仕組債は、注文住宅の様にカスタム化が可能な債券です。投資家のニーズやその時の相場観などを元に、仕組の枠組みと詳細が決定されます。今回は、典型的な仕組債のタイプを紹介いたします。
仕組債は、主に利金(クーポン)と償還金の2つのパーツから構成されています。一番重要なのは、償還金の毀損リスク(「元本リスク」という)です。なかには額面金額通りに償還することが決まっている仕組債(クーポン部分のみ仕組)もありますが、仕組債の多くは元本リスク付きで、元本リスクは株価、指数や為替レートなどに連動しています。クーポンのパーツにしても、固定利率もありますが、大半は、追加のリスクがある分高いクーポンを受け取るチャンスがある形式となっています。次に、元本リスク、およびクーポンの代表的な例を紹介いたします。
EB債とは、個別の株式やETF銘柄の価格により、その償還価格が変動(毀損)する可能性がある一方、妙味ある利率などのメリットを含む債券です。EB債は、満期時の参照銘柄の価格が、仕組債の発行当時の価格を下回った場合に元本が毀損します。一方、一般的には「ノックイン条項」が付いており、参照銘柄の株価が下落しても一定水準内に収まっていれば、元本が毀損しない仕掛けが付いています。
デュアル・カレンシー債は、外国為替レートに連動する債券で、元本リスクが有るタイプ。典型的な米ドル円為替レートに連動する仕組債の元本リスクは、満期時に判定為替水準を下回った場合に元本が毀損するタイプで、中には、前述のノックイン条項を付帯して、元本が毀損する確率を低減する仕組みもあります。
仕組債といえども固定利率付きのタイプもある一方、多くはクーポン利率も参照する株価や指数やレートに連動するタイプです。典型的なのは、デジタル・クーポンと呼ばれる仕組で、EB債であれば、利払のたびに参照株価が一定の水準以上であれば、予め設定した高いクーポン利率が支払われ、未満であれば低いクーポン利率が支払われるタイプです。
早期償還の可能性がある仕組債はEB債も含め多くあります。また、一般的な早期償還は、額面金額で早期償還する設定となっています。早期償還=元本毀損リスクの消滅、となることから、早期償還条項をつけることで元本毀損リスクの軽減の効果があるといえます。
仕組債への投資をお考えの際には、必ずどんなリスクがどんな場合にあるのかを、銘柄ごとに目論見書などで確認・理解した上で投資判断をしましょう。
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