「魅力的な利回りで、高い分配金を受け取れる」、「個人では投資が難しいが投資信託なら投資が出来る」ことなどで人気となった、USハイ・イールド債券ファンド。US REITファンドと同様に投資を行っている方は多いのではないでしょうか。
USハイ・イールド債券は、格付けがBB+以下と低い格付けが付与されている米ドル建ての社債のことで、格付けが低い分、金利が高い債券です。米国では多くの企業が発行していますが、日本国内では、低格付けの債券はほとんどないため、日本の投資家は投資信託を通じて主に米国企業が発行する米ドル建てのハイ・イールド債券に投資を行っています。USハイ・イールド債券は、債券であるため発行体(債券の発行企業)がデフォルト(債務不履行)にならなければ、元本が戻ってきます。しかし、債券といえども満期までの期間は価格は変動します。
USハイ・イールド債券は、格付けの高い債券と比べ景気や企業業績の影響を受けやすく、株式に近い値動きとなります。米国を中心に景気や企業業績は良好なため、USハイ・イールド債券の投資環境としては悪くないかも知れません。しかし、思ったほど基準価額が上昇しなかったり、分配金が下がっていると思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
要因としては、多くのUSハイ・イールド債券ファンドは為替ヘッジを行わないタイプのものなので、為替変動の影響を受けます。2018年は円高の影響で、基準価額が下落しています。また、市場予想を下回る経済指標や企業業績などの発表があると想定以上に価格が変動する場合もあります。分配金に関しては、過去と比べ金利水準が低いため低水準となっています。
そこで、本来の投資目的を改めて振り返ってみて、USハイ・イールド債券ファンドを保有/購入しつつ、USハイ・イールド債券ファンドと相性のいいファンドを組み合わせて、「保有資産全体で運用」することを考えてみるのはいかがでしょうか? 今回は、皆様の運用のヒントとしてUSハイ・イールド債券ファンドと相性のいい資産をご紹介したいと思います。
USハイ・イールド債券ファンドと相性が良い資産クラスは、国内債券を組み合わせたバランスファンドだと考えられます。
組み合わせを考える際、重視したいのが異なる値動きの資産を併せ持つことです。そこで注目したいのが「相関係数」です。相関係数とは、簡単にいうとそれぞれの資産の動きの方向を数値化したもので、「1~-1」で表します。相関が高い(1に近い)ほど2つの資産は同じ動きをし、相関が低い(-1に近い)ほど2つの資産は逆の動きをするという感じで、分散投資を考える場合には、相関が低いもの同士を組み合わせると良いとされています。
USハイ・イールド債券と国内債券の5年の相関係数は、「-0.46」といわゆる逆相関(逆の動きをする傾向が強い)の関係にあります。しかし、国内債券は低金利環境かつ日本銀行が金利を実質的にコントロールしていることから、リターンを得にくい資産といえます。そこで、国内債券に加え、国内株式などリターンを生み出しやすい資産を組み入れている、国内資産中心のバランスファンドと組み合わせることで、為替変動リスクを低減しつつ、値動きを安定させるポートフォリオの構築が可能となります。
また、リスクとリターンにも着目し、組み合わせることでリスクの低減および効率的なリターンの獲得が出来るかという点も重要です。過去5年のUSハイ・イールド債券のリスク/リターン(年率、円ベース)は、「リスク:10.3%」「リターン:7.2%」でしたが、仮にUSハイ・イールド債券50%、バランスファンド50%で試算すると、「リスク:6.6%」「リターン:4.8%」となり、リターンは下がりますが、リスクも大きく下げることができ、値動きを安定させつつより効率的なリターンの獲得が可能となります。
USハイ・イールド債券の投資妙味は依然あると考えられることから、次のステップとして、「長期投資」の観点でUSハイ・イールド債券ファンドと付き合っていくのはいかがでしょうか?
