海外の国々ではTPP(Trans - Pacific Strategic Economic Partnership Agreement 環太平洋戦略的経済連携協定)はどう捉えられているのでしょうか? アメリカをはじめとする交渉参加国がTPPに参加する狙いは何でしょうか?
TPPによって日本国外ではどのような投資機会が生じるのでしょうか?
米国在住で海外投資に詳しい広瀬隆雄氏に、この問題についてレポートしていただきました。
<目次>
1982年慶應義塾大学法学部卒業。1986年 三洋証券株式会社入社後、S.G.ウォーバーグ証券会社入社(現UBS証券)、ハンブレクト&クイスト証券会社(現J.P.モルガン証券会社)と、常にADRに関連した業務に従事。2003年にBRICsを中心としたエマージングマーケットに特化した投資顧問会社を設立、マネージング・ディレクターとして活躍。
まず交渉参加国をおさらいすることにしましょう。
現在、TPPの交渉に積極的に参加しているのは下の表の12カ国です。表中、ランキングというのはICC(国際商工会議所)のOMI(オープン・マーケット・インデックス)における順位です。上位であるほど市場がオープンであることを示しています。スコアは、それぞれの国の市場が貿易の面でどのくらい開かれているかについて6点を最高点、1点を最低点として評価したものです。
国名 | ランキング | スコア |
---|---|---|
シンガポール | 2位 | 5.3 |
オーストラリア | 29位 | 3.8 |
カナダ | 30位 | 3.8 |
マレーシア | 31位 | 3.8 |
ニュージーランド | 36位 | 3.7 |
チリ | 37位 | 3.7 |
アメリカ | 39位 | 3.6 |
日本 | 43位 | 3.5 |
ベトナム | 50位 | 3.1 |
ペルー | 53位 | 3.1 |
メキシコ | 58位 | 2.8 |
ブルネイ | 今回調査の対象外 | 今回調査の対象外 |
この表からも分かる通り、今回のTPP交渉参加国は、市場開放度の点でばらつきのある、実に色々な国々から構成されていることがわかります。それゆえ、純粋に経済の観点からは、このような多様性に富む参加国の思惑を、ひとつの言葉で括ることは難しいです。
次に主な貿易パートナー国間で関税がどれだけ課せられているかを図示します。農作物(Ag.)とそれ以外(In.)の、それぞれのタリフ(関税率)を示しておきました。矢印の方向へ輸出しようとした場合、その矢印の先の相手国がどれだけの関税を課すかということを示しています。なお、この図は網羅的ではありません。
この図から読み取って欲しいことは、一般に農作物の関税は、工業品などより高いという点です。
もうひとつのポイントは、バラバラな関税率がすでに存在しているので、TPP交渉を通じてその調整をはかるのは困難を極めるという点です。
ちなみに日本はアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの四カ国とは二国間自由貿易協定を締結していません。
TPP交渉参加国に中国の名前がありません。これは重要なポイントです。
中国が参加していないのは偶然ではありません。ある意味では、TPPは中国をけん制するための道具であるとも言えます。
つまりそれぞれ勝手な思惑や利害を抱いているTPP参加国をひとつにまとめているのは、中国に対する抑止力という、いささか政治的な動機なのです。
もともとTPPはシンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの四カ国(=これをP4と略す場合があります)で結ばれた経済連携協定でした。アメリカがTPPの交渉に参加を決めたのは比較的最近の、2008年になってからです。
その時のアメリカには、中国に対抗して交渉力をアップしたいと考えていました。
というのも2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に参加したとき、中国の貿易のやり方に、いろいろな改善がみられるのではないか? という期待があったのです。
具体的には知的所有権の保護を怠っている、人民元のレートをわざと低く固定している、国有企業に低利の融資を行うなどして不公平な競争をしているというような点です。
しかし、WTO加盟後も中国がこれらの点を是正しないため、アメリカは新しい交渉の切り札を模索してきたのです。アメリカは、ほぼこの目的のためだけにTPPに参加したと言っても過言ではないでしょう。
