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「情報社会」を守るサイバーセキュリティ産業!注目される関連銘柄は?

楽天証券(株) 株式事業部
海外株式担当 真壁 尭彦

いまや誰もが、インターネットから情報にアクセスする時代。パソコンやスマートフォンによって、必要な情報を素早く入手できるのは便利である一方、たとえば私たちの個人情報など、他者に知られたくない情報を「守る」ことの難しさが増していることも事実です。
そうした中、システムやネットワークに侵入し情報に不正アクセスする「ハッカー」からの攻撃に対処するための手段として、「サイバーセキュリティ」の重要性が高まっています。
本特集では、改めて注目が集まっている「サイバーセキュリティ」に関わる市場動向や個別企業について、紹介していきます。

  • 世界的なテーマとなっている「サイバーセキュリティ」
  • 市場規模の展望:「次世代型」の新たなサービスが牽引役に
  • 「次世代型」のセキュリティ・サービスとは?
  • 関連企業の業績指標を比較!

世界的なテーマとなっている「サイバーセキュリティ」

今年(2017年)5月、英国公共医療を提供する国民保健サービス(NHS)が、「大規模なサイバー攻撃を受けて広域で医療機関のITシステムが停止するなどの影響を受けた」と、発表しました。「影響範囲は英国外にまで広がる可能性が高い」との懸念から、欧州警察機関(ユーロポール)は、各国に向けてウィルス対策など警戒を呼びかけました。こうした世界規模の事態を受け、ウィルスやハッカーからの不正アクセスを防ぐ「サイバーセキュリティ」というテーマが改めて注目されています。

下のチャートは、サイバーセキュリティ関連銘柄のパフォーマンスを図る指標として用いられる「ISE サイバーセキュリティ・インデックス」の推移です。今年(2017年)5月末時点の同指数は高値圏で推移しており、株式市場においても、サイバーセキュリティに関連する技術をもつ企業が有望な投資対象として再評価されていることの表れと言えるでしょう。

これまでも日本国内・国外に限らず、公的機関や民間企業のシステム停止・混乱を狙うサイバー攻撃の事例は数多く、「ランサムウェア」といった用語を耳にする機会も増えてきました。(※「ランサムウェア」とは、感染したPCをロックしたり、ファイルを暗号化したりすることによって使用不能にしたのち、元に戻すことと引き換えに「身代金」を要求する不正プログラムのこと。)
情報に不正アクセスしようとするハッカーの存在を完全に撲滅することは困難であり、そうした意味では、「サイバーセキュリティ」というのは決して短期的なトレンドではなく、投資テーマとして中長期的な持続力をそなえていると言えるかもしれません。

ISE サイバーセキュリティー・インデックスパフォーマンス推移

【ご参考】ピュアファンズ・ISE・サイバー・セキュリティー・ETF (HACK)
(ISE サイバーセキュリティ・インデックスを連動指数の対象とする海外ETF)

市場規模の展望:「次世代型」の新たなサービスが牽引役に

まずは「サイバーセキュリティ」の市場規模について見ていきます。米国のレポート「Cybersecurity Market Review」によると、2014年における市場規模は約250億ドル(日本円概算;約2.8兆円)。これが2019年には約350億ドル(約3.9兆円)と、5年間で約100億ドル(約1.1兆円)増加する見込みです。

同レポートでは「既存」と「次世代」という内訳で構成されており、前者の代表例としては、パソコンにインストールするソフトの「ウィルスバスター」などです。こうした製品も引き続き需要は存在するものの、市場全体の牽引役となるのは「次世代型」と予想されています。この「次世代型」について、次項で具体的に探っていきます。

サイバーセキュリティー市場規模の推移
(出所)「Cybersecurity Market Review」を基に楽天証券作成、2016年以降は予測データ

「次世代型」のセキュリティ・サービスとは?

