おことわり
本コンテンツは一般的な相場の傾向について解説しており、提供する情報に関して万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答えいたしかねますので、あらかじめご了承ください。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。
単位:円
株価が高い銘柄の影響を受けやすい
日経平均株価とは、日本経済新聞社が東京証券取引所プライム市場に上場している銘柄から選定した225銘柄から構成される平均株価指数。
選定される225銘柄は、年に2回(2023年から原則として4月と10月の第1営業日)入れ替えが行われる。過去5年間の売買代金と売買代金当たりの株価変動率で「市場流動性」を測定し、特定の業種に偏らないように「業種のバランス」を考慮して選定される。また、プライム市場から他の市場へ異動した場合や上場廃止等の突発的な事態が発生した場合は、臨時入れ替えが行われる。
日経平均株価は、おおまかには225銘柄の株価の平均値となるが、具体的には株価換算係数で調整した225銘柄の株価を合計し、それを除数で割って求められる。
一般的には、日経平均株価が上昇した場合は、多くの企業の株価が値上がりしているという見方ができるが、日経平均株価を構成する225銘柄は個々の銘柄が同等の影響力を持っていない。1単元当たりの株価水準が高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすい性質があり、いくつかの値がさ株が大きく下落した場合、他のほとんどの銘柄が上昇していても日経平均株価は下がる可能性がある。
日経平均株価は、業種のバランスが考慮されているものの、絶対数が225銘柄と少ないために業種に偏りが生じる性質がある。2023年11月現在、電気機器、化学、サービス、機械といった業種の比率が高く、比率の高い業種の銘柄は日経平均株価と連動しやすく、比率の低い業種の銘柄は連動しにくい傾向がある。
一般的に金利と株価はシーソーのような関係があり、金利が低下すると株価は上昇し、金利が上昇すると株価は下落する。金利が下がると企業にとって借り入れ等の負担が軽くなり、業績向上や株価の上昇の期待が高まる。また、株式投資への資金シフトなどにもつながる。逆に金利が上がると、借り入れ等の負担が重くなり、業績悪化から株価下落につながりやすくなる。
日本の産業は自動車や電機機器等の輸出企業の割合が大きいため、米ドル円が上昇(ドル高・円安)すると株価も上昇、米ドル円が下落(ドル安・円高)すると株価が下落する傾向がある。
日経平均株価の2000~2022年までの平均月間変化率は4.26%。同期間において、11月の上昇確率が70%と相対的に高い。続いて、12月が65%、2月と6月が61%となっている。
1950年(昭和25年)9月7日、東京証券取引所が公表を始めた「東証修正平均株価」が日経平均株価のルーツ。戦争で中断していた株式売買が再開した1949年(昭和24年)5月16日を算出の起点とし、東証修正平均株価はNSB225種修正平均、日経ダウ平均株価、日経平均株価と名称が変更されて現在に至る。
日経平均株価の史上最高値(終値ベース)は、平成最初の大納会(株式市場の年内最終取引日)となった1989年12月29日の3万8915円87銭。当時は、日本経済はバブルの全盛期だったが、年が明けると株価は下落基調へと転じ、日本経済は「失われた20年」ともいわれる長期経済停滞に陥った。
単位:円
日経平均より銀行業のウエイトが高い
東証株価指数TOPIX)とは、原則、東京証券取引所プライム市場に上場している銘柄の時価総額(浮動株ベース:市場で流通し、売買されている株式)を指数化したもので、日本経済の動向を示す代表的な経済指標として用いられるほか、ETFなどの金融商品のベンチマーク(運用の指標となる基準)として利用されている。
2022年4月の東京証券取引所の市場区分(東証一部・東証二部・JASDAQ・マザーズからプライム・スタンダード・グロース)の再編に伴い、現在はTOPIX構成銘柄の対象について、旧東証一部の全銘柄をプライム市場の全銘柄とする見直しが行われている。流通株式時価総額100億円未満の銘柄については、2025年1月末までに改善が認められなければ、TOPIX構成銘柄から除外される。2023年9月末時点の銘柄数は2,156。
1968年(昭和43年)1月4日の時価総額(8兆6020億5695万1154円)を基準指数100として算出される(算出時の時価総額÷基準日の時価総額×100)。
日経平均が225銘柄を対象に指数化されているのに対し、TOPIXはプライム市場全体を対象としているため、日本の株式市場全体の変動を示すものと捉えられるが、時価総額ベースのため、時価総額の大きい銘柄(大型株)の影響を若干受けやすい性質がある。2023年11月時点で、プライム市場の時価総額上位5社は、トヨタ自動車、ソニーグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本電信電話、キーエンス。
TOPIX構成銘柄の業種別ウエイト(2023年9月30日時点)をみると、日経平均株価と同様に電気機器がトップで16.85%。続いて、輸送用機器が8.83%、情報・通信業が8.05%、銀行業が7.12%、卸売業が6.77%。日経平均株価よりもウエイトが最も高い業種は銀行業。銀行株主導で日本株が上昇した場合、日経平均株価よりもTOPIXの上昇率が高くなる傾向がある。
一般的に金利と株価はシーソーのような関係があり、金利が低下すると株価は上昇し、金利が上昇すると株価は下落する。金利が下がると企業にとって借り入れ等の負担が軽くなり、業績向上や株価の上昇の期待が高まる。逆に金利が上がると、借り入れ等の負担が重くなり、業績悪化から株価下落につながりやすくなる。TOPIXは日経平均よりも相関関係が弱い。
日本の産業は自動車や電機機器等の輸出企業の割合が大きいため、米ドル円が上昇(ドル高・円安)すると株価も上昇、米ドル円が下落(ドル安・円高)すると株価が下落する傾向がある。TOPIXは日経平均よりも相関関係が強い。
TOPIXの2000~2022年までの平均月間変化率は3.82%。同期間において、12月の上昇確率が65%と相対的に高い。続いて、10月11月が61%となっている。