一方、ベトナム、ブルネイ、シンガポールなどの国々は重要な貿易の航路である南シナ海のルート確保ならびに領有権を巡って、中国と緊張関係にあります。1:1で交渉しても勝ち目は無いので、経済連携協定を通じて結束し、交渉力を高める必要が生じました。
つまりTPPは経済連携協定という隠れ蓑を着た、ある種の「中国包囲網」であると捉えることもできるのです。
具体的にはTPPの規定に沿って無関税扱いを受けようとすれば、TPPの原産地規則を満たす必要があります。それは原料や素材に中国のものが混じっていてはいけないことを意味するのです。
しかしTPPをこのように国際政治の道具に使うことに対する危惧の声もあります。
TPPで中国をあからさまに仲間はずれにすることは、中国の態度を硬化させる危険性があります。
TPPへ参加するか迷っている国にしてみると、中国につくか、それともTPP参加国の側につくかの実質的な「踏み絵」を踏まされることを意味します。
しかし、経済連携協定の交渉当事国にとって、中国への牽制というメリットより、雇用や賃金に与えるデメリットの方が大きければ参加する意味はありません。
過去の協定が、協定加盟国にどんな影響をもたらしたのかを検証する必要があるわけです。
そこで実際の例を見てみましょう。ここでは北米自由貿易協定(NAFTA)を例にとります。
なおNAFTAを参考にした理由は、比較的最近の事例であるとともに当事国がカナダ、アメリカ、メキシコの三国に限られており、調査がしやすいからです。
ただNAFTAを参考にする際に気をつけるべき相違点としてはNAFTAの場合、メキシコとアメリカの賃金格差や経済力の差がはっきりしており、それぞれの国にとって交渉を進める上で大きなインセンティブ(例えば工場移転)や障害(例えばメキシコの農業)があった点です。また、この三国は隣接しており、製品の輸入が容易でした。これは地域的に拡散したTPPと大きく条件が異なります。
交渉に際しての各国の熱意、当事国の国民の盛り上がり、その他、あらゆる面でNAFTAの方がTPPより勢いがあったと言えるでしょう。
そうした大きな違いを踏まえた上で、NAFTAのインパクトを振り返ってみます。
NAFTAでは1992年2月にテキサス州サンアントニオの会議でカナダ、アメリカ、メキシコの三国が基本合意に調印しました。その後、1993年11月に米国議会がNAFTAを承認し、クリントン大統領が12月に調印し、1994年1月から実施となりました。
アメリカの企業は国境の向こう側のメキシコに工場を建てた方が安い労働力を利用することができるので、直接投資を積極的に進めました。
メキシコに対する直接投資(10億ドル、IMF)
マキラドーラの雇用(千人、INEGI)
こうした工場の移転の影響もあり、メキシコの輸入と輸出を合算した金額がGDPに占める割合は増加しました。
輸入+輸出がGDPに占める割合(%、世界銀行)
米国の側から見れば、これは輸入が増えることを意味します。
NAFTAの前と後での米国の輸入成長率(%、年率、米国国勢調査局)
メキシコへの工場の移転がアメリカ国内の雇用環境を悪化させたかどうかという点については、少なくとも失業率の点からは、ハッキリした悪影響を見出すことはできませんでした。
NAFTAの前と後の米国の平均失業率(%、USTR)
またメキシコの安い賃金の労働者と競争になるので、これがアメリカの賃金を圧迫するという懸念がありましたが、それもデータには反映されていません。
NAFTAの前と後の米国の賃金成長率(%、年率、USTR)
サンアントニオ会議からNAFTAの発効した1年余りの間に、メキシコの株式市場は+51.4%も上昇しました。
メキシコ・ボルサ指数(引き値ベース)
メキシコ株が人気になったので、企業の資金調達も活発化しました。1991年から1994年にかけて、メキシコの電話公社テルメックス、テレビ局のテレビーザ、銀行のバンコメール、セメントのセメックス、エンジニアリング会社のイカ、飲料のコカコーラ・フェムサなどが続々と海外の市場に株式を公開しました。
これらの事から協定は当事国間の親近感を高め、直接投資や株式投資のインセンティブを提供したと言えます。
また当事国間の国際関係の安定を増す効果があったことを付記しておきます。
次にアメリカがTPP交渉で注目している点ですが、それを考える際に参考になるひとつの文献は、保守系のシンクタンクであるヘリテージ財団の上席リサーチ・フェロー、デレク・シザーズの発表した論文です。なお、ヘリテージ財団はあくまでもアメリカの保守系の意見を代表する組織なので、これがアメリカのコンセンサスではないことを断っておきます。
「アメリカにとって良いTPPとは何か?」と題されたその論文の中ではシザーズは次のように要点をまとめています:
