不公正取引とは、相場操縦、風説の流布、偽計、作為的相場形成などといった行為を行うことで、公正な価格形成を阻害し、他の投資者に不測の損害を与えることであり、金融商品取引法で禁止されております。このような行為を行った違反者には、証券取引等監視委員会による刑事告発や課徴金納付命令の勧告が行われます。
当社では、不公正取引未然防止及び証券会社の受託責任の観点より、お客様の取引に対して、不公正取引の虞となっていないか 審査を行っております。当該審査では、お客様の日々の取引や過去の取引内容、銘柄の特性等を考慮し、不公正取引の虞が見受けられた 場合には、取引動機の確認や取引形態に応じた「注意喚起」を行っております。 なお、「注意喚起」を行った後も取引形態に改善が見受けられない場合には、新規取引を制限させていただく場合がございます。 また、必要に応じて金融商品取引所や証券取引等監視委員会に報告いたします。
日本取引所自主規制法人より、不公正取引防止のためのリーフレットが頒布されております。 当該リーフレット及び当コンテンツをご確認いただき、不公正取引へのご理解を深めていただきますようお願い申し上げます。
現物取引または信用取引に関わらず、同一銘柄の買いと売りのご注文を同時に行う取引のことをクロス取引といいます。
楽天証券では、クロス取引となる注文が不公正取引の一形態である権利の移転を目的としない仮装の有価証券の売買となることを防止する観点から、現物取引同士の売買において、発注中の注文がまだ約定していない場合、その注文に対する反対売買(買い注文に対する売り注文、売り注文に対する買い注文)がクロス取引に該当するときには、注文を承ることができません。注文訂正を行う際も同様の制限が入るため、訂正ができない場合があります。
また、2020年10月31日より、信用取引においても、仮装売買及び作為的相場形成防止の観点から、期日延長等を目的としたクロス取引であった場合でも、ザラ場(取引時間)中に執行されることになる注文は承ることはできません。
信用取引の期日延長等を目的としたクロス取引を行う場合には、買い注文、または売り注文に執行条件「寄付」又は「引け」を選択して発注を行ってください。
なお、2020年11月14日より、一方または両方に執行条件「不成」「大引け不成」が選択されている場合において、指値同士がクロス取引とならない注文の受注が可能となります。
相場操縦とは、金融商品取引法第159条で禁止されている行為であり、主に次のような行為のことを言います。
相場操縦行為に関する罰則
相場操縦行為を行った場合、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はその併科(金融商品取引法第197条1項5号)が定められております。
また、財産上の利益を得る目的で、相場操縦行為を行った場合、10年以下の懲役及び3,000万円以下の罰金又はその併科(金融商品取引法第197条2項)が定められております。
さらに、相場操縦行為によって得た利益も没収又は追徴されます。(金融商品取引法第198条の2)
特定の銘柄等において、取引が繁盛していると誤解を生じさせる目的を持って、同一人物が同一時期に同一値段で売り注文と買い注文を約定させる 権利の移転を目的としない取引
(1) 特定の銘柄等において、出来高を水増しし、相場が繁盛していると誤解を生じさせる目的を持って、自身の売付注文と買付注文を対当させる取引
参考例
【ポイント】
当該取引のような同一人物の売付注文と買付注文の対当売買は、繁盛等目的を持った権利の移転を目的としない仮装売買と判断される虞があります。
(2) 特定の銘柄等において、株価を変動させることを目的とした自身の売付注文と買付注文を対当させる取引
参考例
【ポイント】
当該取引のような株価を引き上げる対当売買は、変動目的を持った権利の移転を目的としない仮装売買と判断される虞があります。
また、株価を引き下げる対当売買も同様の形態として注意が必要です。
(3) 特定の銘柄等において、株数の異なる不均衡対当売買による相場操縦行為
参考例
【ポイント】
当該取引のような注文株数が売付と買付で異なる不均衡対当売買は、出来高の水増しや価格形成に影響を与える仮装売買と判断される虞あります。
また、株価を引き下げる要因である売付株数の方が大きい不均衡対当売買も同様の形態として注意が必要です。
(4) 特定の銘柄等において、終値引き上げ後の対当売買
参考例
【ポイント】
当該取引のような終値を引き上げた後の対当売買は、変動目的を持った相場操縦行為と判断される虞があります。