1969年(昭和44年)7月1日、東証修正平均株価(現在の日経平均株価)が内包する様々な問題を解決する目的から海外の諸例を参考として、東京証券取引所が公表を始めた。その後、大型、中型、小型といった企業規模別、TOPIX構成銘柄を時価総額や流動性の規模に応じて区分したTOPIXニューインデックスシリーズ(TOPIX Core30、TOPIX Large70など)の株価指数も公表している。
TOPIXの史上最高値(終値ベース)は、1989年12月18日の2884.80ポイント。株価を急騰させた背景は諸説あるが、政府と日銀による大規模な公共事業や低金利政策などで景気を刺激し、景気が過熱しても景気刺激策を緩めなかったことが一因。
単位:米ドル
通称:「ダウ平均株価」
米国ダウ工業株30種平均指数とは、米国のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表する米国の代表的な株価指数で、米国では最も古い歴史を持つ。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックに上場する銘柄のうち、優良な30銘柄が選定される。主な選定基準は、成長性や知名度が高い企業、米国で設立されて米国に本社を置く企業、売上高の大半を米国内で生み出す企業などとなっている。
指数は構成銘柄の平均を示したもの、ダウ式平均株価で算出される。このため、個々の銘柄の株価に左右されやすく、特に1単元当たりの株価水準が高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすい性質がある。2023年11月時点で、影響度の大きい上位3銘柄は、ユナイテッドヘルス(UNH)、マイクロソフト(MSFT)、ゴールドマン・サックス(GS)。
構成銘柄は定期的に見直しが行われているほか、時代の流れや社会情勢を踏まえて銘柄の妥当性が検討され、銘柄の入れ替えは必要に応じて不定期に実施される。
2023年11月時点の構成銘柄の業種別銘柄数は、情報技術が7銘柄、生活必需品、金融、ヘルスケア、資本財がそれぞれ4銘柄、一般消費財が3銘柄、コミュニケーション・サービスが2銘柄、エネルギー、素材がそれぞれ1銘柄となっている。
米国ダウ工業株30種平均指数は、米国の経済や国際情勢、企業業績などさまざまなファンダメンタルズやテクニカルの要因に影響を受ける。特に米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策は重要で、金融政策を決めるうえで参考となる経済指標の結果にも左右される。
金利が上がると企業は銀行からの借り入れをしづらくなり、設備投資を縮小する。企業の成長が鈍化すると賃金の伸びが低迷し、個人も金利上昇により住宅ローンや自動車ローンを組みにくくなるなか、消費が抑制される。このように利上げによって経済活動は抑制されるため、一般的に金利と株価は逆相関の関係にあるといわれる。
一般的に株価が上昇した場合は、その国の経済情勢が良いため、通貨も買われる傾向がある。逆に株価が下落した場合は、経済情勢が悪いため、通貨が売られるという相関関係があるといわれる。ただ、金利との関係もあり、通貨と株が逆相関となることもある。また、グローバル企業や輸出企業にとっては、自国通貨の下落は、売上のかさ上げにつながる。
同期間において、4月と7月の上昇確率が78%と相対的に高い。続いて、10月11月が70%となっている。
1896年5月に算出が開始された。当初は工業化が加速している時代背景を反映し、工業系の銘柄を中心に12銘柄で構成されていた。1916年に20銘柄に増え、1928年に現在の30銘柄で構成されるようになった。なお、2018年6月にゼネラル・エレクトリック(GE)が除外されたことで、1896年当初から継続して採用されている銘柄はなくなった。現在、最も古く継続採用されている銘柄は1932年に採用されたプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)。
米国ダウ工業株30種平均指数の史上最高値(終値ベース)は、2022年1月4日の3万6799ドル65セント。
単位:米ドル
米国市場時価総額の約80%を占める
米国S&P500種指数は、米国のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表する米国の代表的な株価指数のひとつ。
米国の株式市場全体に対して約8割の時価総額比率を占めているため、米国市場全体の動きを概ね反映しているといわれている。
構成銘柄に採用される企業は、米国企業で時価総額が145億ドル以上(2023年10月時点)、流動性が高い、浮動株が発行済み株式総数の50%以上、4四半期連続で黒字の利益を維持していることなどと複数の条件を満たす必要があり、米国を代表する優良な500の企業となっている。
指数は浮動株調整後(市場に流通し売買されやすい株式)の時価総額加重平均(各銘柄の時価総額を合計し、基準日の時価総額合計で割る方法)で算出される。このため、時価総額の高い銘柄(大型株)の影響を若干受けやすい性質がある。2023年10月時点で、構成比率の割合が高い企業は、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)、エヌビディア(NVDA)、アルファベット(GOOG、GOOGL)などで、構成される上位銘柄の企業業績が悪くなると、指数全体に影響を与えるなど、市場の全体像が反映されないケースもある。
構成銘柄は基本的に四半期ごとに見直しが行われるが、定期的に入れ替えが行われるわけではなく、必要に応じて実施される。2023年10月時点での構成銘柄の業種別(世界産業分類基準セクターによる分類)比率は、情報技術(28.1%)、ヘルスケア(13.1%)、金融(12.8%)、一般消費財(10.6%)、コミュニケーション・サービス(8.7%)などとなっている。
米国S&P500種指数は、米国の経済や国際情勢、企業業績などさまざまなファンダメンタルズやテクニカルの要因に影響を受ける。特に米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策は重要で、金融政策を決めるうえで参考となる経済指標の結果にも左右される。
米国ダウ工業株30種平均指数よりも相関関係が弱い。
米国ダウ工業株30種平均指数よりも相関関係が強い。