いま国有企業と言った場合、中国はとりわけ国有企業が幅を利かせていることが知られています。するとTPPで国有企業の活動に制限を加えることを盛り込むと、例えばシノペックやCNPCといった企業がアメリカでシェールガスの権益を取得するなどの際に、干渉しやすくなることを意味します。
なお、TPPが締結されると現在のようにシェールガスの対日輸出に際して、案件ごとにオバマ政権の承認を取り付ける必要がなくなります。なぜなら自由貿易協定を締結している相手に対するエネルギー輸出を、アメリカ国内事情から故意に政府が阻止することは協定違反になるからです。言い換えれば日本にとってTPPはエネルギーの安全保障の面で大きなプラス効果があるということです。
知的所有権の保護の問題は、日本ではジェネリック薬の使用を困難にするとか、インターネットの自由を脅かすなどの面での議論が多いように思います。
しかしアメリカの本当のターゲットは中国です。
つまりTPPである程度、知的所有権の保護について謳っておけば、知的所有権の保護にとりわけ無頓着なことで知られている中国を機会あるごとに糾弾できるのです。
SONYやToyotaのような「日の丸ブランド」が米国でマーケティングされることはアメリカ人も歓迎ですが、中国企業が独自の「中国ブランド」でアメリカでマーケティング展開することは、今後、この規定により一層困難になる事も予想されます。
それはブランド・プレミアムを中国企業が享受できず、いつまでもアメリカ企業の下請けの立場に甘んじることを意味します。
アメリカが農業ではなくむしろサービス・セクターに関心を抱いている点は注意する必要があると思います。サービス業の中でも金融サービスは歴史的にアメリカのグローバルでのマーケットシェアが高いセクターです。それだけ競争力があると言い直しても良いでしょう。むしろこの分野で一層の市場開放を要求した方がアメリカにとっては得だというソロバンをアメリカは弾いているのです。具体的には保険、ホールセール・バンキング、資産運用などがターゲットにされる可能性があります。
さて、個別の投資機会の紹介に入る前に、全体的な視点から述べると、TPPはこれまで見て来たように「中国包囲網」のような性格を帯びています。このことは交渉期間中、そしてTPP成立後も、TPPメンバー国は身内に寛容な態度を取ることを意味します。
具体的には日米関係で言えば、アメリカは日本が円安政策を打ち出しても、それを大目に見る可能性が高いということなのです。
それは対米輸出の局面で、日本と中国が競争した場合、日本がシェアを盛り返すチャンスが与えられているという風にも捉える事ができると思います。同じ事は韓国(TPP交渉参加国ではありません)についても言えます。
TPPが成立するとシェールガス対日輸出はアメリカ政府の勝手な気まぐれで阻止できなくなります。これは日本のエネルギー安全保障にとって大きなプラスです。また液化天然ガス(LNG)のかたちで日本への輸出業務を手掛けようとする商社をはじめ、あらゆる事業参加者の政治リスクを大きく軽減します。これはLNG輸出施設への直接投資を加速させる可能性があるでしょう。
そのことはLNG輸出施設の設計・建設に携わる業者、LNG船の船主、LNG輸出施設の企業、そしてシェールガスの生産会社などが恩恵を受けます。
銘柄(ティッカー・シンボル) | 業務内容 |
---|---|
シカゴ・ブリッジ&アイアン(CBI) | LNG輸出施設の設計・建設 |
KBR(KBR) | LNG輸出施設の設計・建設 |
シェニエール・エナジー(LNG) | LNG輸出施設 |
ゴラール・エル・エヌ・ジー(GLNG) | LNG船の船主 |
サウスウエスタン・エナジー(SWN) | シェールガスの生産会社 |
パイオニア・ナチュラル・リソーシーズ(PXD) | シェールガスの生産会社 |
金融サービスはアメリカが1980年代から日本に対して市場開放を働きかけてきたセクターです。近年はリーマンショックなどの影響でアメリカの金融サービス業界は「内向き」になっていますが、アベノミクスによる日本株の復活とともに、再び外圧が強まりそうです。
銘柄(ティッカー・シンボル) | 業務内容 |
---|---|
アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) | 保険 |
モルガン・スタンレー(MS) | 投資銀行 |
ゴールドマン・サックス・グループ(GS) | 投資銀行 |
シティグループ(C) | 銀行 |
ブラックロック(BLK) | 投信・資産運用 |
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は新興国にどのような影響を与えるのでしょうか?
