先週の予測では、決算はピーク通過で、新年度の急激な円高による悪材料はかなり消化され、為替も落ち着いていることで戻りを試す動きとなることを想定しました。 チャートをみると2月12日の安値14,865円から下値を切り上げる展開となっているものの、目先の上値は限定的で、13日(金)のSQ値16,845円を突破できるかどうかとしました。結果的には、下値は限定的で16,391円、上値も限定的で16,841円とSQ値まで接近するものの週の終値は16,736円と狭いレンジでのもみあいに終始しました。
週始めの16日(月)は、前週末のNYダウの大幅下落を受け▼20円の16,391円で寄り付くものの、消費税の再延期観測が下支えとなり、すぐにプラスに転じて上げ幅を拡大し、一時△220円の16,632円まで上昇しましたが、やや円高となったことを嫌気し上げ幅を縮小して△54円の16,466円で引けました。しかし、17日(火)は前日のアメリカ株高と円安を受け△186円の16,652円と大幅反発しました。ただし、材料不足で商いは低水準でした。 18日(水)はアメリカ株安を受けて売り先行で始まるものの、1-3月期GDPが年率換算で前期比+1.7%と予想の+0.3%を受けて100円をこえる上昇で16,795円をつけるものの、スズキ自動車の走行試験の不正をきっかけに▼139円の16,513円まで下落し、終値は▼8円の16,644円となりました。上下動の大きい1日でした。19日(木)は、前回のFOMC議事録公開で、6月利上げ観測からドルが買われ1ドル=110円台回復で寄り付き△162円の16,807円のあと16,841円とSQ値の16,845円に接近するものの、買い一巡後は下げに転じ、一時マイナス圏となるものの引けは△1円の16,646円で引けました。週末の20日(金)は、売り先行でスタートするもののサミットを控え、政策期待が根強く買い優勢となって△89円の16,736円と16,700円台を回復して引けました。
週末の日本市場の引け後のアメリカ市場は、6月利上げ観測からのドル買い・株売りも一巡し、好決算を発表したアプライド・マテリアルズの大幅高をきっかけにテクノロジー株を中心に幅広い銘柄が買い戻され、一時△136ドルの17,571ドルまで上昇しましたが、金融株が上げ幅を縮小したことで△65ドルの17,500ドルで引けました。シカゴの日経先物は▼15円の16,725円となっていました。
21日(土)に開催したG7財務相・中央銀行総裁会議では、世界経済の安定への結束を演出したものの、各国は政治情勢を背景に内向き姿勢を強め安倍内閣が期待した結果を得られませんでした。特に各国が揃っての財政出動の合意を期待していましたが、ドイツの財務相は日本の要請にゼロ回答であり、フランスの財務相も財政にそれほどの余裕はないという回答でした。もう1つ重要な為替についての麻生財務相の1ドル=105円をつけた円高を「無秩序な動き」と決めつけたことについてアメリカのルー財務長官は、そんなことを簡単に言うべきではないと閉幕後の会見で強い不満を示しました。G7財務相らは今回も共同声明を出せませんでしたので、20~21日のG7財務相・中央銀行総裁会議の成果はありませんでしたが、伊勢志摩サミットは玉虫色の合意となる可能性が高いと思われます。
今週は、26~27日の伊勢志摩サミットを控え、先週に引き続いて政策期待から相場は底堅さが続くものと思われます。為替についてはアメリカで先週のFOMC議事録公開や連銀総裁の発言で早期利上げの思惑が高まっており、今週は27日にイエレン議長の講演やその他の連銀総裁の講演も相次ぐことで、利上げの見方が強まればドル高・円安の流れが相場を下支えすることになります。為替は1ドル=110円台には売り物が多いため、もみあう状況も考えられますが、そこをぬけると4月28日のドルの急落前の水準である111円台半ばを目指す展開が想定されます。
そうなると、目先の上値抵抗ラインである13日(金)のSQ値16,845円を突破することができます。ただし、ここを突破しても16,900円台、その上は17,200円水準が上値抵抗ラインとなります。さらに戻りを試すにはサミット後に消費税増税を延期するという材料が安倍首相から出せるのかどうかにかかっているでしょう。21日の麻生財務相とルー財務長官との会議では、来年の4月に消費税増税を予定通り実施する考えを伝えたが、ルー財務長官は、その後の記者会見で「増税は慎重に判断するべきだ」と発言しています。かつて安倍首相は増税を「再び延期することはない」と断言しており、方針を覆せば民進党から「アベノミクス失敗」と攻撃されるため、その理由としては「熊本地震が起きて、今後の日本経済に悪影響を与える」とか、サミットの結果を踏まえて「世界経済の厳しさを考え政策協調のため増税を延期する」という論法しかないと思われます。
