先週の予測では、19,000~19,600円のレンジの下限でのもみあいが続くが、為替次第では調整入りもシナリオに入れておくべきだとしました。柴田罫線では、3月2日(木)の19,668円を当面のピークにレンジの下限に向かって上値を切り下げており、また、日柄調整からみても18,650~19,668円の1,000円幅のレンジの中では十分な調整といえますので、直近の安値である1月18日(水)の18,650円を切って下放れとなる可能性が高いとしました。
結果的には、週始めに19,068円の高値をつけたあと、徐々に上値を切り下げ、6日(木)には米中首脳会談前の北朝鮮のミサイル発射や、円高進行を嫌気して▼264円の18,597円と直近の安値18,650円を切って年初来安値更新となり、想定した調整入りのシナリオになりました。
3日(月)は、前週末の2日連続の大幅安の反動から自律反発の買いで始まり、後場は先物の買い戻しもあって△159円の19,068円まで上昇するものの、買い一巡後は上げ幅を縮小して△73円の18,983円と19,000円台を回復できませんでした。4日(火)は欧米株安と1ドル=110円台後半の円高を受けて先物主導で一時▼279円の18,703円まで売られ、終値は▼172円の18,810円でした。5日(水)は、△51円の18,861円と自律反発したものの、6日(木)になると急反落となりました。前日のアメリカ市場でNYダウは大幅上昇のあと急落して▼41ドルの20,648ドルとなったことや、この日の米中首脳会談の内容を確認したいことから手控えムードの中、北朝鮮のミサイル発射や、さらに1ドル=110円台前半への円高進行を受け、日経平均は▼264円の18,597円の終値となって、直近の安値18,650円を割り込み年初来安値更新となりました。7日(金)は、前日のアメリカ株高、円高一服を受けて△117円の18,714円で寄り付き、△188円の18,785円まで上昇するものの、アメリカのシリアに向けてのミサイル発射報道を受けて一転して急落となり、▼79円の18,517円をつけ、そこから切り返して△67円の18,664円で引けました。
7日(金)のアメリカ市場では、3月の雇用統計による非農業部門雇用者数は、予想の18.3万人を大きく下回る9.8万人でしたが、失業率は前月より0.2%低い4.5%と10年ぶりの低水準となったことで強弱入り交じった内容でした。アメリカのシリアへのミサイル攻撃で神経質な展開となる一方で、タンドリーNY連銀総裁は、早期利上げを示唆するような発言を行っており、株式市場は方向感のない上下動となってNYダウは▼6ドルの20,656ドルでした。シカゴの日経先物は△75円の18,785円となっています。
今週は、先週19,000円水準から18,500円水準まで下げて年初来安値更新したところですので、為替が落ち着いていればいったんリバウンドするところです。しかし、シリアを巡る中東情勢や北朝鮮をめぐる国際情勢は不透明なため懸念材料となります。特に、トランプ政権が突然シリア攻撃をし、今後もその可能性があることや、北朝鮮に対してもあらゆる対応を準備しているということですから、突然なにが起こるかわかりません。今週は、18,500~19,000円のレンジの中での動きとなって、次の展開を注視するところです。このレンジの中で次の材料(どちらかというと悪材料)を待つことになります。
トランプ政権の動きがますます読みにくくなり、全てが中途半端な形となっていますので、何が起こってもおかしくないと考えた方がいいかもしれません。その理由の1つは、トランプ政権の体制が全くできていないことです。民主党のオバマ政権から共和党のトランプ政権への政権交代で入れ換える人数は550人といわれていますが、現時点で入れ換えが完了したのは22人ぐらいのものです。そのため経済問題での各国の詰めができず、税制改革でも専門家が集まらないため、作業が進展していないようです。また、CIA(中央情報局)とも喧嘩状態で情報が全く入らないともいわれており、このような状況の中でのシリア攻撃は感情的な思い付きともいわれています。米中首脳会談も大枠の話だけで、具体的な各論には入れず習主席のペースで終わったようです。そうなると成果を出さなければならないトランプ政権は、次の日米の貿易交渉では対米黒字が中国に次いで2位の日本に対して何らかの是正案を求めてくる可能性があり、日本のデフレ対策としての日銀の円安誘導の転換が迫られることも考えられます。ただし、日米貿易交渉の資料やメンバーが揃っていませんので、4月中旬での交渉では大まかな話で終わりそうです。また、シリアや北朝鮮をめぐる地政学的リスクが高まれば、リスク回避の円買いとなりますので、日本の輸出企業にとっては厳しい状況となる可能性があります。一方でアメリカの経済は好調で経済指標がそれを示していますので、早期利上げの思惑が出てドル買いとなる可能性もありますが、ドルの戻りは限定的と思われます。
