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2016年2月17日

第19回 「レシオ(比率)」を使った信用取引の手法

今回のテーマは、信用取引を使った「ロング/ショート戦略」についてです。ロング/ショート戦略とは、値上がりが期待できる割安銘柄を買う(ロング)一方で、同時に値下がりが予想される割高銘柄を売る(ショート)投資手法です。ロング/ショート戦略にはいくつか種類があるのですが、今回紹介するのは「2つの銘柄間の価格差」に注目する手法です。

例えば、同じような値動きをする2つの銘柄があったとします。基本的に株価の方向性は同じになりますが、日々の変動まで全く同じになるということはなく、相場の状況によっては、銘柄間の価格差が拡大したり、縮小したりします。あまりにも価格差が拡大していれば、「いずれこの価格差は修正されるだろう」と判断するのが自然です。そのような時に、割高な銘柄を売り建てし、同時に割安な銘柄を買い建てるというのが、この戦略の考え方です。

そして、予想通りに価格差が縮小すれば利益になります。仮に、株式市場全体の流れを受けて両銘柄の株価がともに下がった場合、買い建て分は損となりますが、売り建て分が利益となって損益が相殺されます。反対に株価が上昇した場合でも、買い建て分の利益と売り建て分の損が相殺されます。つまり、市場全体のトレンドに関係なく、2銘柄の価格差が縮小さえすれば利益がねらえるというわけです。もちろん、予想が外れて両銘柄の価格差が拡大してしまうと損失が発生します。

分かりやすい例では、日経平均とTOPIXが挙げられます。両者とも日本を代表する株価指数ですし、基本的に同じような値動きをしますが、価格差が拡大・縮小する場面があります(もっとも、日経平均は株価の平均、TOPIXは時価総額を指数化したものですので、正確には価格差とは呼べませんが・・・)。この両者の値動きの違いを比較する指標として、「NT倍率」というのがありますが、名前の通り、N(日経平均)とT(TOPIX)の比率を表したもので、計算式は「日経平均÷TOPIX」です。NT倍率の数値が大きくなるほど、両者の価格差が拡大している、つまり、日経平均が割高でTOPIXが割安になっていることになります。

ちなみに、下の図はアベノミクス相場が始まったとされる2012年11月からのNT倍率の推移です。2014年後半以降のNT倍率は大体12.2倍~12.6倍の範囲内で推移していることが判ります。図から判断すれば、この範囲の上限(12.6倍)もしくは超えたところで、日経平均を売り建てし、割安なTOPIXを買い建てすると利益をねらえるのではということになります。実際にこうしたポジションを組むには、先物取引を利用するか、信用取引であれば株価指数連動型のETFを使うことになります。

NT倍率の推移(2012年11月~)

(出所:市場データを元に筆者作成)

では、指数連動型のETFを使ってポジションを組んでみます。ここでのポイントは、投資金額をできるだけ揃えることです。以下の例では、話を分かりやすくするため簡潔にしていますが、実際の株価指数と指数連動型ETFの価格は同じにはなりませんし、取引手数料や金利等のコストを考慮していません。

(例)

日経平均:16,500円、TOPIX:1,309p NT倍率が12.6倍のとき

  • NT倍率が今後縮小すると予想
  • 「日経平均型ETFの売り建て」&「TOPIX型ETFの買い建て」を行う
日経平均型ETF 16,500円 × 40単位 を売り建て 建玉金額:660,000円
TOPIX型ETF   1,309円 × 500単位 を買い建て 建玉金額:654,500円
※建玉金額はなるべく揃える

その後 ↓↓↓

ケース1:予想通りNT倍率が縮小

  • 日経平均が16,250円まで下落し、TOPIXは1,354pまで上昇。
  • NT倍率は12倍ちょうどまで縮小
(16,500円-16,250円)× 40単位 =10,000円の利益 32,500円の利益
(1,354円-1,309円)× 500単位 =22,500円の利益