現在、TPP交渉に参加している新興国はブルネイ、マレーシア、ベトナム、チリ、ペルー、メキシコの各国です。また最近、中国がTPPに多大な関心を寄せていると発言しています。
一般に経済連携協定(EPA)は参加国同士の投資を活発化させます。
企業の立場からその理由を考えると、経済連携協定に参加しようとする国は、長期に渡って安定的な貿易ならびに外交関係を構築することに前向きであり、そんな姿勢がビジネス・リスクを低減させるからです。
また経済連携協定に参加しようとする新興国は、大急ぎで法律やビジネス上での慣習を協定に参加している先進国並みにグレードアップする必要に迫られます。こうした改革もそれらの国の投資適格性を高める効果が期待できます。
新興国が先進国に追いつこうとする場合、大別して二つの道があります。
ひとつは先進国の下請けとして仕事を貰う代わりにノウハウを習得し、国際協業を通じて伸びるやり方です。
もうひとつは輸入品に高い関税を課し、ヨチヨチ歩きの自国の産業を保護し、国民に国産の製品を買うように仕向けるやり方です。これを輸入代替政策と呼ぶ場合もあります。
心情的には純国産にこだわる輸入代替政策に魅力があります。しかし過去に輸入代替政策を採用した国はほとんど上手くいっていません。
輸入代替政策は自国の産業を甘やかす結果に終わります。これは自転車に乗る稽古をするときの補助輪にたとえることができます。補助輪をつけたまま練習してもいつまでも上達しないのと同様、過保護な政策は経済の足腰を弱くします。
経済連携協定は関税や非関税障壁を取り払い、競争を促すやり方です。
従ってこれは前者の選択肢ということになります。そこでは変化を強いることになるので、国内的な反発も大きくなります。
日本のようにすでに経済が発展し、様々な制度やビジネスの手順が確立した国ですらTPPの交渉となるといろいろ不安な事が飛び出してきます。
増してや産業が未熟で、国際競争力が未知数で、なおかつ色々な旧習のしがらみを抱えている新興国が経済連携協定に参加するのは、とても勇気が要ることです。
逆の見方をすれば、経済連携協定に加盟することで他の新興国より一足先に改革に着手し、自己変革のひとつのきっかけにするという狙いもあるのです。
上に述べた、今回TPPの話し合いに参加している新興国の中には、マレーシアやチリのようにすでに中進国の水準まで経済が発展している国もあります。つまり新興国とひとくちに言っても、各国の立場や実力には大きな開きがあるのです。
その中で、恐らくTPPに参加することで最も背伸びを強いられる国はベトナムだと思います。
ベトナムはドイモイ政策を打ち出して以降、自由貿易を経済発展の柱に据えた、積極的な国づくりを展開しています。
その一方で生産に占める国有企業の比率が20%を超えるなど、まだまだ政府系企業が幅を利かせています。普通、経済の自由化の後では国有企業のGDPに占める割合はどんどん低下するので、ベトナムのケースは例外的だと言えます。
米国は、TPP交渉に臨むにあたり、国有企業の活動の制限をひとつの大きな交渉のポイントとしたいという意向を持っています。このことはベトナムがTPPに残るのは、前途多難であることを示唆しています。
しかし、逆の言い方をすれば、課題が多い国ほどTPPを通じて「大人になれる」ポテンシャルを秘めているのです。
実際、北米自由貿易協定(NAFTA)の際も、カナダ、米国、メキシコの三国のうち、一番経済の立ち遅れていたメキシコが投資ブームになりました。なぜなら、投資家はメキシコの変化率が最も急こう配になるだろうと考えたからです。
この理屈を当てはめれば、TPPで最も注目される新興国はベトナムなのです。
ある意味、ベトナムにとってTPPはまたとないチャンスです。なぜなら、近年、ラオス、カンボジア、ミャンマー、バングラデシュなど、ベトナムの近隣には製造業のニューフェースが続々登場しているからです。
つまり労賃が安いというだけでは、もうベトナムはユニークな競争優位を持てないのです。
これらの近隣諸国は未だ法制度やビジネス慣習が確立されていません。TPPはそれらを整備する、良い機会です。だからベトナムがこれらの国々よりひとつ抜きん出た存在になろうとすれば、TPPはまたとないチャンスなのです。
TPPのひとつの争点は金融サービスです。とりわけアメリカは交渉に際して金融サービスの改革と市場開放を強力に主張してくると思われます。
そこでは:
弱い銀行の統合
不良債権の処理
株式会社化の促進
株式資本の調達
内部管理の強化
リスク管理の強化
銀行業法の強化
などが話し合われる可能性があります。