4月10日(月)は、先週末のNY連銀総裁の「バランスシートの縮小は、値上げペースにはほとんど影響しない」と発言したことで、長期金利が上昇してドルが111円台まで買われました。これを受けて買い先行となり、△135円の18,800円で寄り付き、一時△186円の18,850円の高値をつけましたが、買い一巡後は上げ幅を縮小し△133円の18,797円で引けました。
先週は、為替や日米の政治リスクが上値を重くし、基本は19,000円をはさんだこう着状態としました。但し、柴田罫線では3月2日(木)の19,668円をピークに下値を切り下げる形となっており、このまま18,787円を切ってくるとボックスの下放れとなって本格調整に入っていくことになるともしました。3カ月以上の日柄調整を考えると下への確率が高いともしました。
結果的に、週始めに19,068円をつけたあとは、1ドル=110円台の円高推移となっていることで徐々に下値を切り下げ、4月6日(木)は北朝鮮のミサイル発射や米中首脳会談を控えて円高が進み、▼264円の18,597円と直近の安値1月18日(水)の18,650円を切ってレンジの下放れとなりました。
今週は、先週19,000円水準から直近の安値1月18日(水)の18,650円を切って18,500円水準まで下落して安値更新となっただけに、為替が落ち着いていれば、いったん自律反発の可能性もありますが、上値重く18,500~19,000円の中でのもみあいとなりそうです。シリア問題や北朝鮮問題などの不安定な世界情勢が懸念材料となり、国内では「森友学園」問題もあり、戻りは限定的で売り圧力が強まりやすい環境と考えられます。
本日4月10日(月)は、為替の1ドル=111円台への円安を受けて高寄りし、一時△186円の18,850円まで上昇するものの、特別に材料もないことから上値重く△133円の18,797円で引けました。チャートをみてわかるように、19,000円をこえる上昇は、現時点ではよほどの好材料がない限り難しいと思われます。
先週の予測では、反発のあとは再びトランプ政権の不透明感から、政策の内容や実現時期を見極める思惑が広がり、方向感のない展開が想定されるとしました。米中首脳会談での領土問題、貿易問題で何らかの実績が出せるか注目としました。
週始めは、ロシアのサンクトペテルブルグでのテロの発生で急落する場面もありましたが、経済指標が好調なためほぼ変わらずの動きとなり、その後は外部環境の不安も原油株の上昇や堅調な経済指標にサポートされ、小幅のもみあいが続きました。週末の4月7日(金)の3月雇用統計は、雇用者数は予想を大きく下回ったものの、失業率は10年ぶりの低水準となったことで、アメリカのシリア攻撃もそれほどのマイナスとはならず、▼6ドルの20,656ドルで引けました。結局、方向感のない値動きに終始しました。
今週は、アメリカの議会が休会に入り、トランプ政権の経済政策、特に税制改革の早期成立に懸念が出てきたこと、さらにシリアの爆撃や北朝鮮問題などの地政学的リスクから不安定な動きが続くことになりそうです。来週から1-3月期の決算シーズンにはいりますが、現状の政策の遅れの懸念から実績見直しに慎重になる企業が増えそうです。米中首脳会談が評価されなければトランプラリーの巻き戻しが再開されることも考えられます。
先週も引き続き、トランプ政権の不透明さからドル売りの一方で、経済指標の堅調さが続けば早期の利上げ観測からドル買いの可能性もあるとしました。チャート上は、ドルは下放れの形となっているため、ドルの上値は限定的で1ドル=110~113円のレンジを想定しました。
週前半は、2月のアメリカの貿易赤字の大幅縮小や3月ADP全米雇用者数が予想を大幅に上回り、ドルが買われて1ドル=110円台から111円台へ。しかし週後半は、シリアへのアメリカのミサイル攻撃や雇用統計が予想を下回ったことでドル売りとなり、一時1ドル=110円13銭の円高になりました。その後、NY連銀総裁発言から早期利上げの思惑で1ドル=111.37円までドルが買われて引けは1ドル=111.09円でした。1ドル=110~111.5円の狭いレンジでの動きでした。
今週は、米中首脳会談を終えて内容的には何ら具体的成果をあげられなかったことで、今後日米貿易交渉で日銀の円安誘導(デフレ対策といっていますが)にクレームがつけられるかもしれません。アメリカのシリア攻撃も単独行動がエスカレートするとドル売り要因となります。ドルの戻り弱く1ドル=109~112円のレンジを想定。
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出島昇
柴田罫線実践教室
株式会社オルタナレッジ「柴田罫線」で分析した提供レポートです。「柴田罫線」というテクニカル分析をベースに、株式相場の分析をおこなってまいります。
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