5月23日(月)は20~21日のG7での内容が財政出動での全面的合意が得られず、日米の財務相の為替に関する立場の違いを嫌気し、又、4月の貿易収支が700億円の黒字拡大となったことで、円高にふれ株価は一時▼318円の16,417円まで下落しました。しかし、その後は下げ幅を縮小し底堅い動きとなって▼81円の16,654円で引けました。
先週の予測では、決算のピークも過ぎたことで材料不足となるものの、伊勢志摩サミットを控え景気対策の期待もあることで下値は限定的としました。ただし、上値も限定的で、5月13日(金)のSQ値16,845円をぬけることができるかが注目となるとしました。
結果は、想定通り下値も上値も限定的で、こう着状態となり、5月16日(月)の16,391円を安値に円安基調もあって戻りを試す動きとなり、5月19日(木)には16,841円とSQ値の16,845円にあとわずかと接近するものの、到達できず週末は△89円の16,736円で引けました。
今週は、先週末のG7財務相・中央銀行総裁会議は、期待ハズレに終わったことで上昇材料とはなりませんでしたが、サミットを控え政策期待が下支えし、下値は限定的と思われます。上値は先週と同じように5月13日(金)のSQ値16,845円を突破できるかどうかとなります。
本日5月23日(月)は円高にふれたことで先物主導で売りが膨らみ一時▼318円の16,417円まで下げましたが政策期待が下支えとなって下げ幅を縮小し▼81円の16,654円で引けました。
先週の予測では、18日にFOMC議事録の公開が注目になるとし、内容から今後の利上げの可能性をさぐることになるとし、NYダウは17,500ドルを下回ると短期の売転換となって戻り売りの形になるとしました。
週始めの5月16日(月)は原油価格が年初来高値となったことを好感し△175ドルの17,710ドルと大幅反発となりました。しかし、翌日の5月17日(火)は経済指標の改善が相次ぎ、利上げ観測からドルが買われて株価は▼180ドルの17,529ドルの大幅下落となり、柴田罫線では売転換出現となりました。
5月18日(水)は注目のFOMC議事録では、大半のメンバーが6月利上げが適切としていることがわかり、為替は1ドル=110円台のドル高・円安となりました。NYダウは一時17,418ドルまで下げましたが、金融株の下支えで▼3ドルの17,526ドルでしたが、5月19日(木)も利上げを嫌気した流れから17,331ドルまで下げて▼91ドルの17,435ドルで引けました。週末の5月20日(金)は、利上げを嫌気した売りも一巡し、テクノロジー株中心に反発となって△65ドルの17,500ドルで引けました。
今週は、先週5月17日に柴田罫線で売転換となって5月19日に17,331ドルまで下げ、ここから反発して引けましたが、上昇がつづいても戻り売りとなって上値は重い展開が想定されます。アメリカの6月利上げの思惑は、世界経済全体の景気に重石にもなってくるため、サミットで各国足並みをそろえた財政投資ができなければ、相場も低迷から抜け出せない可能性がでてきます。基本は17,500ドルをはさんだ±300ドルのレンジを想定。
先週の予測では、18日公表のFOMC議事録の内容が早期利上げを連想させるかどうか、円安がさらに進行するか止まるかとし、基本は107~110円のレンジを想定しました。
結果的に、発表された経済指標が相次いで予想を上回ったことで、早期利上げ観測から円安が継続し、さらに注目のFOMCはメンバーのほとんどが6月利上げが適切とみていることが明らかになり大きなフシとした1ドル=110円を突破し、週末の5月20日は110.59円まで上昇してドル高・円安となりました。
今週は、6月利上げ観測の高まりで短期的にはドル高・円安方向が継続すると思われます。110円台はドル売りが多いためドルの上値は重いもののドル売り一巡後は6月利上げ観測の高まりが続けば、4月28日のドル急落前の水準である111円台半ばを目指す可能性があります。ただし、アメリカの金利上昇に対する警戒感が世界に広がり、株価の大幅下落となればリスク回避の円買いが再燃する可能性があります。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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