先週の予測では、前週の17,500円に接近する上昇は、特別に新しい材料がないまま相場環境のプラス面(原油価格の上昇、円安、クリントン氏の優勢など)のみを材料にして上昇してきたため、一服する週になるとしました。 結果的には、週前半は17,400円台でのもみあいとなるものの、11月2日(水)は一部のトランプ氏優位報道で、日経平均は▼307円の17,134円と急落し、休日をはさんだ4日(金)は引き続き大統領選の不透明感を嫌気し▼229円の16,905円で引けました。
要するに、目先プラス評価してきた原油価格がイランとイラクの協議不調となって下落し、クリントン氏のFBIによる私用メールの再捜査でトランプ氏有利の見方が一部報道に出て、それに伴いリスク回避の円買い・ドル売りと悪材料に転化しました。各種の調査では、ややクリントン氏が有利と思えますがイギリスのEU離脱でまさかのことが起こっていますので、もしトランプ氏が大統領になる可能性も想定してリスク回避の売りとなっています。トランプ氏が大統領になったら、世界の株価ももう一段下がる可能性が高いと思われます。それは、トランプ氏の人間性(女性に対する軽蔑すべき扱いなど)の問題なのではなく、これまで述べてきた金融政策などになります。ウォール街と政府の間を切るとか、FRBメンバーを全部入れ換えるなどという発言は、これがもし本当ならばアメリカの金融政策はこれまでと違ったものになり、世界に一時的に混乱を巻き起こすことになると思われます。
31日(月)は大統領選の不透明感から反落スタートとなるものの、日銀のETF買い期待で下げ幅を縮小し、▼21円の17,425円となりました。1日(火)は午後の日銀金融政策決定会合の発表待ちで小幅続落でしたが、現状維持発表で円安にふれ日経平均は△17円の17,442円と小反発しました。2日(水)は、前日のアメリカの一部調査でトランプ氏有利が伝わるとNYダウは大幅下落し、ドル売り・円買いとなりこれを受けて日経平均は▼204円の17,238円で寄り付き、後場は一段安となって▼307円の17,134円で引けました。3日(木)は、日本市場は休場でしたが、アメリカでは株価の続落となってシカゴの日経先物は▼130円の16,970円と17,000円を割っていました。これを受けて4日(金)の日経平均は、▼170円の16,964円で寄り付き、トランプリスクを織り込む動きから前場は▼332円の16,801円まで下げて▼229円の16,905円でした。
11月4日(金)のアメリカ市場では、10月の雇用統計が発表され非農業部門雇用者数は+16.3万人と予想の17.5万人を下回りましたが、利上げの目標とされる+15万人は上回りました。さらに平均時給は前月比+0.4%と予想の0.3%を上回っているため、労働市場の回復は堅調さを示したことで、12月利上げ期待は高まり一時ドル買いとなり株価も上昇して始まりました。しかし、大統領選への警戒感強くNYダウはプラスからマイナスに転換し、▼42ドルの17,888ドルと7日続落となりました。S&Pは36年ぶりの9日続落という状況になっています。シカゴ日経先物は▼35円の16,855円で引けました。
今週は、8日(火)のアメリカの大統領選の結果待ちということになりますが、先週の動きはクリントン氏の私用メール問題をきっかけにアメリカの大統領選への不透明感からアメリカ株式が下落し、それに日本株も連動することになりました。予想ではクリントン氏有利ですが、イギリスのEUからの離脱が予想外だったため、トランプ氏の勝利の可能性も想定されて相場が下落してきたと考えられます。トランプ氏勝利ならば株価は一段安のあと、アメリカの景気回復は現時点では順調ですので、いったん反発してくることになると思われます。クリントン氏勝利ならばリバウンドとなって元の相場レンジに戻ってくることになりそうです。その場合は12月利上げの期待は高まり、為替も再び105円台を試しますが、OPECでの減産合意が不透明になっていますので、円安がさらに大きく進むとは考えにくいところです。要するにクリントン氏が勝利しても日米の株価はリバウンドしたあとは方向性のない展開の可能性があります。さらに先を見ると、クリントン氏は保護主義者ですので、いずれ夫の元大統領ビル・クリントンと同じように円高政策をとってくる可能性は、大きく円高不況による場合も考えられます。