超大型企業だけでなく、それよりも規模が小さく、超大型企業に比べて株価が大幅かつ頻繁に変動する企業が多数含まれているなど構成銘柄が分散化していることが要因。
同期間において、4月と11月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、5月と12月が70%となっている。
1923年、スタンダード&プアーズの前身となるスタンダード・スタティスティクス・カンパニーが開発した同社初の株式インデックスが米国S&P500種指数のルーツ。S&P500種指数の前身である同指数は米国株式233銘柄を対象に毎週算出された。1926年には総合株式指数に改訂され、90銘柄を対象に毎日算出されるようになる。その後、銘柄数は徐々に増えて、計算の頻度も高くなり、1957年3月に現在の形式であるS&P500種が誕生した。
米国S&P500種指数の史上最高値(終値ベース)は、2022年1月3日の4,796.56ポイント(2023年11月24日時点)。
単位:米ドル
金利上昇への耐性がある
米国S&P中型株400種指数は、米国のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表する米国を代表する中型株400の企業で構成される。
構成銘柄に採用される企業は、米国企業で時価総額が52億~145億ドル未満(2023年10月時点)、流動性が高い、浮動株が発行済み株式総数の50%以上、4四半期連続で黒字の利益を維持していることなどと複数の条件を満たす必要がある。
指数は米国S&P500種指数と同様、浮動株調整後(市場に流通し売買されやすい株式)の時価総額加重平均(各銘柄の時価総額を合計し、基準日の時価総額合計で割る方法)で算出される。このため、時価総額の高い銘柄の影響を若干受けやすい性質があるものの、構成される上位銘柄の時価総額に占める割合は米国S&P500種指数よりも小さく、個々の銘柄が指数に与える影響は小さくなる。2023年10月時点で、構成比率の割合が高い企業は、電子機器の受託製造サービス(EMS)大手のジェイビル(JBL)、UGGブランドで知られるシューズ・アパレルのデッカーズ・アウトドア(DECK)、金属加工・流通大手リライアンス・スチール・アンド・アルミナム(RS)、住宅関連のビルダーズ・ファーストソース(BLDR)、ゴム・プラスチック加工製品の製造や販売を行うカーライル(CSL)。
構成銘柄は基本的に四半期ごとに見直しが行われるが、定期的に入れ替えが行われるわけではなく、必要に応じて実施される。2023年10月時点での構成銘柄の業種別(世界産業分類基準セクターによる分類)比率は、資本財(21.4%)、一般消費財(15.1%)、金融(15.1%)、情報技術(10.0%)、ヘルスケア(8.2%)などとなっている。
米国S&P中型株400種指数は、米国の経済や国際情勢、企業業績などさまざまなファンダメンタルズやテクニカルの要因に影響を受ける。特に米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策は重要で、金融政策を決めるうえで参考となる経済指標の結果にも左右される。
米国ダウ工業株30種平均指数や米国S&P500種指数よりも米金利と相関関係が強い。
大型企業よりも法人減税の恩恵を受けやすい。また、構成銘柄に内需関連が多いため金利上昇への耐性があり、M&A(企業の合併・買収)なども下支え要因。
同期間において、11月の上昇確率が78%と相対的に高い。続いて、3月が74%、2月、10月、12月が70%となっている。
S&P500種指数とS&P中型株400種指数のほか、S&P小型株600種指数があり、これらを組み合わせたS&P総合1500種指数、S&P500とS&P中型株400で構成されたS&P900、S&P中型株400とS&P小型株600で構成されたS&P1000、S&P500から選ばれた100社で構成されたS&P100などとS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの米国株価指数には、世界的に有名な総合市場指標から、特定のセクターや業種をカバーするベンチマークに至るまで様々な指数がある。
米国S&P400種指数の史上最高値(終値ベース)は、2021年11月16日の2,910.7ポイント。
単位:米ドル
金利上昇の影響を受けやすい
米国ナスダック100指数は、米国を代表する株式市場の一つであるナスダックに上場する金融セクターを除く時価総額上位100社で構成される株価指数。算出・公表はNASDAQ Global Index Data Service(GIDS)が行っている。銘柄数は限定的ながら、時価総額ではナスダック市場全体の約8割をカバーしている。
構成銘柄に採用される企業は、一日の平均売買高が20万株以上であることや破産手続き中でないことなどの基準で選定される。ただ、米国ダウ工業株30種平均指数や米国S&P500種指数などと違い、外国企業でも株式やADRが上場されていれば選定されるほか、赤字企業で選定される。また、除外基準も設定されており、採用される資格がないと判断された場合は可能な限り速やかに除外される。
指数は浮動株ベースの調整済時価総額加重平均で算出され、時価総額の高い銘柄の影響を若干受けやすい性質があるものの、特定の銘柄による影響を抑制するため、定期的に構成銘柄の組み入れ比率を調整している。原則として、毎年12月に定期入れ替えが行われる。2023年10月末時点での構成比率上位の銘柄は、アップル(AAPL)(10.82%)、マイクロソフト(MSFT)(9.48%)、アマゾン・ドットコム(AMZN)(5.30%)、エヌビディア(NVDA)(4.34%)、メタ・プラットフォームズ(META)(3.78%)。
2023年10月時点での構成銘柄の業種別(世界産業分類基準セクターによる分類)比率は、情報技術(57.10%)、一般消費財(18.73%)、ヘルスケア(7.12%)、コミュニケーションズ・サービス(5.48%)、資本財(4.87%)などとなっている。米国ダウ工業株30種平均指数や米国S&P500種指数よりも情報技術セクターの比率が相対的に高い。
米国ナスダック100指数は、構成銘柄にグロース株(将来大きく株価が上昇すると期待されている銘柄)が多く含まれているため、金利上昇の影響を受けやすい特徴がある。一般的にグロース株は株価収益率(PER)が高く、その逆数である益利回りが低い。金利上昇局面では、益利回りの低さからグロース株の投資魅力が低下すると考えられている。
