株式会社ODKソリューションズ(証券コード:3839)は、情報処理アウトソーシングサービス、ソフトウェアの開発及び販売、情報提供サービスを行う企業です。機密性の高い大量データ処理に優れた老舗IT企業で、技術を柔軟に先取りする社風は“老舗のベンチャー企業”と評されることも。
取り扱い分野は以下の3つ。
いずれも”人に寄り添う大切なデータ”として、緊張感をもって臨んでいます。
①大学をターゲットとした教育関連
②証券会社をターゲットとした証券・金融関連
③臨床検査システムの運用を中心とした医療関連
さらに、新規事業としてカスタマーサクセスオートメーションツール『pottos®』の事業拡大に向けた体制を強化しています。株式会社ODKソリューションズの勝根秀和社長に、ODKソリューションズの中長期計画やビジョンについてお話をうかがいました。
株式会社ODKソリューションズ 代表取締役社長 勝根秀和社長
【社長紹介】
大阪府出身。1987年にODKソリューションズに入社。教育部門を中心に幅広い実務を担い、取締役就任後は、株式会社学研ホールディングスをはじめ、数々の業務・資本提携を実現。「大学入試Web出願」拡販や受験ポータルサイト「UCARO®」提供開始の中心となる。2020年6月から現職。
Q 現在、約80校の大学に利用されている、日本初の受験ポータルサイト『UCARO®』が誕生したきっかけをお聞かせください。
大学の入学試験は、それぞれの大学が個々にシステムを作って運用していました。「それなら共有したほうが効率的ですよね」という発想で生まれたのが『UCARO®』です。受験生側から見ても、1度の情報入力で、複雑な受験日程のダブルブッキング等も予防が可能で、利便性が高いシステムと好評です。
大学側も、作業負担の軽減にもつながり、本来の業務に時間を割くことが可能となります。
現在、リリースから約5年で、約80校の大学様と多くの受験生にご利用いただくまでに成長しました。アウトソーシングサービスで培った顧客との信頼関係があった当社だからこそ実現できた商品です。
Q 新事業のカスタマーサクセスオートメーションツール『pottos®』をご説明いただけますか。
昨今、「定期的に料金を支払い利用する」サブスクリプション型サービスが拡大しており、「顧客をサポートし、サービスの継続利用の促進、利益の最大化を図る取り組み」が日本でも求められつつあります。こういった取り組みを「カスタマーサクセス(CS)」といいます。重要な概念であるにも関わらず、カスタマーサクセスの概念やノウハウは日本ではまだまだ浸透していない状況です。
『pottos®』は、エンドユーザーのSaaS利用状況や設定状況の進捗管理、状況に応じた自動サポートなど、カスタマーサクセス担当者を能動的にサポートし事務負担の軽減にも貢献します。
国内SaaS市場は2024年度には11,178億円※になると予想されており、今後もサービスの需要は拡大していく予想です。
Q 経営ビジョン「ビジネスを、スマートにつなぐ。人生の、ストーリーをつむぐ。」についてお聞かせください。
経営ビジョン「ビジネスを、スマートにつなぐ。人生の、ストーリーをつむぐ。」は、当社の社員全員で目指す姿です。
社員全員が当社の目指す方向性を理解し、納得している必要があるとの考えから、全社プロジェクト・全社アンケートを経て、ボトムアップで作り上げられたものです。
このビジョンの実現にあたり、当社が大事にしていることは、「データ提供者に新しい価値を還元すること」です。
経営ビジョンの根本にある「データをもとに、すべての人の人生に喜びをもたらしたい」という想いのもと、「データビジネス」による新たな価値の創造に向けて、保有するデータ量・種類の拡大への取り組みをすすめているところです。
Q データビジネスに軸足を移していくため、『UCARO®』をデータのプラットフォームとして育成する構想とは?