以下のグラフは、2020年における「次世代セキュリティ・サービス」市場の内訳を予測したものです。ここでは大きく、【A】と【B】の2グループに分け、それぞれ事業を手掛ける関連企業をリストアップしています。

【A】「ID・アクセス管理」、「ハッカー分析、対策など」、「エンドポイント・セキュリティ」、「内部統制・コンプライアンス関連」

情報漏えいの事例が増えていくにつれ、あらゆる業界の企業が「情報を守る」ことに敏感になっているのが現状です。そうした中、より高い品質、広い範囲の「セキュリティ・サービス」のニーズが高まっていきそうです。

もっとも構成比の高い「ID・アクセス管理」は比較的イメージしやすいかもしれません。パソコンやスマートフォン上で買い物をする電子取引が増えていく中で、重要な個人情報であるIDの情報漏えいを防ぐことはますます重要になるでしょう。
また、単に情報を「守る」のではなく「ハッカー分析、対策など」を練ることで、より根本的な解決に勤しむ企業も見られます。
「エンドポイント・セキュリティ」については「既存型」の例として取り上げた「ウィルスバスター」の強化版、と言えるかもしれません。数百・数千単位の企業内のコンピュータやサーバなど、端末の安全性を管理するサービスです。

より広範囲のサービスとして、法人顧客の「内部統制・コンプライアンス関連」の管理までを手掛ける企業も見られます。
IBM(IBM)オラクル(ORCL)は主に法人顧客向けシステム構築・管理の大手として知られていますが、M&A(企業の買収)などを通じ、各種「次世代型セキュリティ・サービス」の技術やノウハウを取り込む動きが見られます。

【B】「クラウド・セキュリティ」、「ネットワーク・セキュリティ」、「データ保護・消失防止」、「モバイル・セキュリティ」、「ソーシャルメディア関連」

ビジネスの世界における近年の兆候としてつけ加えたいのが、①「IoT」への参入などをきっかけに企業が扱うデータの量が増加していること、②働き方の多様化でオフィス外で仕事をする場面が増えていること、の2点です。これらの背景から、顧客企業が「セキュリティ・サービス」に求めるニーズの「種類」も増えています。

たとえば、クラウド・コンピューティングという「会社外のデータ保管場所」を管理する「クラウド・セキュリティ」、データ保管場所を訪ねる際の「通り道」であるネットワークを守る「ネットワーク・セキュリティ」。これらの他、顧客企業が蓄積したデータそのものを管理する「データ保護・消失防止」や、オフィス外で業務をおこなう「リモート(遠隔操作)・ワーク」の「モバイル・セキュリティ」なども「次世代型」の概念として位置づけられます。

単に「オフィスのコンピューターを守る」だけの時代は終わりを迎えつつあり、マイクロソフト(MS)ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)といったコンピュータ製品の大手企業が、サービス範囲を広げているのが現状です。

「次世代型セキュリティー・サービス」各分野と関連する企業

関連企業の業績指標を比較!

下の図では、各社の①規模(時価総額)、②収益性(営業利益率)、③成長性(増収率)、の3点を比較しています。
縦軸で上に位置するほど「稼ぐ力」が高く、横軸で右に位置するほど売上高の「伸びが大きい(見込み)」、ということが言えます。個別企業投資を考えるにあたっての参考資料となれば幸いです。
この中で特に「収益性(営業利益率)の高い」、及び「成長性(増収率)の高い主な企業」については、グラフの下に簡単な紹介文を載せています。また、より詳細な各社の企業情報やチャートなどは、リンク先のページをご覧下さい。

関連企業の業績指標を比較! 図

<NEW>は2017年5月より楽天証券にて取扱い開始した企業
△ 増収率は今期予想、営業利益率は前期実績
▲ 増収率、営業利益率ともに前期実績
その他は増収率、営業率ともに今期予想
円の大きさは時価総額(2017年5月末時点)の比較として表示
(出所)トムソン・ロイターを基に楽天証券作成、予想はトムソン・ロイター