米国ダウ工業株30種平均指数や米国S&P500種指数よりも相関関係が弱い
米国ダウ工業株30種平均指数よりも相関関係が弱い
米国ナスダック100指数の2000~2022年までの平均月間変化率は5.17%。同期間において、7月と11月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、3月と10月が65%となっている。
ナスダック100指数は1985年から算出されているが、同指数よりも歴史が古いナスダック総合指数がある。ナスダック総合指数はナスダック市場に上場している全ての銘柄が対象で、1971年から算出されている。ナスダック市場全体を把握するのに適しているが、流動性が考慮されていないため、ナスダック総合指数への連動を目指すETFや投資信託は意外と少ない。その他に時価総額が大きくなりやすい金融関連の上位100銘柄で構成されるナスダック金融100指数もある。
米国ナスダック100指数の史上最高値(終値ベース)は、2021年11月19日の16,573.34ポイント(2023年11月24日時点)
単位:米ドル
別名:「暴落の先行指標」「炭鉱のカナリア」
米国ラッセル2000指数は、米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックなどに上場している銘柄のうち、時価総額が上位1001位から3000位までの銘柄の株価指数で、米コンサルタント会社のラッセルインベストメント社が開発した米国を代表する小型株指数。現在は、ロンドン証券取引所が100%出資する独立企業であるFTSE Russell社が算出・公表している。
構成銘柄に採用される企業は、主要取引所においてランキング日(4月の最終営業日)に1株1ドル以上(ランキング日に1ドルを割り込んだ場合は、ランキング日に先立つ30日間の終値平均が1ドル以上であれば採用対象)の終値であることや時価総額3000万ドル以上などの条件がある。
指数は浮動株ベースの調整済時価総額加重平均で算出され、四半期ごとに見直しが行われる。また、原則として、毎年6月の第4金曜日取引終了後に銘柄の入れ替えが行われる。2023年10月末時点の上位銘柄は、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)、マタドール・リソーシズ(MTDR)、コード・エナジー(CHRD)、ライト&ワンダー(LNW)、マーフィー・オイル(MUR)。
2023年10月時点での構成銘柄の業種別(世界産業分類基準セクターによる分類)比率は、資本財(18.56%)、金融(15.43%)、ヘルスケア(14.07%)、一般消費財(12.95%)、情報技術(12.95%)などとなっている。
米国ラッセル2000指数は小型株で構成されるため、大型株と比較して流動性が低く、値動きが激しくなる傾向がある。また、下請け企業や消費者に近い企業が多いため、経済情勢の影響を早く受けやすい傾向があり、暴落などの危険や転換期の前兆を知らせる意味合いで「暴落の先行指標」や「炭鉱のカナリヤ」などとも呼ばれる。
米国ダウ工業株30種平均指数や米国S&P500種指数よりも相関関係が強い。
同期間において、11月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、3月、10月、12月が70%となっている。
ラッセル関連の株価指数には、ラッセル1000指数やラッセル3000指数がある。ラッセル1000指数は、時価総額上位1000銘柄が対象となり、大型株で構成されるため、米国市場をリードしている企業の株価指数と捉えることができる。ラッセル3000指数は時価総額上位3000銘柄が対象で、米国市場のほとんどをカバーしているため、米株式市場全体の動きを反映していると捉えることができる。そのほか、ラッセルMicrocap、ラッセルMidcapなど、9種類の指数が公表されている。
米国ラッセル2000指数の史上最高値(終値ベース)は、2021年11月8日の2,442.74ポイント(2023年11月24日時点)。
単位:米ドル
構成する10社で米国市場時価総額の約20%を占める
米国NYSE FANG指数とは、次世代テクノロジーをベースにグローバルな現代社会において人々の生活に大きな影響力を持ち、高い知名度を有する米国の上場企業を対象に構成された指数。FANGとは、フェイスブック(Facebook=現Meta Platforms)、アマゾン・ドット・コム(Amazon)、ネットフリックス(Netflix)、グーグル(Google、親会社Alphabet)の頭文字をつないだ造語。
2023年11月時点で、構成銘柄に採用されている銘柄は、上記の4銘柄のほか、アップル、エヌビディア、テスラ、マイクロソフト、ブロードコム、スノーフレイクの6銘柄。基準日である2014年9月19日を1000とし、2017年9月26日から米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出を開始。
2022年12月19日に指数算出方法が変更となり、指数採用銘柄は⽶国で法⼈登録された企業でかつ⽶国をリスク所在国とする企業とされ、それまで採用対象だったADR等は除外されることになった。これにより、米国外籍の銘柄は組み入れ不可能となり、指数の地政学リスクが低下したとみられている。なお、2022年12月に除外された銘柄は、アリババやバイドゥ。構成銘柄の見直しは四半期ごとに行われる。
メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、アップル、ネットフリックス、マイクロソフト、アルファベットの6銘柄は、株式分類、上場取引所、セクター分類、時価総額、流動性、法⼈登録国、リスク所在国の変更が起きない限りは指数から除外されることはない。残りの4銘柄は、株価や企業の売上高などを基にランキング化し、その上位4銘柄が採用される銘柄選定のルールが明確化された。
