最近、コストを抑えたインデックス型投信を利用する投資家が増えています。インデックス型投信の投資対象地域は、国内・先進国・新興国にわたり、投資対象商品は株式・債券・不動産投資信託(REIT)と様々です。また、少額からはじめられる投信積み立てにも最適です。
ここでは、ファイナンシャルジャーナリストの竹川美奈子氏と楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元の対談を掲載しております。
この機会にぜひ、検討してみてはいかがでしょう。
山崎
インデックスファンドの何がいいかというと、まず分かりやすいという点が挙げられます。株価指数はテレビでも新聞でもネットでも、簡単にその動向を調べられます。長い目で過去と比べて現在、どのように推移しているかを簡単に確認することができます。つまり、連続性を持ってリスクやリターンの特性を把握しやすいということです。
竹川
投資では長期・分散・低コストとよくいわれますが、これまでの投資信託ブームは、流行っているテーマ型の商品に飛びつく傾向があって、高い手数料のものを買ってしまう人も多かったと思います。たとえば1999年から2000年のITバブルの頃はITファンド、その後も低公害や循環型社会といった環境関連の銘柄や商材がトレンドキーワードになれば環境ファンドやエコファンド、新興国が話題になればエマージング(新興国市場)ファンドなど。これらの商品は、初めに一気に純資産額が積み上がって、その後先細りのものが多くありました。
投資信託は一時の流行に飛びついて短期で儲ける感覚ではなく、本来は長期の資産形成のツールとして活用するものだと思います。そのベースになるのがインデックスファンドです。
山崎
最近のインデックスファンドの傾向として品ぞろえが豊富になってきたことは喜ばしいですね。複数の国のインデックスに投資するタイプが出てきました。ひとつの国だけに偏っているとリスクが高くなってしまいますからね。また、数年前までは信託報酬も高いものがめずらしくなくて、安心して人に勧められないものもありました。
竹川
そうですね。 1990年代後半までは、インデックスファンドのほとんどは日経平均かTOPIX(東証株価指数)に連動するものが中心でした。それが、日本版401Kと呼ばれる確定拠出年金が導入されたことが一つのきっかけで、対象が先進国株式や、先進国債券にも徐々に広がってきました。ただ、新興国については中国、インド、ベトナムなどひとつの国に特化した商品しかなかったのが、2008年頃から複数の新興国に幅広く投資できてなおかつ低コストの商品が出てきました。新興国のインデックスファンドの登場は嬉しいですね。
山崎
ここ数年で一度アクティブファンドをやって損をしてしまった人が、もう一度学び直してインデックスファンドに関心を持ちはじめたというパターンが多いですね。しかし、まだまだこの便利な存在に気がついている人が少ないように感じます。
山崎
アクティブファンドは株価指数(インデックス)の平均を上回って勝つことを目指して運用されるものですが、人生と同じように現実はなかなか簡単にはいきません。どうしても退屈だという人は、競馬でいうと一口馬主になるような感覚でアクティブファンドを持ってもいいかもしれませんが、あくまでもそれは遊びの部分。資産形成のベースはインデックスファンドが向いていると思います。
竹川
競馬は行ったことがないので今度遊びで試してみます(笑)。面白さとかワクワク感も大切かもしれませんが、何のために投資するかと考えたときに、資産形成の土台が作りたいという人にはインデックスファンドが向いているわけです。その上で、個別株やアクティブファンドを持つことは否定しませんが、「その会社を応援したい」といった感情的な部分とは分けて考えた方がいいでしょうね。インデックッスファンドは退屈だと思われているせいなのか、取材を受けると2010年はどんな投資信託が有望ですかとよく聞かれます(笑)。
山崎
「投資信託の売れ筋」を当てることが大事だという前提がないと雑誌の記事が作りにくいのかもしれませんね。
竹川
そうすると、初心者の投資家は次の投信はこれだ!となって、いつまでたってもベースになる資産形成ができなくなってしまいます。
山崎
よく初心者向けの本では、インデックスファンドで入門して将来はアクティブファンドにチャレンジしましょうと書いてありますが、初級、上級という捉え方は間違いですね。
竹川
はい。私もそう思います。むしろ、以前金融機関に勤めていたような金融商品に詳しい人のほうが、インデックスファンドを買いたいという人が多いように感じますね。
山崎