収益性(営業利益率)の高い主な企業

CHKP チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ NASDAQ 株価 企業情報 チャート
イスラエルと米国に本社を構える世界的企業で、ネットワーク・セキュリティ及びモバイル・セキュリティなど、幅広い範囲のセキュリティ・サービスを構築。全米における総収入上位500社である「フォーチュン500」の全企業が、同社のサービスを利用している。
ORCL オラクル NYSE 株価 企業情報 チャート
マイクロソフトに次ぐ、世界第2位のソフトウェア企業。クラウド・コンピューター上に保存されたデータを保護するためのソリューション・サービス「Oracle Identity Cloud Service」を展開するなど、クラウド・セキュリティ関連の事業拡大を進めている。
CSCO シスコシステムズ NASDAQ 株価 企業情報 チャート
ネット接続用のルータやスイッチなどのエンドポイント製品で世界トップ。セキュリティ事業推進にあたっては、従来強みをもつエンドポイントのセキュリティの範囲にとどまらず、ネットワーク、クラウド・セキュリティの技術をもつ企業の買収を積極化している。

成長性(増収率)が高い主な企業

LOGM ログミーイン NASDAQ 株価 企業情報 チャート
外出先からリモート(遠隔操作)でオフィスのパソコンを操作できるサービス「LogMeIn」で知られる。併せて、リモート操作をおこなう際の安全性を確保(ユーザー許可の設定など)することを目的としたセキュリティ・サービス・ソフトの「Rescue」も展開。
KEYW KEYWホールディング NASDAQ 株価 企業情報 チャート
サイバースペース上の諜報データを収集、処理、分析、応用するソリューションやサービスを提供する。米国政府向けをはじめ、国防関連機関における防衛・諜報対策のシステムを支えている。

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。

外国株式のリスクと費用について

外国株式等の取引にかかるリスク

外国株式等は、株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、為替相場の変動等により損失(為替差損)が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等により、損失が生じるおそれがあります。

レバレッジ型、インバース型ETF及びETNのお取引にあたっての留意点

上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。

  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNの価額の上昇率・下落率は、2営業日以上の期間の場合、同期間の原指数の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じたものとは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。
  • 上記の理由から、レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、中長期間的な投資の目的に適合しない場合があります。
  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、投資対象物や投資手法により銘柄固有のリスクが存在する場合があります。詳しくは別途銘柄ごとに作成された資料等でご確認いただく、またはコールセンターにてお尋ねください。

※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。

米国株式の信用取引にかかるリスク

米国株式信用取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。米国株式信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。また、米国株式信用取引は外貨建てで行う取引であることから、米国株式信用取引による損益は外貨で発生します。そのため、お客様の指示により外貨を円貨に交換する際の為替相場の状況によって為替差損が生じるおそれがあります。

外国株式等の取引にかかる費用

〔現物取引〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引手数料
米国株式 約定代金の0.495%(税込)・最低手数料:0米ドル・上限手数料:22米ドル(税込)
中国株式 約定代金の0.275%(税込)・最低手数料:550円(税込)・上限手数料:5,500円(税込)
アセアン株式 約定代金の1.10%(税込)・最低手数料:550円(税込)・手数料上限なし
※当社が別途指定する銘柄の買付手数料は無料です。
※米国株式の売却時は上記の手数料に加え、別途SEC Fee(米国現地取引所手数料)がかかります。詳しくは当社ウェブページ上でご確認ください。
※中国株式・アセアン株式につきましては、カスタマーサービスセンターのオペレーター取次ぎの場合、通常の取引手数料に2,200円(税込)が追加されます。

〔米国株式信用取引〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引手数料
約定代金の0.33%(税込)・最低手数料:0米ドル・上限手数料:16.5米ドル(税込)
※当社が別途指定する銘柄の新規買建または買返済時の取引手数料は無料です。
※売却時(信用取引の場合、新規売建/売返済時)は上記の手数料に加え、別途SEC Fee(米国現地取引所手数料)がかかります。詳しくは当社ウェブページ上でご確認ください。

米国株大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。米国株大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。

〔米国株式信用取引(米国株大口優遇)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0米ドルです。

  • 米国株式信用取引には、上記の取引手数料の他にも各種費用がかかります。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
  • 米国株式信用取引をおこなうには、委託保証金の差し入れが必要です。最低委託保証金は当社が指定する30万円相当額、新規建て時に最低必要な委託保証金率は50%、委託保証金最低維持率(追証ライン)が30%です。委託保証金の保証金率が30%未満となった場合、不足額を所定の時限までに当社に差し入れていただき、委託保証金へ振替えていただくか、建玉を決済していただく必要があります。

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