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第9回 債券のクーポンと償還の種類

今回のトピックは、クーポン(利率の形式や算式)と償還の種類の違いです。数ある中から代表的な例を紹介いたします。

目次

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クーポンの種類

クーポン(利率)の形式は、発行体の要望や投資家の需要を反映して、様々な形式があります。中でも、満期まで一定の利率で固定されている形式が一番ポピュラーですが、その他にも以下の通り代表的な形式があります。

クーポン形式

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クーポン形式 利率決定の概要 特徴・メリット
固定 固定 債券期間中、一定の利率 シンプルかつ、最もポピュラー
固定 ゼロ・低クーポン クーポン無し、もしくはゼロに近い固定利率。
その替わり、割引価格で投資可能
定期的な利金を求めない・必要としな
い投資家向き
固定 固定ステップアップ 当初の固定利率が段階的に上昇するタイプ 通常の固定利付き債に比べ、受取り
利息の合計額が増える性質がある
変動 変動「フローター」 定期的にその時々の金利水準を参照して
利率が変動するタイプ
金利相場に連動して変動するため、
上昇時にはうまく適応。
変動 変動ステップアップ 当初の一定期間は固定利率、その後は
上記の変動クーポンになるタイプ
劣後債に多く、固定利率と比べ変動利率
は大幅ステップアップする債券が多い
変動 デジタル(仕組債) 予め設定の株価などのレートを参照し、高い/
低い利率が定期的に判定されるタイプ
仕組債に設定され、一般的には参照レート
の一定の上昇や高値推移すると高い利金の
享受が可能
変動 パワー(仕組債) 予め設定の算式に株価等の変数を代入し、
定期的に算出されるタイプ
仕組債に設定され、一般的には参照レート
の一定の上昇や高値推移すると高い利金
の享受が可能

償還時期の種類(償還タイミング)

多くの場合、償還の時期は数年後から十数年の期間が設定されていますが、償還しない債券や、償還日が確定していない形式のものもあります。

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償還期限形式 償還時期決定の概要 特徴・メリット
確定 ブレット「ストレート」 満期の前に償還する条項は付いてい
ないタイプ
最も一般的なタイプ、かつシンプル
早期 任意コール 満期以前に発行企業の任意で早期
に償還する可能性があるタイプ
発行企業は資金の需要に合わせて返金
可能で、通常はブレットよりも高い利回り
が期待できる
早期 自動コール「トリガー」 株価や市場レートが、設定された条
件を満たすと自動で早期償還するタ
イプ
仕組債に多いタイプ。市況の見立て等に
見合う条件を設定することが多い
早期 任意コール付き永久 満期の設定は無いが、一定期間後
に任意コールが付いているタイプ。
早期償還しなければ永久(償還無し)
金融機関の資金需要を満たし、利回り
が高めの劣後債の発行が多い
永久
確定
永久「パ-ペチュアル」 満期の設定がなく、永久に償還しな
いタイプ
恒久的または超長期の資金ニーズがある
電力会社などの発行体が発行。期間が長
い分利回りは高め

償還価格の決定方法の種類

一番多いのは額面の100%で償還タイプですが、以下の通り、変動する形式もあります。

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償還価格形式 償還価格決定の概要 特徴・メリット
確定 額面の100% 市場レートなどに関わらず、100%で償還す
るタイプ。
シンプルかつ、最もポピュラー。
変動 株価・為替連動 一定の株価上昇で償還価格が上昇か、一
定の低下で償還価格が下落する例
転換社債や仕組債などが例。下落リスク
がある場合は利率が高めに設定されるな
どのメリット

今回ご紹介のクーポン形式、償還時期、償還価格に加えて、「第8回 債券の格付け」でお話した発行体の信用力を加えた4つの要素で、債券の性質の殆どが決まります。固定利付き債以外にも様々な形式があり、それぞれのメリットがある一方、特に変動するクーポン形式や償還価格形式の債券への投資をお考えの際には、どんなときにどのように変動するか、リスクをよく理解した上で投資判断をしましょう。

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