米国の株式市場には3000社以上の企業が上場しているが、FANG+を構成する10社の自社総額は米株市場の約20%を占め、存在感や注目度の高さは桁違い。また、生成AI(人工知能)、メタバースやメタバースに関連するXR(クロスリアリティ:VRやAR、MRの総称)、自動運転などの新しい分野での開発競争が激しく、市場拡大への期待感が高く、米国S&P500種指数などと比較すると、2014年9月を起点としたパフォーマンスははるかに良い。ただ、米国ナスダック100指数と同様、金利上昇の影響を受けやすい側面があり、取引のタイミングによってはリスクが大きくなる。
同期間において、1月、2月、4月、7月の上昇確率が75%と相対的に高い。一方、9月の上昇確率が25%となっている。
GAFA:グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの頭文字を集めた呼称。
GAFAM:グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、マイクロソフト、アップル。
FAAA:フェイスブック、アリババ、アマゾン・ドット・コム、アルファベット。
FAANG:フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、アップル、ネットフリックス、グーグル。
FANNG:フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、エヌビディア、グーグル。
MATANA:マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、テスラ、アルファベット、エヌビディア、アップル。
単位:英ポンド
通貨であるイギリスポンドと密接に関係
首都:ロンドン
面積:24万3,000㎢(日本の約3分の2)
人口:6779万人(2022年)
通貨:ポンド
GDP(名目):3兆707億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):45,850ドル(2022年)
経済成長率:4.1%(2022年)
物価上昇率:7.9%(2022年)
失業率:3.6%(2022年)
英国の人口は増加傾向。同国では少子高齢化が進んでいるが、歴史的に移民の流入が多いほか、出生率が死亡率を上回っているが要因。国際通貨基金(IMF)の統計では、2022年は世界21位。
英国の経済規模(2022年)は、名目国内総生産(GDP)が世界6位。サービス部門はGDPの約8割を占めており、金融サービスが基幹産業。また、原油生産国・原油輸出国でもある。なお、日本の消費税にあたる付加価値税(VAT)の標準税率は20%。
英国FTSE100指数とは、世界の主要経済紙であるフィナンシャル・タイムズ(FT)社とロンドン証券取引所(LSE)の合弁会社であるFTSE社が公表している英国を代表する株価指数。LSEに上場する時価総額上位100銘柄で構成され、1983年12月31日の株価を基準値1000として時価総額加重平均で算出されている。
英国FTSE100指数のセクター別比率(2023年11月時点)は、一般消費財が24%、金融が20%、資本財が19%、生活必需品、ヘルスケア、素材がそれぞれ7%、公益事業が5%、不動産が4%、コミュニケーション・サービスが3%、エネルギー、情報技術がそれぞれ2%。
英国FTSE100指数の構成銘柄で構成比率が高い上位5社は、英蘭系石油大手のシェル、英製薬大手のアストラゼネカ、英金融大手のHSBCホールディングス、英日用品大手のユニリーバ、英石油ガス大手のBPとなっている。構成銘柄は、四半期ごと、原則として3月、6月、9月、12月に見直しが行われる。
英国FTSE100指数は、英国経済の健全性を測るベンチマークとして使用され、指数が上昇していれば、全体としては好調な経済状況を示す。一方、指数が下落している時は、企業や経済が縮小している時期に入っていることを示す。また、ポンドが弱くなると、英輸出品の安さから株価指数は上昇する傾向があるなど、ポンドと密接な関係がある。
同期間において、12月の上昇確率が78%と相対的に高い。続いて、4月が74%、10月が70%となっている。
FTSE100指数のルーツは、1962年にFT社により公表されたLSEに上場する大企業約600社で構成されたFT Actuaries All-Shares。1984年にFT社とLSEの提携によりFTSE100が1000ポイントを基準に誕生し、1992年にはFTSE250(時価総額でFTSE100に次ぐ中型株250銘柄で構成される時価総額加重型株価指数)とFTSE350(時価総額上位350銘柄で構成される時価総額加重型株価指数)という指数が追加された。
1984年から継続してFTSE100指数に採用されている銘柄は、ブリティッシュ・アメリカン・タバコやバークレイズ、BP、グラクソ・スミスクライン、ランド・セキュリティーズ・グループなどの18銘柄。
英国FTSE100指数の史上最高値(終値ベース)は、2023年2月20日の8,014.31ポイント。
単位:ユーロ
中国、アメリカに続く世界3位の輸出大国
首都:ベルリン
面積:35万3,296㎢(日本の約95%)
人口:8380万人(2022年)
通貨:ユーロ
GDP(名目):4兆722億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):48,432ドル(2022年)
経済成長率:1.8%(2022年)
物価上昇率:6.9%(2022年)
失業率:3.0%(2022年)
ドイツの人口は増加傾向。同国では長年に渡り、死亡数が出生数を上回る状況が続いているものの、移民の増加が主因で全体では増加傾向にある。特に、2022年の増加はウクライナからの避難民流入で大幅増。IMFの統計では、2022年は世界19位のランキング。
ドイツの経済規模(2022年)は、名目国内総生産(GDP)が世界4位。また、中国、アメリカに続く世界3位の輸出大国で、自動車や電機・機械、化学製品を輸出することで経済が成り立っている。なお、日本の消費税にあたる付加価値税(VAT)の標準税率は19%。
ドイツDAX指数とは、フランクフルト証券取引所(FSE)に上場している優良企業40銘柄で構成される時価総額加重平均型株価指数で、ドイツ証券取引所とスイス証券取引所の合弁企業であるSTOXX社が1987年12月30日を基準値1,000として算出している。
セクター別割合(2023年11月時点)は、工業が18%、自動車関連が15%、製薬・ヘルスケアが13%、化学が10%などとなっている。
