前回は、債券スプレッドは、個別債券銘柄の利回りの調整役であることを紹介しました。
今回のトピックは「外貨建て債券の通貨と為替レート変動リスク」です。外貨建て債券にはどんな通貨があるのか、また、外貨建て債券投資とは切り離せない為替レート変動リスクの例をみてみましょう。
右表は、弊社で取り扱い実績のある外貨建て債券の通貨を選択し、該当する国が発行する国債の利回り順に並べた表です。新興国の国債利回りが上位にランクインしていますね。新興国の国債の利回りが高めであることに関しては「第4回 債券の利回りとは(その2)― 通貨ごとに違う基準金利」でご紹介の通りです。
右記の「債券利回り」はあくまでも外貨建て利回りのままです。円建て債券利回りを知るには外貨を円に換算する必要があり、それは未来の為替レートが必要という意味です。
現時点で計算できる理論的な将来の為替レートもありますが、実際の未来のレートは誰にもわかりません。そこで、為替レート変動のリスクを知るために、未来の為替レート変動パターンを3つ想定して、円額での投資効果がどうなるに着目してみましょう。今回は南アフリカ・ランド建て債券の投資例を使います。
残存期間 | 1年 |
---|---|
利率(年1回払い) | 7%(利払いは償還日1回を残すのみ) |
債券単価 | 100%(ランド建て) |
経過利息 | ゼロ |
為替レート | 1ランド=8.5円 |
購入金額 | 10,000ランド |
支払い円価額 | 85,000円(=1万ランドX100% X 8.5円) |
上記の仮想の南アフリカ・ランド建て債券を、今日購入したとすると、購入から1年後の債券償還時には、10,700ランド(=元本1万ランド+利金700ランド)を受取ることになります。
そのままランド現金を保有することも円に転換することも可能ですが、いずれにしても円に換算した価値は将来の為替レートによって変わります。そこで、為替レートに関して①上昇、②変わらない、③下落の3つの相場パターンを想定し、違いをみてみます。
1年後の仮想為替レート | 1年後の満期時の受取金額 | 損益金額、損益% |
---|---|---|
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10,700ランドX9.5円=101,650円 => | +16,650円、+20% |
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10,700ランドX8.5円=90,950円 => | +5,950円、+7% |
|
10,700ランドX7.5円=80,250円 => | -4,750円、-6% |
参考:南アフリカ・ランド為替レート推移(月足) -出所:ブルームバーグ
為替相場が変わらずの②の場合では7%の益となりましたが、益の全部は受取り利金に由来します。一方、ランド相場下落の③の場合では、受取る円総額が目減りして、5%の損となりました。
もし7%の利金がなければ更に大きな損額となったところです。このように、為替レートの変動は投資効果に反映されます。また、利金がプラスされる効果により、為替レート下落による損失への耐性もあることも、重要な考慮ポイントです。
*投資効果例の計算には税金や為替スプレッドは一切考慮していません。
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。
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債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。外国債券(外貨建て債券)は為替相場の変動等により損失(為替差損)が生じたり、債券を発行する組織(発行体)が所属する国や地域、取引がおこなわれる通貨を発行している国や地域の政治・経済・社会情勢に大きな影響を受けたりするおそれがあります。
外国債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(委託手数料はかかりません)。また、売買における売付け適用為替レートと買付け適用為替レートの差(スプレッド)は債券の起債通貨によって異なります。
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