2022年9月14日配信
積立投資家の皆様、本日もお疲れ様です。楽天証券の山口です。
毎週水曜日の「元気が出るニュースレター【#積クラ通信】」をお届けいたします。
本ニュースレターでは、積立投資家のお客様に役立つ「資産形成がうまくいくヒント」をお伝えしてまいります。
さて、今週も引き続き、4つの出口戦略について解説してまいります。
4つの選択肢はこちらです。
それぞれのリスクは、低い順に(1)<(2)<(3)<(4)となります。
先週までは、「(1)運用資産をすべて売却する。」について解説いたしました。
(1)については、老後のための出口戦略にはあまり適しておらず、2~3年などの短期で必要となる資金の出口戦略に適している、というお話しをさせていただきました。
さて、今週からは、(2)~(4)の取り崩し方法をお伝えしていきたいと思います。
これらは、いずれも長期の取り崩しを前提としていますので、毎月の収入を補うための老後の出口戦略に適しているといえます。
本日は、まず「(2)安定的な運用に切り替えて取り崩す。」について、メリット・デメリット、どんな方に向いているか、をお伝えしていきたいと思います。
そもそも、「安定的な運用とはこういうもの」という定義は特に無いのですが、ここではリターンが3~4%程度期待できるような運用のことを指すことにします。
3~4%が期待できる運用とは、株式・債券等の複数の資産をバランス良く組み合わせたようなバランスファンドなどで実現することができます。
(ただし、組入比率はファンドによって大きく異なりますので、バランスファンドの中でもリスク・リターンの高いもの、低いものが存在します。このあたりの選び方は、やや複雑になりますので、追って本ニュースレターの中で取り上げられればと思います。)
米株ファンドや全世界株ファンドなど、投資対象が株式のみの場合は、おおよそ長期的な期待リターンが7~8%程度、リスクは10%台後半となることが多いですから、安定的な運用では、リスク・リターンをその半分以下に抑えていくようなイメージとなります。
ちなみに、債券のみで運用するような、より安定的な方法もありますが、それではあまり老後資金の足しにはならないと考えておいた方が良いでしょう。老後資金に十分な余裕があり、お小遣い程度にリターンが得られれば良い、といった方には適しているかと思います。
この方法のメリットとしては、株式のみの投資に比べてリスクを大幅に抑えることができる点です。
これまで、老後資金のために米株ファンドなどで資産形成をしてきた場合、資産額はかなり大きなものになっているでしょう。
そのため、その後ももし米株ファンドで運用を続けていると、何か大きな下落があった場合は、一時的に資産が半分になることもあり得ます。
仮に資産が2,000万円あったとすると、資産が1,000万円などに目減りしてしまう可能性があるということです。
もちろん、長期で保有を続ければ戻る可能性も高いのですが、半分に減ってしまった資産の中から取り崩しを続けることは、心理的にもかなり難しいと思われます。
結果的に、下落に耐えられなくなり途中で運用をやめてしまい、大きな損失を確定させてしまう、ということにも繋がりかねません。
このため、ある程度資産額が大きくなり、そこから取り崩しを始めるという段階では、安定運用に切り替えてリスクを抑え、大幅な下落を防ぐことで、心理的なショックの軽減や長期運用の継続に繋げることができます。
老後は、現役時代とは異なり、定期的な収入や新たな収入で運用の損失を補うことは難しくなりますから、下落の際の心理的なショックも大きくなってきます。
安定運用に切り替えることで、穏やかに老後を過ごしていくことができるでしょう。
ただし、安定運用にはデメリットもあります。
それは、当然ながら株式ファンドなどに比べて、リターンが低いということです。
このため、この方法が適しているかどうかは、3%の期待リターンで本当にこの先十分か、を考える必要があります。
考慮すべきポイントは以下の3つです。
現在の資産額や、運用に回せる金額が少ない場合、また今後取り崩していきたい金額が大きい場合は、期待リターンが3%ですと十分ではない可能性があります。
このあたりの詳しい考え方については、次回解説させていただきます!
次回もお楽しみにお待ちください。
ご質問
「損益通算について質問です。コロナで損切りしたもののまだ損益通算していません。今年がラストチャンスでしょうか」
ご回答
ご質問ありがとうございます!
まず、損益通算についてご存じでない方も多いと思いますので、簡単に仕組みをご説明させていただきます。
損益通算とは、利益と損失を相殺することで、本来支払わなければならない税金よりも多く源泉徴収されていた場合に、税金の還付を受けることができる仕組みです。
特定口座(源泉徴収あり)でお取引いただいている方は、同じ金融機関の特定口座内での通算や還付は自動で行われますので、基本的には確定申告は不要です。
ただし、特定口座でお取引の場合でも、他社との通算は自動では行えませんので、他社で損失や利益が出たものと損益通算を行いたい場合等は、確定申告が必要となります。
(一般口座や特定口座(源泉徴収なし)でお取引をいただいている方は、そもそも毎年確定申告が必要となります。)
また、損益通算を行う際、損失の金額が大きい場合には、同じ年のお取引では利益と損失が相殺しきれない場合があります。
この時は、翌年以降3年間損失の繰越を行うことができ、各年の利益と相殺を行うことができます。
質問主様の場合は、コロナで損切をされたということですので、2020年頃に売却をされたのでしょうか?
もし2020年に譲渡損失が発生した場合は、「翌年以後3年間にわたり」、確定申告により繰越控除が可能となりますので、最大2023年までは繰越控除が可能となります。つまり来年までですね。
ただし、翌年に譲渡損失を繰り越すためには、確定申告が必要となります。
その年に売買のお取引が無かった場合でも、繰越を行いたい場合は毎年確定申告が必要となりますので、ご注意ください。
ちなみに、NISA口座・つみたてNISA口座で保有している資産は、売却しても損益通算を行うことはできません。(非課税口座のため、譲渡損益は無いものとみなされているからです。)
せっかく売却したのに損益通算が出来なかった!ということになってしまいますので、ご注意くださいね。
お役に立てましたでしょうか?
引き続き、皆様からのご質問をお待ちしております!
投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、買付手数料等の費用が異なりますので、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。
各商品は、銘柄ごとに設定された買付又は換金手数料(最大税込4.40%)およびファンドの管理費用(含む信託報酬)等の諸経費をご負担いただく場合があります。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。
買付・換金手数料、ファンドの管理費用(含む信託報酬)、信託財産留保額以外にお客様にご負担いただく「その他の費用・手数料等」には、信託財産にかかる監査報酬、信託財産にかかる租税、信託事務の処理に関する諸費用、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建資産の保管等に要する費用、受託会社の立替えた立替金の利息等がありますが、詳細につきましては「目論見書」で必ずご確認いただきますようお願いいたします。
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