11月7日(月)は、早朝にFBI長官による私用メール再捜査で「訴求を求めない」との発言が伝わり、クリントン優勢の見方に戻り、日本市場は104円台の円安となって日経平均は△220円の17,126円で寄り付きました。少し押し目を入れるものの、後場にはジリ高となり△271円の17,177円で引けました。この大幅反発はトランプリスクで売っていた側の買い戻し中心であり売買代金は2兆円を切っています。
先週の予測では、前週までの上昇が17,500円のフシを前に一服することになりそうだとしました。その場合17,200~17,500円を基本レンジとしました。結果的には、クリントン氏の私用メールの再調査をきっかけにトランプ氏を後押しし、一部調査ではトランプ氏有利もありリスク回避のドル売り、株売りとなりました。
週始めの2日間こそ17,400円台での動きでしたが、11月2日(水)はETF買いの効果もなく▼307円の17,134円でした。休日明けの11月4日(金)も引き続き米大統領選への不透明感や原油安から寄り付きで▼170円の16,964円と17,000円を割れ、一時▼332円の16,801円まで下落して引けました。
11月2日(水)のチャート分析では10月14日(金)の16,727円を切らない限り問題なしとしましたが、ここを試すところまできています。
今週は、11月8日(火)のアメリカ大統領選挙に注目となります。クリントン氏が勝利すれば10月14日(金)の16,727円を守ってリバウンド修正となり、再び17,500円を試す動きが想定されます。トランプ氏が勝利すれば10月14日(金)の16,727円を切って売転換となり下値模索となります。
11月7日(月)は6日(日)に、早期にFBIが私用メールの再調査を終えて問題なく訴追しないことを発表したことが伝わりクリントン氏優勢が再び高まり、17,177円の大幅反発となりました。売買代金は2兆円を割っていますので買い戻しによる大幅反発と思われます。
先週の予測では、FOMCと10月雇用統計を控えており、内容によって12月利上げ観測が高まれば長期金利上昇となって株価の上値は抑えられるので18,000~18,400ドルのレンジ内のもみあいを想定しました。ただし、柴田罫線ではこのレンジの中で10月11日(火)の18,128ドルで売転換が出現しているため、この売転換が確実になるのには引線の終値で10月13日(木)の17,959ドルを切った時としました。
結果的には、10月28日(金)のイランとイラクの減産合意ができず、その後、原油価格は下落し10月31日(月)には約1カ月ぶりの1バレル=47ドル割れとなり、又、クリントン氏の私用メール問題からトランプ氏が猛追して大統領選が不透明となり、NYダウは続落が続いて11月3日(木)は▼28ドルの17,930ドルでレンジの下放れとなりました。さらに週末は▼42ドルの17,888ドルと7日続落でした。
今週は、11月8日(火)の大統領選の結果に注目となります。クリントン氏勝利でリバウンドとなってレンジへの回復、逆にトランプ氏勝利で一段安として17,500ドルを試す動きを想定。その後は、12月利上げに注目となり、クリントン氏勝利ならば12月の利上げは確実となり、ドルは買われるが株価は上値が重くなりそうです。トランプ氏勝利であれば12月利上げは不透明となって様子見となると思われます。
先週の予測では、12月利上げ観測は高まるものの、クリントン氏の私用メールの再調査から大統領選の不透明感が生じ、イランとイラクの減産合意できず原油価格の下落でドルの上昇を抑える要因がでてきたとし、103~106円のレンジを想定しました。
10月31日(月)は、GDPが予想を上回ったことでドル買いが続き105.20円まで上昇するものの、原油の減産合意できなかったことで1カ月ぶりの1バレル=47ドル割れとなり、ドルが売られ104円台後半の動きとなりました。その後、一部の報道からトランプ氏有利の報道もあり株売り、ドル売りとって円高が進み11月3日(木)には海外で102.58円まで円が買われました。
今週は、先週の10月雇用統計の結果を受けて非農業部門雇用者数は予想を下回ったものの、内容は労働市場の回復を示すものであり、クリントン氏勝利ならば12月の利上げ観測高まってドルは買われて105円を目指すことが想定されます。もしトランプ氏勝利ならば12月利上げは不透明となり100円を試すドル安・円高の動きが想定されます。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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