ケース2:NT倍率が拡大

  • 日経平均が16,750円まで上昇し、TOPIXが1,288pまで下落。
  • NT倍率が13倍まで拡大
(16,750円-16,500円)×40単位 =10,000円の損失 20,500円の損失
(1,309円-1,288円)×500単位 =10,500円の損失

ケース3:株価がともに上昇するも、NT倍率に変化なし

  • 日経平均が16,750円、TOPIXが1,329pまでともに上昇。
  • NT倍率は12.6倍で変わらず
(16,750円-16,500円)×40単位 =10,000円の損失 損益は0円
(1,329円-1,309円)×500単位 =10,000円の利益

ケース4:株価がともに下落するも、NY倍率に変化なし

  • 日経平均が16,000円、TOPIXが1,269pまでともに下落。
  • NT倍率は12.6倍で変わらず
(16,500円-16,000円)×40単位 =2,0000円の利益 損益は0円
(1,309円-1,269円)×500単位 =20,000円の損失

NT倍率を使ったロング/ショート戦略で損益を左右するのは倍率の縮小と拡大になります。ケース3や4のように、株価が上がろうが下がろうが、倍率自体に大きな変化がない限り、損益の変動はありません。同じような値動きをする2銘柄の組み合わせであれば、銀行や自動車など、同じセクター内の2銘柄でも応用が可能です。今回の例では、上手く行ったケースでも利益が32,500円の試算でした。投資金額の規模に比べると、手間をかけた割にはリターンが微妙な気もしますので、様々な組み合わせを試してみるのも良いかもしれません。

本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。

土信田雅之

信用取引入門講座

信用取引という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。ただし、その割には意外と「近くて遠い」存在であるのも事実です。このシリーズでは、「そもそも信用取引とは何なの?」という初歩の初歩から、一歩進んだ活用法までを毎回テーマを決めて解説していきます。

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国内株式のリスクと費用について

■国内株式 国内ETF/ETN 上場新株予約権証券(ライツ)

【株式等のお取引にかかるリスク】

株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。

レバレッジ型、インバース型ETF及びETNのお取引にあたっての留意点

上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。

  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNの価額の上昇率・下落率は、2営業日以上の期間の場合、同期間の原指数の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じたものとは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。
  • 上記の理由から、レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、中長期間的な投資の目的に適合しない場合があります。
  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、投資対象物や投資手法により銘柄固有のリスクが存在する場合があります。詳しくは別途銘柄ごとに作成された資料等でご確認いただく、またはコールセンターにてお尋ねください。

※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。

【信用取引にかかるリスク】

信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。

【株式等のお取引にかかる費用】

国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。

〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。

〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)

〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)

〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)

超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。

〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。

〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。

〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。

【かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)にかかるリスクおよび費用】 

リスクについて
かぶミニ®の取扱い銘柄については市場環境等により、取扱いを停止する場合があります。
費用について
売買手数料は無料です。

かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。

  • カスタマーサービスセンターのオペレーターの取次ぎによる電話注文は、上記いずれのコースかに関わらず、1回のお取引ごとにオペレーター取次ぎによる手数料(最大で4,950円(税込))を頂戴いたします。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
  • 信用取引には、上記の売買手数料の他にも各種費用がかかります。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
  • 信用取引をおこなうには、委託保証金の差し入れが必要です。最低委託保証金は30万円、委託保証金率は30%、委託保証金最低維持率(追証ライン)が20%です。委託保証金の保証金率が20%未満となった場合、不足額を所定の時限までに当社に差し入れていただき、委託保証金へ振替えていただくか、建玉を決済していただく必要があります。
    レバレッジ型ETF等の一部の銘柄の場合や市場区分、市場の状況等により、30%を上回る委託保証金が必要な場合がありますので、ご注意ください。

【貸株サービス・信用貸株にかかるリスクおよび費用】

(貸株サービスのみ)