プロの世界ではむしろインデックスファンドを重視していますね。現在、公的年金を中心に大手の年金基金は株式運用の半分以上がインデックスファンドによる運用です。私自身アクティブファンドを運用するファンド・マネージャーをしていた経験もありますが、プロの世界でもなかなかインデックスの平均に勝てません。長期間にわたる運用となればなおさらです。一般の投資家の方にとってはテーマのはっきり打ち出されたいろんな種類のアクティブファンドを選ぶ楽しみというのも確かにありますし、アクティブファンドのファンド・マネージャーにも頑張って欲しいと思いますが、資産形成が目的の場合は結果的にインデックスファンドの方が有利なことが多いでしょう。口座を開いて株の売買を楽しみたい、ゲームに参加したいという方も、たとえば老後の備えとしてお金を長期的に増やしていきたい方も、運用のベースとなる部分はインデックスファンドを使うと分かり易いし、効果的でしょう。
竹川
運用のベースとなるからこそ、その組み合わせには注意が必要ですね。
山崎
はい。なるべく価格変動を小さくして安定的に収益を出すためには、組み合わせ方がとても大切だと思います。つまり、日本株だけ、外国株だけを持つとリスクは高くなります。日本株50%、先進国35%、新興国15%の組み合わせのリスクを計算したところ、新興国が入っていても、日本株100%で持つ時よりリスクが低くなることが分かりました。中国など新興国の株価は上がるときは一気に上昇しますが、下がるときもあっという間に大きく下がります。新興国の比率は15%位がほどほどではないでしょうか。
竹川
域別の分散投資という意味では山崎さんと同様に私も日本株以外にも、海外へも適切に分散投資することが重要だと思います。具体的には、株式なら、日本40%、海外60%。海外の内で新興国は最大30%(全体の2割弱)くらいがいいのではないかと考えています。
また、地域だけでなく、株以外の債券なども含めて分散投資も考慮するといいのではないかと考えています。株と債券は違った値動きをするので、株価下落のクッションとして債券を組み入れることもひとつの方法ではないでしょうか。
山崎
私が計算してみたところでは、海外の債券などを組み合わせると為替リスクが大きくなりすぎたり、コストが高くなったりするなどの理由で、投資効率の面ではあまりうまくいかない結果がでています。ただ、株以外にも債券や不動産関連の投資信託を少し持っていると、こうしたマーケットにも関心を持つようになるかも知れませんね。
山崎
投資の初心者の方にはぜひ知っておいて欲しいことがあります。株価というものは投資家がいくらで買おうが、結婚資金だろうが、相続のお金だろうが、投資家の気持ちとは無関係なもの。投資の世界では「自己中心的なドキドキ感」や将来のお金の使い道などの夢は置いておき、少しドライに考える事が大切。論理的に正しいとわかっていることと、感情的にとる行動の間にはギャップがあるので、そのギャップを十分に理解して理論の方に従うのがコツです。
竹川
そのとおりだと思いますね。自分の経験上、感情を入れると負けます(笑)。多くの投資家は値段を追いかけがちですが、感情を排して市場にいかに長く留まっていられるかを考えてルール化することが一番大事です。たとえば、資産配分を決めて、1年に1回、時価をチェックする。そして、4年に1回、投資先の比率を見直そうとか、自分で何かルールを決めて淡々と実行することが大事。逆に、積立金額についてはライフステージに即して柔軟に変えればいいと思います。とにかく継続が大切。仕事できちんと収入を得て、趣味を楽しみながら、手間をかけずにコツコツ資産形成することがインデックスファンドのメリットなのです。
ファイナンシャル・ジャーナリスト。LIFE MAP,LLC代表。出版社や新聞社などを経て独立。
1999年フィナンシャル・プランナー資格取得。
書籍やマネー関連の雑誌、新聞などで幅広く取材・執筆活動を展開するいっぽう、投資信託やETF、確定拠出年金セミナーの講師などを務めている。
『たりないお金』『投資信託にだまされるな!』(ともにダイヤモンド社)、『しくみマネー術』(PHP研究所)など著書多数。
竹川美奈子著「たりないお金」を購入する(楽天ブックスサイトへ移動します)
1981年三菱商事株式会社入社
12回の転職(野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券など)を経て、2005年から現職。ファンドマネジャー、コンサルタント等の経験を踏まえ資産運用分野が専門。雑誌やウェブサイトで多数連載を執筆し、テレビのコメンテーターとしても活躍。
『超簡単 お金の運用術』(朝日新書)、『資産運用実践講座 1』、『資産運用実践講座 2』(ともに東洋経済新報社)など著書多数。
山崎元著「超簡単 お金の運用術」を購入する(楽天ブックスサイトへ移動します)
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