構な問題になってる。アクティブファンドとしての相対的に高い信託報酬を取りながら、実態はインデックスファンドとあまり変わらない中身になってるじゃないか!とね。
ということで、そうしたファンドたちも含めて平均すれば、そりゃ全アクティブファンドのリターン平均は、信託報酬が高い分だけインデックスファンドに負けそうだよね。こうした実情を知らずに「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てないと言われている」、「インデックスファンド以外はとにかく敬遠すべきゴミらしい」と思われているとしたら、それはとても残念っていうのが僕の意見なんだよね。
もちろん、そんな「なんちゃってアクティブファンド」を選んではいけない。ゴミとか悪徳商品とまでは思わないけど、単純に「だったらインデックスファンドにしとけばいいじゃん」って思う。その方がスッキリするよね。
そういうファンドを見分ける方法は専門的には色々あるんだけど、一番カンタンなのはHPから見られる月次報告書(マンスリーレポート)の「先月末の上位10銘柄」の顔ぶれを比較する方法かな。そのアクティブファンドがベンチマークにしている指数のインデックスファンドを、どの運用会社のでもいいか探してきて、同じ時点の上位10銘柄と比べてみるわけ。もし、ほとんど同じ顔ぶれが同じような順番で並んでいたら、それは限りなく「何ちゃって」だ。
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