リスクについて
貸株サービスの利用に当社とお客様が締結する契約は「消費貸借契約」となります。株券等を貸付いただくにあたり、楽天証券よりお客様へ担保の提供はなされません(無担保取引)。
(信用貸株のみ)
株券等の貸出設定について
信用貸株において、お客様が代用有価証券として当社に差入れている株券等(但し、当社が信用貸株の対象としていない銘柄は除く)のうち、一部の銘柄に限定して貸出すことができますが、各銘柄につき一部の数量のみに限定することはできませんので、ご注意ください。

(貸株サービス・信用貸株共通)

当社の信用リスク
当社がお客様に引渡すべき株券等の引渡しが、履行期日又は両者が合意した日に行われない場合があります。この場合、「株券等貸借取引に関する基本契約書」・「信用取引規定兼株券貸借取引取扱規定第2章」に基づき遅延損害金をお客様にお支払いいたしますが、履行期日又は両者が合意した日に返還を受けていた場合に株主として得られる権利(株主優待、議決権等)は、お客様は取得できません。
投資者保護基金の対象とはなりません
貸付いただいた株券等は、証券会社が自社の資産とお客様の資産を区別して管理する分別保管および投資者保護基金による保護の対象とはなりません。
手数料等諸費用について
お客様は、株券等を貸付いただくにあたり、取引手数料等の費用をお支払いいただく必要はありません。
配当金等、株主の権利・義務について
貸借期間中、株券等は楽天証券名義又は第三者名義等になっており、この期間中において、お客様は株主としての権利義務をすべて喪失します。そのため一定期間株式を所有することで得られる株主提案権等について、貸借期間中はその株式を所有していないこととなりますので、ご注意ください。(但し、信用貸株では貸借期間中の全部又は一部においてお客様名義のままの場合もあり、この場合、お客様は株主としての権利義務の一部又は全部が保持されます。)株式分割等コーポレートアクションが発生した場合、自動的にお客様の口座に対象銘柄を返却することで、株主の権利を獲得します。権利獲得後の貸出設定は、お客様のお取引状況によってお手続きが異なりますのでご注意ください。貸借期間中に権利確定日が到来した場合の配当金については、発行会社より配当の支払いがあった後所定の期日に、所得税相当額を差し引いた配当金相当額が楽天証券からお客様へ支払われます。
株主優待、配当金の情報について
株主優待の情報は、東洋経済新報社から提供されるデータを基にしており、原則として毎月1回の更新となります。更新日から次回更新日までの内容変更、売買単位の変更、分割による株数の変動には対応しておりません。また、貸株サービス・信用貸株内における配当金の情報は、TMI(Tokyo Market Information;東京証券取引所)より提供されるデータを基にしており、原則として毎営業日の更新となります。株主優待・配当金は各企業の判断で廃止・変更になる場合がありますので、必ず当該企業のホームページ等で内容をご確認ください。
大量保有報告(短期大量譲渡に伴う変更報告書)の提出について
楽天証券、または楽天証券と共同保有者(金融商品取引法第27条の23第5項)の関係にある楽天証券グループ会社等が、貸株対象銘柄について変更報告書(同法第27条の25第2項)を提出する場合において、当社がお客様からお借りした同銘柄の株券等を同変更報告書提出義務発生日の直近60日間に、お客様に返還させていただいているときは、お客様の氏名、取引株数、契約の種類(株券消費貸借契約である旨)等、同銘柄についての楽天証券の譲渡の相手方、および対価に関する事項を同変更報告書に記載させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
税制について
株券貸借取引で支払われる貸借料及び貸借期間中に権利確定日が到来した場合の配当金相当額は、お客様が個人の場合、一般に雑所得又は事業所得として、総合課税の対象となります。なお、配当金相当額は、配当所得そのものではないため、配当控除は受けられません。また、お客様が法人の場合、一般に法人税に係る所得の計算上、益金の額に算入されます。税制は、お客様によりお取り扱いが異なる場合がありますので、詳しくは、税務署又は税理士等の専門家にご確認ください。

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