構成銘柄で構成比率の高い上位5社(2023年9月時点)は、欧州のソフトウエア最大手のSAP、欧州最大のエンジニアリング企業のシーメンス、保険大手のアリアンツ、欧州航空機大手のエアバス、大手通信事業者のドイツテレコム。構成銘柄は時価総額などの取引規模などを基に四半期に一度見直しが行われ、新規採用銘柄は直近2年分の通期決算でEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が黒字であることなどの条件がある。
ドイツDAX指数は、マクロ要因やミクロ要因など様々な変数が絡んで上下する。ドイツや欧州の経済指標、欧州に関するニュース等は指数に大きな影響を与える可能性があるほか、輸出産業は為替レート(特にユーロ)の変動が業績や株価に影響を及ぼす可能性がある。また、構成銘柄の企業業績が良ければ指数を押し上げ、悪ければ指数を押し下げる要因となる。
同期間において、11月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、4月と12月が70%となっている。
ドイツDAX指数は、1987年12月30日に初めて算出され、1988年1月1日に正式に導入、1988年夏以降に毎日算出されるようになった。同指数はドイツの主要な金融新聞が始めたBörsen-Zeitung指数を引き継いだもの。算出開始以来、構成銘柄数は30だったものの、2020年11月に指数改革実施が発表され、採用基準の厳格化を順次実施し、2021年9月20日から銘柄数が現在の40となった。
ドイツDAX指数の史上最高値(終値ベース)は、2023年7月28日の16,446.83ポイント。
単位:ユーロ
連動するETF残高は300億ドルに迫る
ユーロStoxx50指数とは、欧州の株式市場全体を示す代表的な株価指数。ユーロ圏11カ国(オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン)の株式市場における50のブルーチップ(優良銘柄)で構成される。50銘柄で、ユーロ圏の時価総額全体のほぼ3分の2を占めている。
算出・公表は、ドイツ証券取引所とスイス証券取引所の合弁企業であるSTOXX社が行っている。歴史的なユーロの導入に10カ月先行し、1998年2月26日に設定され、現在、ユーロStoxx50指数に連動するETF残高は300億ドル近くにのぼるほか、仕組み商品の原資産は世界第6位。
指数は、1991年12月31日を基準値(1,000)とし、浮動株調整後の時価総額を加重平均して計算される。構成銘柄は、毎年9月に定期更新が行われるほか、不定期に銘柄入れ替えが行われる場合もある。
国別の構成比率では、フランス、ドイツ、オランダで80%を占めている(2023年10月時点)。
構成銘柄のセクター別比率(2023年10月時点)の上位は、情報技術(15%)、一般消費財(13.4%)、産業製品(12.5%)、銀行(11.2%)、保険(6.7%)。
構成比率が高い銘柄(2023年10月時点)は、オランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディングス、フランスの高級ブランドのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)、フランスの石油大手トタルエナジーズ、ドイツの欧州ソフトウエア最大手のSAP、フランスの製薬大手サノフィなど。
ユーロStoxx50指数は、ユーロ圏の経済の健全性や市場のトレンドを示す指標とされている。指数の上昇は経済の好調を示し、指数の下落は経済の不透明感やリスクが増大していることを示すことがある。また、構成銘柄の企業業績の結果は、指数を変動させる要因ともなる。
同期間において、10月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、4月が68%、12月が65%となっている。
欧州連合(EU)は、独特な経済的および政治的協力関係を持つ民主主義国家の集まりで、現在27カ国が加盟している。一方、ユーロ圏とは、EUに加盟している国のうち、単一通貨ユーロを導入し、欧州中央銀行(ECB)に金融政策を委ねている経済圏のことで、現在20カ国(オーストリア、ベルギー、キプロス、クロアチア、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロヴァキア、スロヴェニア、スペイン)で構成されている。
ユーロStoxx50指数の史上最高値(終値ベース)は、2000年3月4日の5,464.43ポイント。
単位:ユーロ
国内総生産(GDP)が世界7位
首都:パリ
面積:54万9,134㎢(本土)
人口:6565万人(2022年)
通貨:ユーロ
GDP(名目):2兆7829億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):40,964ドル(2022年)
経済成長率:2.6%(2022年)
物価上昇率:5.2%(2022年)
失業率:7.4%(2022年)
フランスは、EUの中ではドイツに次いで人口の多い国。近年、フランスの人口は移民の流入と高い出生率などを背景に増加傾向にある。OECDの統計によると、出生率(2021年)はEU諸国のなかではルーマニアに次いで2番目で、世界でも少子化対策に成功している代表的な国となっている。
フランスの経済規模は、名目国内総生産(GDP)が世界7位(2022年)。主要産業は、自動車、化学、機械、食品、繊維、航空、原子力のほか、農業は西欧最大の規模を誇る。産業別GDP構成比(2021年)は、第一次産業が1.9%、第二次産業が18.8%、第三次産業が79.4%となっている。
フランスCAC40指数は、フランスを代表する株価指数。ユーロネクスト・パリ(旧フランス証券取引所)に上場する銘柄のうち、時価総額上位で出来高の大きい40銘柄で構成される浮動株調整後の時価総額加重指数で、1987年12月31日を基準値1000として、ユーロネクスト・パリが算出・公表している。
