「途中のリスク」と「最後のリスク」の話は覚えているだろうか。
投資の教科書では「リスク」を一般にリターンのバラつきであると定義し、標準偏差という数字で表現する。「ボラティリティ」という言い方もするけど、要は上にも下にも値段が動く、その大きさのことね。
でも、普通の人にとってのリスクは元本割れに決まっている。
「投資の世界では上がるのもリスクなのです」みたいなことを言う投資教育コンテンツもあるけど、損するのがリスクに決まってる。
僕はもう少し考えを深めて2つに分ける考え方を勧めたのを覚えているだろうか。
必要な時に必要なだけ増えていない可能性である「最後のリスク」と、その最後に至るまでの過程での上下の「途中のリスク」に分けるっていう話をした。
そして「途中のリスク」、つまり上がったり下がったりっていう、さっき言ったボラティリティは、真のリスクではないのだから無視すれば良いと言った。
真のリスクとは、「途中のリスク」を怖がってアクションしなかったり、ビビッて途中でやめちゃったりの結果、「ハンドル握った」になれないまま歳をとってしまうことだとした。
だから「途中」のアレコレは自分には関係のない「ノイズ」だと無視を決め込み、最後だけにフォーカスしようとね。
最近読んだ本に「ボラティリティは入場料」だという表現があったけど、その通りだと思う。
入場料を払って株式などのマーケットに入らない限り、「資本市場を賢く人生設計に使ってやる」というこのゲームに参加できない。
途中での上がったり下がったりはストレスだけど、それは入場料、というか参加費だ。払うしかない。
ボラティリティを使った売買、つまり上がったり下がったりで短期的な売買をする人もいる。
でも、そもそも僕らとは違うゲームをしている人たちなんだから、その人たちの行動やその人たち向けの情報に振り回されてはいけない。
耳に入ってくる情報のほとんどは、そのゲームのための情報ばかりだという話もしたね。
あと、僕の32歳からの積立の話、覚えてるよね。
あの話のポイントってさ、「積立の最中は、下がっても嬉しいと思え」ってことだったよね。
下がると低い基準価額でたくさんの口数をため込めるから、あとで上がった時にターボがかかったようにグワっと花開くんだってね。
あらためて考えると、僕らって物やサービスを安く買えることは喜ぶのに、なぜ投資では安く買えることを喜べないんだろう。
下がったら不安になってやめたくなったりするんだけど、本当は安く買えていることを喜ばなくちゃいけないんだよね。特に積立で「仕込んでいる」僕やこれからの君たちはまさにそう。
もちろん、下がっても喜べないのは「このままずっと下がっていくんじゃないか」と心配になるからだよね。仕方ないよね。先が見えないなか下がっていくのを見るのは確かにしんどい。
でも安心すべし。
そう「経済は右肩上がり」だからだ。「人の欲がある限り経済は右肩上がり」だという話をしたのを覚えているよね。
経済、厳密に言えば経済をかたち作っている企業の成長は右肩上がりだ。
僕ら人間には欲があり、もっといいモノやサービスが欲しく、お金を使う。それに応えようとする企業は競争しながら成長していく。残念ながら競争に負ける企業もあって消えてしまう企業もあるけど、その新陳代謝こそが経済を右肩上がりにする。
このグラフは先進国の主要企業の株価を平均した指数の40年近い推移だけど、どう思うだろうか。
起点と終点の2時点の変化、つまり前に話した「今÷前-1」のリターンを、これもあの時に話したルート(√)を使った複利換算で年率化したのが年9.97%だと書いてある。
期間:1985/1/1~2023/12/29グラフ起点を100として指数化した対数グラフ●先進国株式:MSCI Kokusai Index●信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成●データは過去のものであり、将来を約束するものではありません
僕はこれを見て、「損する方が難しいわ。こんなに右肩上がりなんだから」と思った。
でも同時に、たくさんの人が損ばかりしてきたことを僕は知っている。
お分かりの通り、2時点を比較して均したものが年9.97%だとしても、毎年9.97%で一定のはずはなく、ITバブルの2000年前後やリーマンショックの2008年前後のように半分になってしまうような時期もあったし、2割3割の下落なら数えられないくらいにあった。
そうした試練の時期に、もっと損するのが怖くなったり、元本割れの状態が続くのに耐えられなくて売却してしまう人はとても、とても多い。
でもその人は、売ったあとに上がってきた時にはムズムズしてきて、自分が売った値段より高い値段で再び買うという、とても残念な人になってしまうんだよ。
そして、さらにそこから少し上がると今度は、「この前みたいに下がる前に」とばかり、ほんの少しの利益を確定させようとまた売ってしまう。
でも売ったお金で何かしたいわけではないから、売ったあとに一向に下がらない株価にしびれを切らして、売った時よりも高い値段でまた買ってしまう――。
僕は社会人になって10年間、証券営業マンとしてそういうお客さまをたくさん見てきた。
今、ネットの声を観察している限り、あまり変わっていない気がする。
もしかしたら、そういう人は以前より増えているかもしれない。スマホのワンタップで、ほとんどコスト無く売買ができてしまうんだから、油断するとそうなりがちだよね。
「もうわかってるよ」と言われそうだけど、そういう人になってはダメ。
ウチの会社がずっと使ってきた言葉だけ言わせて。それは、とにかく長く「市場に居続けよう—Stay Invested」
英語の部分は僕が考えたものじゃなくて、似たことを海外でも言われてないかなと調べた時に見つけたフレーズだけど、「投資し続けろ」って意味だと思う。
「人生のハンドルを握る大人家族になる」という、イメージワードではあるが強い目的意識のもと、今見てきたような過去の歴史が教えてくれる事実をベースにした「意志ある楽観主義」のもとStay Investedを、ってことね。
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