また、終値を引き下げた後の対当売買も同様の形態として注意が必要です。
特定の銘柄等において、取引が活況であると誤解を生じさせる目的を持って、他人(家族も含む)とあらかじめ通謀して行う同一時期に同一値段で売り注文と買い注文を対当させる取引
参考例
【ポイント】
当該取引のような馴合売買は、繁盛等目的を持った相場操縦行為と判断される虞があります。
他の投資者に相場が活況であると誤解を生じさせる目的を持って行う約定意図のない注文の発注を行うこと
(1) 自身の売付注文(買付注文)を有利に約定させるための見せ玉
参考例
【ポイント】
取引状況等を外形的・客観的に見た結果、約定意図が希薄であると判断できる状況であった場合、見せ玉を疑われる虞があります。
約定意図のない注文を発注することはやめましょう。
(2) 板状況を確認する見せ玉(見る玉)
寄り前に注文状況等を確認するために約定意図のない発注を行うこと
【ポイント】
板状況等を確認するための約定意図のない発注は、他の投資者に相場が繁盛していると誤解を生じさせてしまう虞があります。
(3) 特殊見せ玉
既に発注されている他の投資者の注文に対して、反対方向の注文を発注して売買注文の数量について均衡な状況を作出し、他の投資者の注文を誘引させない偽計的発注
参考例
【ポイント】
当該取引のような、他の投資者を錯誤に陥れるような取引形態は、特殊見せ玉として偽計の疑いを持たれる虞があります。
他人に錯誤を生じさせる詐欺的ないし不公正な策略、手段を行うこと
見せ玉の判断要素
証券取引等監視委員会は、証券会社のディーリングに対する処分勧告についての補足説明で、見せ玉の判断要素として以下を示しています。
外形的・客観的状況からみた見せ玉判断要素
特定の銘柄の株価を上昇(下落)させることで、他の投資者の取引を誘引する目的を持って行う取引
参考例
【ポイント】
上値を追うような買付(売付)を連続して、又は断続的に行っている場合、相場操縦行為と判断される虞があります。また、信用取引の返済であった場合でも、価格形成に影響を与える虞があるため、注意が必要です。
特定の銘柄の終値を高くする又は安くすることを目的として、立会終了時付近に直近価格よりも高い価格又は安い価格で終値を形成させる取引
参考例
【ポイント】
継続的又は意図的と思われる終値関与形態は相場操縦行為と判断される虞があります。
他の投資者の取引を誘引する目的がなくとも、取引の内容から実勢を反映しない相場を形成する取引
参考例
【ポイント】
価格形成に影響を与える虞のある取引形態は、作為的相場形成の疑いを持たれる虞があります。
有価証券の取引のため、また、有価証券の相場を変動させる目的を持って、合理的な根拠のない情報等を流すこと
参考例
【ポイント】
インターネット掲示板やSNS等、容易に情報交換が行えるため、安易な書き込み等が風説の流布に抵触する虞があります。
特定の銘柄の出来高に対する買付数量(売付数量)の割合の高い取引。出来高が少ない銘柄を取引した場合、相対的に高関与となりやすい高関与形態が継続すると、価格形成に影響を与えやすく、相場操縦等の不公正取引の疑いを持たれる虞がある
特定の銘柄の株価を固定することを目的として、株価が上昇も下落もしないように上値や下値に注文を発注するような取引
「釘付け」とも言われ、相場操縦等の不公正取引形態の一種である
特定の銘柄の株価を高く(安く)することを目的として、高値(安値)を付けること、また、高値形成(安値形成)後に追随する買付(売付)をするなどの取引を反復して行うことで、株価を操作すること
相場操縦の判断要素
相場操縦行為の具体的判断基準として、証券取引審議会不公正取引特別部会中間報告(平成4年1月20日)において、以下のような取引形態が示されています。
相場操縦行為としての典型的な取引類型
米国株取引において、以下のような取引手法は禁止されております。
現地監督機関等により該当する取引を行ったと判断された場合、以降のお取引を制限させていただく場合があります。あらかじめご了承ください。
米国では現物取引または信用取引に関わらず、同一銘柄を同値で買いと売りのご注文を同時に行う取引は禁止されています。
引け値に関与する目的で、取引時間終了直前等に発注・取引を行う行為は禁止されています。
約定させる意思のない注文を発注することにより、市場参加者の注文を誘発して相場を動かす行為は禁止されています。
※ 上記はあくまでも一例であり、現地もしくは現地取引所の諸規則等により随時変更される場合があります。