セクター別構成比(2023年9月末時点)は、一般消費財が27.6%、資本財が23.3%、ヘルスケアが10.7%、エネルギーが9.5%、金融が9.5%など。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年9月末時点)は、フランスの高級ブランドのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)、フランスの石油・天然ガス大手トタルエナジーズ、フランスの製薬大手サノフィ、フランスの化粧品大手ロレアル、フランスの電機大手シュナイダーエレクトリックとなっている。構成銘柄の見直しは四半期ごとに行われ、指数全体に占めるひと銘柄のウエイトは15%以内と上限が定められている。
フランスCAC40指数の構成銘柄の大半はフランスを拠点に置く企業だが、他の欧州市場の指標と比べると国内売上高の割合が低い企業が多く、グローバルな要因に影響を受けやすい。長期的には上昇傾向となっているものの、ITバブルやリーマンショック、コロナショックの時には大きく値下がりする場面があった。
同期間において、4月と10月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、3月と12月が61%となっている。
2000年9月22日、アムステルダム証券取引所、ブリュッセル証券取引所、パリ証券取引所の3つの証券取引所が合併し、ヨーロッパ初のクロスボーダー取引所であるユーロネクストが誕生。その後、ロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)が加入し、2002年にはポルトガルのリスボン証券取引所を買収。2007年にニューヨーク証券取引所と合併し、NYSEユーロネクストとなったものの、インターコンチネンタル取引所(ICE)が2013年にNYSEユーロネクストを買収。2014年にICEはユーロネクストの新規株式公開(IPO)を行い、ユーロネクストとして再び独立。2018年にはアイルランド証券取引所、2019年にはオスロ証券取引所、2021年にはイタリア証券取引所を買収して現在に至る。
フランスCAC40指数の史上最高値(終値ベース)は、2023年4月21日の7,577.00。
単位:ユーロ
中長期的に安定した推移が見込まれる
首都:ローマ
面積:30万2,068㎢(日本の約5分の4)
人口:5903万人(2022年)
通貨:ユーロ
GDP(名目):2兆104億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):34,158ドル(2022年)
経済成長率:3.7%(2022年)
物価上昇率:8.2%(2022年)
失業率:8.1%(2022年)
イタリアは、日本と同様に少子高齢化が続く国のひとつ。2014年以降、イタリアの人口は減少傾向。OECDの統計によると、出生率は日本を下回る状況が続いている。また、イタリア統計局(ISTAT)によると、2030年には5810万人、2050年には5440万人、2080年には4580万人に減少すると予測されている。
イタリアの経済規模は、名目国内総生産(GDP)が世界10位(2022年)。主要産業は、機械、繊維・衣料、自動車、鉄鋼など。産業別GDP構成比(2021年)は、第一次産業が2.2%、第二次産業が25.1%、第三次産業が72.8%となっている。
イタリアFTSE MIB指数とは、イタリアを代表する株価指数。イタリア証券取引所に上場する銘柄のうち、流動性および時価総額上位の40銘柄で構成される浮動株調整後の時価総額加重指数で、1987年12月31日の終値24,401.54を基準値として、FTSEグループが算出・公表している。
セクター別構成比(2023年11月末時点)は、銀行が23.72%、自動車・自動車部品が18.76%、公益事業が15.52%、エネルギーが11.60%、資本財が7.37%など。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年11月末時点)は、イタリア電力大手のエネル、イタリアの銀行大手ウニクレディト、欧州自動車大手のステランティス、イタリア最大のリテール銀行インテーザ・サンパオロ、イタリアの超高級車メーカーのフェラーリなどとなっている。構成銘柄の見直しは四半期(3月、6月、9月、12月)ごとに行われ、指数全体に占めるひと銘柄のウエイトは15%以内と上限が定められている。
イタリアは、EUのなかでも公的債務の大きな国。このため、財政問題や長期金利の上昇などがクローズアップされると、金融不安が意識されやすくなる傾向がある。
イタリアFTSE MIB指数は、セクター別構成比でみると、他の主要指数よりも公益事業の割合が高い。公益株の特徴としては、利益や株価の大きな上昇は期待しにくいものの、日常に不可欠なサービス(電力やガス、水道など)を提供しているため、事業が景気の影響を受けにくく、中長期的に安定した推移が見込まれることが挙げられる。
同期間において、10月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、4月が61%となっている一方、6月の下降確率が74%と目立っている。
イタリアFTSE MIB指数のルーツは、インテーザ・サンパオロ銀行の前身のBanca Commerciale Italianaが算出したComit 30指数がルーツ。Comit 30指数はイタリア証券取引所に上場されている流動性の高い上位30銘柄で構成された。1994年夏にComit 30指数の権利はイタリア証券取引所に移管され、MIB 30指数に改名。その後、イタリア証券取引所とスタンダード&プアーズのパートナーシップにより、40銘柄で構成されるS&P/MIB指数へと改められ、2009年にFTSEグループの算出となったことで、現在の名称に変更された。
イタリアFTSE MIB指数の史上最高値(終値ベース)は、2000年3月6日の50,108.56。
単位:ユーロ
スペインのことわざ:「金が金を呼ぶ」
首都:マドリッド
面積:50万5,983㎢(日本の約1.3倍)
人口:4762万人(2022年)
通貨:ユーロ
GDP(名目):1兆3975億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):29,350ドル(2022年)
経済成長率:5.5%(2022年)
物価上昇率:8.4%(2022年)
失業率:13.0%(2022年)
※出典、世界銀行、人口はIMF
スペインの人口は2013年から2015年にかけて減少した。断続的な景気後退で失業率が高まり、移民が帰国したことが要因。また、欧州で早い時期に新型コロナウイルスが感染した国のひとつで、2021年も人口が減少したが、基調的には増加傾向にあり、2022年には4762万に達している。IMFの統計では2022年は世界30位。