『UCARO®』は、現在は“受験”という「点」のサービスです。これを高等学校から大学入学後までなどの受験前後のデータも集約し、点から「線」へ。線から「面」へと育てていきたいと思います。
そのためには、まずは入試から大学生の間ずっと使っていただけるように、サービスを拡充したいと計画しています。そこから、「就職」や「金融」、「医療」などへどんどん利用できる幅を広げていき、人生に寄り添うサービスに育てる構想です。「教育」「証券・金融」「医療」といった、テック領域に強みを持つ当社だからこそ実現できると考えています。
Q 『UCARO®』は脱炭素社会への貢献が認められ表彰されたことがあるとか?今後のSDGsへの取り組みとともに教えてください。
当社の『UCARO®』や『UCARO®出願(Web出願システム)』は、入試業務の“ペーパレス化”を促進することで、森林資源を保護し、廃棄物の焼却や物流エネルギー消費の削減に貢献していることが評価され「低炭素杯2017」(現・脱炭素チャレンジカップ)で優良賞を受賞しました。今後は、気候変動への貢献以外の領域においても、弊社のもつサービスや事業の社会貢献性を活かして、活動を通じ様々な社会課題の解決に貢献できるよう積極的に取り組んでまいります。
Q 中期経営計画に込めた想いと取り組みを教えてください。
グループの基本方針を「ODKグループ経営元年」とし、グループ全体での成長に向けた経営基盤の確立を基本戦略としています。
今後は、データプラットフォーマーとしての成長を実現するため、各領域で強みを持つ企業がビジョン・世界観を共有し、有機的に連携することで企業価値向上を目指していきます。
現在は地盤固めの時期ではありますが、中長期の取り組みにより、着実な成長につながると考えております。
Q 2022年4月の市場再編に伴う新市場区分の選択では、プライム市場を目指すとのことですが、今後の長期計画についても教えてください。
「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」にて今後の長期計画及び成長戦略を発表しています。
今後10年間で、ODKグループは新しい世界観を実現してまいります。そのためにも事業投資等が不可欠であり、企業信用力の強化及び資金調達力の向上が必須であると考え、記載の通り各種取り組みをすすめてまいります。
Q 福利厚生や制度にはどのようなものがありますか?
IT企業は人が財産。「まんなかに人」を人事ポリシーに据えて、これまでも人事制度設計を行ってきました。
一例をあげると、2017年に働き方改革としてシフト勤務制等を導入し、長時間労働の是正を行い、初年度は前年度と比べて時間外勤務手当を約2割削減することができました。
それに伴い、時間外勤務手当の削減額を原則全額社員に還元する制度を導入しています。
当制度は、前年と比較して削減できた時間外勤務手当から、70%を定期健康診断のオプション料金を補助する「健康還元制度」と賞与時に一時金を支給する「賞与還元制度」として直接的に還元し、残り30%を研修等の従業員能力開発に充てるなどして間接的に還元しており、削減額全額を社員へ還元しています。
これらの制度は、部署や役職にかかわらず全員が同じ条件で使うことができ、社員の自身の健康への意識を向上させるとともに、モチベーションアップを図ることを目的に設計されました。当社では、社員がしっかり休め、心身ともに健康に働ける仕組みや環境作りを行い、社内の風土と意識改革に取組んでいます。
Q 新入社員の入社3年離職率がほぼ0%!素晴らしい定着率ですが、その秘訣は。
入社前には社内の繁忙状況等も包み隠さずお話ししているほか、入社後も5年目までは、人事担当が丁寧にフォローアップ面談等を実施しています。
また、年齢にかかわらず、向上心さえあれば、着実にキャリアアップしていけるよう引き上げていこうとする風土もあり、能力重視の人材登用を行っています。若いうちから活躍できる環境があるのも、定着率向上要因の一つかと思います。
Q 分かりやすい株主還元で人気の株主優待ですが、御社の株主優待をお聞かせください。
2021年1月に優待制度の変更を発表しました。優待を、年1回から年2回に変更し、拡充をしたところです。
その他、議決権行使優待もございます。
株主優待
基準日 | 保有株式数 | 継続保有期間 | 優待内容 |
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9月末・3月末 | 1単元(100株)以上 | 3年未満 | 500円相当のクオカード |
3年以上 | 1,000円相当のクオカード |
議決権行使株主優待
優待内容 |
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500円相当のクオカード(※) |
主力の入試関連支援業務に加え、“教育・金融・医療”分野で長期安定的な収益で堅実な成長を続ける株式会社ODKソリューションズ。
株式会社ODKソリューションズの“今と、これから”をご紹介しました。ぜひ、マーケット情報と併せて、企業のホームページもご覧ください。
銘柄名 | ||
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銘柄コード | 3839 | |
上場市場 | 東証プライム | |
取引単位 | 100株 |