BRICsに続く成長国として世界各国の注目を集めるアセアン経済ですが、そのアセアン各国の株式市場の状況については日本の投資家にとってまだまだ馴染みが薄く、どの銘柄を取引したらよいか迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の特集(第1弾)では、アセアン4市場でも特に人気があるとされる、インドネシア市場にスポットをあて、その主力銘柄をご紹介いたします。
インドネシアといえば1990年代後半のアジア通貨危機で経済的に大きな混乱に巻き込まれたことが印象に残っている方も多いかもしれませんが、ここ数年のインドネシアは国の財政状況の目安とされる信用格付けが相次いで引き上げられるなど、過去の印象を払拭するかのごとく順調に成長を遂げています。
こうしたインドネシア経済の成長は、支えている主な要因としてまず旺盛な国内消費が考えられます。特にここ数年はリーマンショックやギリシャ信用不安問題などで先進国の景気が悪化するといった状況が起こっていますが、インドネシアは世界第4位となる2.4億人の人口を抱えており、輸出が落ち込んでも内需の拡大が景気を支えています。一人当たりGDPもようやく3,000米ドルに到達した水準で、ちょうどこれから家電や車といったいわゆる耐久消費財の消費が活発となることが期待されます。
こうした状況を踏まえるなら、インドネシア株式の銘柄を選ぶ際も、内需関連銘柄を軸とすることが基本といえそうです。
インドネシア最大の自動車メーカーがアストラ・インターナショナルです。2011年のインドネシアの自動車販売台数は89万台ですが、そのうち同社製品の販売台数は48万台。現地自動車市場のリーダーとして注目されています。インドネシアの自動車保有率はまだ1桁台で、経済成長とともに市場の成長余地が十分期待できるという良好な事業環境に恵まれているといえます。
自動車メーカーとしてはトヨタやBMW、プジョーなど海外の有力メーカーとの提携により、海外ブランド車の組み立ておよび販売を主力事業としています。自動車組み立て販売のほか、金融、鉱業・エネルギー、農業、ITなど事業の多角化にも余念がありません。株価も売上や利益の拡大に連動するかのように上昇基調をたどっています。
アストラ・インターナショナルの子会社で、重機の販売を手がけるのがユナイテッド・トラクターです。もともとコマツの販売会社を源流とする同社は、おもにコマツ製品の主力販売元としてインフラ開発や資源開発などに利用される重機の供給を行ってきました。
ただ近年は関連事業として資源採掘事業の請負や自社での資源開発などに進出しており、現在の売上高の構成も重機販売と資源関連ビジネスがほぼ半分ずつを占める状況です。資源関連事業ではインドネシア国内のみならず、中国など海外の需要取り込みも計画中です。
日本でも定着しているLuxやDove、Pondsといった日用品や紅茶のLiptonなどのブランド製品をインドネシアで販売するのがユニリーバ・インドネシアです。もちろん同社の親会社は世界最大手の消費財製造メーカーであるユニリーバ。もともとインドネシアは石鹸の原材料となるパーム油などが産出されるため、従来は製品の輸出拠点としての機能していました。ただ近年は国内消費の拡大に乗じて売上を伸ばしています。
外国資本企業としてその経営手腕が評価されており、東南アジアのブランド企業ランキングなどにも常連として名を連ねることでも知られ、成長余力とマネジメント能力を兼ね備えた企業として期待されています。
インドフードは即席麺や乳製品、調味料など、主に加工食品の製造および販売を手がける会社ですが、穀物生産や各種プランテーション事業なども行っています。子会社にインドネシア証券取引所上場のインドフード・CBP・サクセス・マクムール(ティッカー:ICBP)やシンガポール証券取引所に上場するインドフード・アグリ・リソースなどが含まれます。
業績面では原材料となる小麦の価格上昇による収益性悪化などが懸念材料ですが、コストカットなどが奏功し収益は拡大基調を維持しています。人口増や所得水準の向上を背景にインドネシアの国内食品市場は当面拡大が続くと見込まれており、内需関連銘柄代表格としての地位は揺らいでいないと言えるでしょう。
インドネシア最大の通信会社がテレコムニカシ・インドネシアです。発行済みの株式の過半をインドネシア政府が保有する政府系企業ですが、米国預託証券(ADR)を発行していることもあり外国人株主が多いことも特徴です。
事業内容は固定電話、携帯電話サービスのほか、ブロードバンド、ワイヤレス通信事業なども展開しています。市場での競争激化などもあり業績はここ数年冴えない状況が続いていますが、ブロードバンドの利用者数の割合は一桁台とされており、依然伸びしろのあるビジネスであることに疑いの余地はありません。その規模から同業他社との競争についても有利な立場にあり、市場での同社への評価も今後見直される可能性があるといえます。
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