債券投資の経験がある方なら、投資メリット(リターン)である「利回り」などの数値を確認したり、比較をしたことがあると思います。しかし、リスクに関しては、景気の先行きや経済指標などから感覚的な判断をすることが多いと思います。機関投資家にとっては、「投資リスク」は定量的リスク数値も含み、参考にすることが多い項目です。そこで、今回はリスクを大きく3つのカテゴリーに分けて、実際の債券に関わる定量的なリスク量の一例をご覧いただきます。
所謂「破綻」です。企業でもその蓋然性がありますが、国家でもデフォルトすることがあります。最近では、2014年にギリシャがデフォルトした例があります。
債券単価は満期償還するまでの間、市況により変動します。一般的には、残存期間が長いほど市況変動による単価の変動は大きく、満期に近づくにつれ満期償還価格に収れんする傾向があります。
円建て債の場合は関係ありませんが、外貨建て債券の場合は、債券単価の変動に加え、為替レートが変動すると円貨での価値が変動します。
また、債券にかかるリスクとの比較のために、株価変動リスクも加えて、次にそれぞれのリスク量をご覧いただきます。
国際的な大手格付け機関のS&Pが毎年行っているデフォルトに関する調査結果の一部を示します。調査対象は、S&Pが格付けしている延べ約2万の全世界の発行組織です。
(出所:S&P Global Ratings「2017 Annual Global Corporate Default Study And Rating Transitions」)
ご覧の通り、AAAからBBB-までの、所謂「投資適格水準」(AAAからBBB-)では、リーマンショックの影響があった2008年-2009年でも年間デフォルト率1%未満、それ以外ではほぼゼロ%でした。一方、「投機的水準」(BB+からC)の内の、デフォルトに陥りやすいCCC格以下では4割以上がデフォルトの年もありました。ただ、重要なのはデフォルト率のみならず。特に、上場企業や債券発行している企業ではデフォルトしてもある程度の価値が残り、長い手続きの後に債券額面の何割かが戻ってくる場合もあります。ただ、何割程度戻るのかはケースにより全く異なりますので、詳細は割愛いたします。
尚、格付けは投資価値の指標ではなく、また、デフォルト率の絶対的評価でもなく、格付け会社の独自の意見を表しています。目安・参考情報としてお考えください。次回後編では債券単価変動リスクと為替レート変動リスクをご案内します。
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