過去5年のパフォーマンスの推移(2013年4月~2018年4月、月次、円ベース)
Bloombergのデータを基に楽天証券作成
USハイ・イールド債券:BofA メリルリンチ米国ハイイールド・マスターIIインデックス
国内債券:野村BPI総合
国内株式:TOPIX(東証株価指数)(配当込み)
下記は、楽天証券の取扱ファンドのうち、バランスファンドの一部を紹介するものであり、ファンドの購入を推奨するものではありません。投資に当たっては、ファンドの中身を十分ご理解のうえ、ご投資いただきますようお願いします。
東京海上・円資産バランスファンド(年1回決算型) 運用会社 東京海上アセットマネジメント
主に複数のマザーファンドを通じて、国内の複数の資産(債券、株式、REIT)に分散投資する。各資産への配分比率は、日本債券70%、日本株式15%、日本REIT15%を基本とするが、基準価額の変動リスクが大きくなった場合には、同リスクを年率3%程度に抑制することを目標として、株式とREITの資産配分比率を引き下げ、その部分は短期金融資産等により運用する。
ハイパーバランスオープン 運用会社 アセットマネジメントOne
「ハイパーバランスオープンマザーファンド」への投資を通じ、日本の株式及び公社債に投資。公社債への投資は景気・金利動向等を勘案。株式はファンダメンタル指標等をもとに、企業の成長性、収益性等を勘案して銘柄選定。実質組入比率は、それぞれ40%程度。市況環境、ファンドの資金動向などに応じ、機動的・弾力的に調整を行う。先物・オプション取引などを適宜活用する。
アセット・ナビゲーション・ファンド(株式20) 運用会社 日興アセットマネジメント
主として、国内株式、海外株式、国内債券、海外債券に各々投資するマザーファンドへ投資する。マザーファンドへの投資比率を調整し、実質組入比率は、株式20%、債券等80%とする。外貨建資産については、一部為替ヘッジを行う。
楽天証券分類「バランス(可変配分)-為替ヘッジ有り 」、「バランス(固定配分・低リスク)-為替リスク低減」のうち、ファンドスコア3年で「5つ星」のファンドから抽出(毎月分配型を除く)
投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、買付手数料等の費用が異なりますので、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。
ブル型(レバレッジ型)、ベア型(インバース型)の投資信託のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
ブル型(レバレッジ型)、ベア型(インバース型)の投資信託は特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の値動きに対して一定の倍率となることを目指して運用を行います。倍率が+(プラス)1を超えるものを「ブル型(レバレッジ型)」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「ベア型(インバース型)」といいます。基準価額の上昇率・下落率は、2営業日以上の期間の場合、同期間の原指数の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じたものとは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。また、ブル型(レバレッジ型)、ベア型(インバース型)の投資信託は、投資対象物や投資手法により銘柄固有のリスクやコストが存在する場合があります。
上記の理由から、ブル型(レバレッジ型)、ベア型(インバース型)の投資信託は主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品で、一般的に中長期間的な投資の目的に適合しない場合があります。
各商品は、銘柄ごとに設定された買付又は換金手数料(最大税込4.40%)およびファンドの管理費用(含む信託報酬)等の諸経費をご負担いただく場合があります。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。
買付・換金手数料、ファンドの管理費用(含む信託報酬)、信託財産留保額以外にお客様にご負担いただく「その他の費用・手数料等」には、信託財産にかかる監査報酬、信託財産にかかる租税、信託事務の処理に関する諸費用、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建資産の保管等に要する費用、受託会社の立替えた立替金の利息等がありますが、詳細につきましては「目論見書」で必ずご確認いただきますようお願いいたします。
また、「その他の費用・手数料等」については、資産規模や運用状況によって変動したり、保有期間によって異なったりしますので、事前に料率や上限額を表示することはできません。
投資信託は、預貯金とは異なり元本が保証されている金融商品ではありません。下記コンテンツでは、毎月分配型ファンドの分配金の支払われ方および通貨選択型の収益に関するご案内をしております。投資家の皆様につきましては、当該ファンドへの投資をご検討なさる前にぜひご確認くださいますようお願い申し上げます。