もちろん、この全てが議論されるということではないでしょうが、これらはかねてからベトナム金融界が抱えて来た懸案でもあり、「外圧」がかかることはむしろ変革のスピードを加速させる可能性があります。
ベトナムは下の信用残高のグラフからも分かる通り、これまで比較的小さかった銀行サービスが経済に占める割合が、近年、爆発的に増加しました。このことは焦げ付き融資や不動産投機など、歓迎せざる副作用をもたらしています。
特にベトナムの銀行は内部管理や融資基準など、ビジネスを行う上での手順が未整備のうちにブームを迎えたので、すぐに問題が顕在化しました。
また政府系金融機関の融資の60%は政府系企業に振り向けられており、この親密すぎる関係が問題融資の温床となってきました。
こうした脆弱さを是正するためにも、TPPは歓迎すべき試練なのです。
ベトナムは昔からオフショア油田の石油収入がありました。これはベトナムにとっては幸運には違いないのですが、今後、オフショア油田からの収入は資源の枯渇により漸減すると見られています。
その減少分を法人税、消費税などで補う必要が出てきます。つまり税制改革が必要になるのです。
また政府系企業は今後、政府の庇護から次第に離れ、独立で資本市場から今後の先行投資のための資金を調達することが望ましいです。
現在、ベトナムでは外人持ち株比率は49%まで許されています。これは過半数株式に満たない水準です。ベトナム企業が本格的に経営の刷新をしようと思えば:
1. 外人投資家の過半数株式取得を認める
2. ベトナム企業を海外の市場に上場することで、外国の開示基準に従う
のどちらかを行う必要があります。
もちろん通信、石油、鉱業などの戦略的に重要な産業は今後も政府が過半数株式を支配するでしょう。しかし食品加工やタバコなどの分野は政府が所有する必要性は低いです。
最近、一部のセクターで外人持ち株比率を49%から引き上げることが許可されました。これは本気でベトナム進出を考える外国企業にとっては朗報です。
中国の場合、石油や通信など、戦略的に重要で、政府が過半数株式を継続して所有したいと考えるセクターについては、2.の方法、つまり香港やニューヨークなどの海外市場に株式を上場することで、それらの上場先の会計基準や開示基準に準拠することを奨励しました。
ベトナムの国有企業は貸借対照表、損益計算書などの公表がしっかりできていないところが多いです。
どんぶり勘定で、コスト意識が薄いので、それらの国有企業は沢山の余剰人員を抱えています。
それにもかかわらずそれらの非効率な国有企業が余りにも支配的な市場占有率を維持しているため、競争が促進されず、それが経済の悪いパフォーマンスにつながっています。
一例として電力公社は電気料金を規制されている関係で、競争意識が低く、ムダにつながっています。また価格統制は、その統制下で操業する企業が本業から利益を出す意欲を削ぎ、安易な方法での副業へ駆り立てます。
ベトナムの政府系事業会社が皆、金融子会社を設立したのがその好例です。そして彼らは不動産投機などへ乗り出して行ったわけです。
結局、その後始末をするのはベトナム政府ということになり、国有企業の非効率や放漫経営で損をするのは政府ということになるのです。
ベトナム国内的には、TPPへの参加に対する大きな反発も予想されます。上に述べた通り、既得権益に浴している国有企業の関係者は改革には反対でしょう。
またGDPの22%を占めるベトナムの農業は世界的にみても極めて生産性が低いです。従って、自由化はベトナムの農家に大きなプレッシャーをかけることになります。
このようにベトナムが途中でTPPから落後するリスクも大きいのです。
「中国の次は、ベトナムだ」と世界の投資家がベトナムに注目したわけですが、ベトナム経済のテイクオフが中国よりずっとモタモタしている理由は、ベトナム政府が国有企業の改革の手をこまねいているからです。非効率な国有企業がベトナムの資産や融資の過半を占めているので、民間企業は「酸欠状態」になっています。
この旧弊をTPPによってベトナムが打破できれば、ベトナムは本当に素晴らしい成長ストーリーになると思います。
外国株式等は、株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、為替相場の変動等により損失(為替差損)が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等により、損失が生じるおそれがあります。
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