スペイン経済の現状は、コロナショックから力強い回復を遂げている。世界銀行によると、2021年以降は5%台の経済成長が続き、その後も米国を上回る経済成長が続くことが見込まれている。
スペインIBEX35指数とは、スペインのマドリード証券取引所(Bolsa de Madrid)において、最も流動性の高い35銘柄で構成される時価総額加重平均型株価指数。指数の算出には浮動株が用いられている。年に2回、指数の見直しとリバランスが行われ、採用される銘柄は流動性や時価総額、売買高などの要素が考慮されて選定される。
IBEX35指数のセクター別構成比(2023年9月末時点)は、金融サービスが27.78%、エネルギーが24.10%、情報・通信が15.92%、消費財が15.15%、素材・工業・建築などが9.79%、消費サービスが5.99%、不動産が1.25%。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年9月末時点)は、電力事業大手のイベルドローラ、ZaraやBershkaなどのブランドを展開するアパレル最大手のインディテックス、スペイン最大手の商業銀行のサンタンデール銀行、スペイン・バスク自治州に本社を持つ銀行グループのバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア、スペインの航空・旅行業向けシステム大手、アマデウスITグループなどとなっている。
IBEX35指数の変動要因は、構成銘柄の時価総額や日々の株価変動、ファンダメンタルズ、政治動向などがある。寄与度の高い銘柄は指数に対する影響力が大きいため、組み入れ銘柄の変更などには注意が必要。また、インフレ率や失業率などの経済データ、貿易戦争や特定の規制など内外向けの政治動向も注視しておく必要がある。
同期間において、4月と10月の上昇確率が70%と相対的に高い。続いて、11月と12月が61%となっている。
「El tiempo es dinero」
直訳すると、時間はお金。日本ではタイムイズマネー。お金は重要だという意味だけではなく、時間=投資に使える貴重な資源、働かない時間=お金を生み出す機会を逃している時間という経済用語でもある。
「Dinero llama dinero.」
直訳すると、金が金を呼ぶ。豊富な資産を持つ人ほど、多額を投資できる。多額を投資できるほどリターンが多いという意味。
スペインIBEX35指数の史上最高値(終値ベース)は、2007年12月31日の15,182.30。
単位:スイスフラン
平均寿命が世界で最も長い国のひとつ
首都:ベルン
面積:4.1万㎢(日本の10分の1)
人口:874万人(2022年)
通貨:スイスフラン
GDP(名目):8077億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):92,101ドル(2022年)
経済成長率:2.1%(2022年)
物価上昇率:2.8%(2022年)
失業率:4.2%(2022年)
スイスの人口は、移住者の増加を主因に20世紀初めと比べると倍増している。ヨーロッパ諸国のなかでも外国人の割合が高く、全人口の25%を占めている。また、20世紀に入ってから高齢化が進んでおり、平均寿命は世界で最も長い国のひとつ。
スイスの経済規模は、名目国内総生産(GDP)が世界20位(2022年)。スイスの企業の99%は中小企業で輸出に力を入れている。また、低い法人税率や政治的安定性などから多くの多国籍企業が拠点を置いている。産業別GDP構成比(2021年)は、第一次産業が0.6%、第二次産業が26.4%、第三次産業が73.0%となっている。
スイスSMI指数は、スイスを代表する株価指数。スイス証券取引所に上場する銘柄のうち、時価総額および流動性が高い上位20銘柄(ブルーチップ)で構成される浮動株調整後の時価総額加重指数で、1988年6月30日を基準値1,500として、スイス証券取引所を運営するSIXグループが算出・公表している。同指数は2023年11月末現在、スイス株式市場全体の浮動株時価総額の74%以上を占めている。
セクター別構成比(2023年11月末時点)は、ヘルスケアが32%、消費財が25%、金融が19%、資本財が18%、情報技術が2%など。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年11月末時点)は、世界的な食品・飲料メーカーのネスレ、スイスの製薬大手ノバルティス、スイスの製薬大手ロシュ・ホールディング、スイスの金融大手のUBSグループ、保険世界大手のチューリッヒ保険などとなっている。構成銘柄の入れ替えは6月の選考リストをもとに毎年9月の第3金曜日に行われ、指数全体に占めるひと銘柄のウエイトは18%以内と上限が定められている。なお、3月、9月、12月末には暫定選考リストが作成される。
スイスSMI指数は、構成銘柄のうち、ネスレ、ノバルティス、ロシュ・ホールディングの3社で50%近いウエイトを占めており、景気の変化が企業業績に影響を与えにくい、いわゆるディフェンシブ銘柄の側面を持っている。このため、米国30や日本225と比べて変動率が低くなる傾向がある。
同期間において、10月と11月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、7月が70%となっている。
1980年代に取引フロアを持たない完全にコンピュータ化された取引所であるスイス金融先物・オプション取引所(SOFFEX)の設立が計画された際、恒久的に算出されるインデックスも必要とされ、1988年にスイスSMI指数が開発された。それ以前にあったスイス株のインデックスは、個々の銀行に属したもので、1日に1回だけの算出だった。SMI指数算出開始時点の銘柄数は24で、その後銘柄数は18から29の間で変動したものの、2007年9月24日以降は20銘柄に設定されている。
スイスSMI指数の史上最高値(終値ベース)は、2021年12月28日の12,970.53。
単位:ユーロ
世界最古の取引所をもつ、世界初のバブル経験国
首都:アムステルダム
面積:4.1864万㎢(日本の10分の1)
人口:1759万人(2022年)
通貨:ユーロ
GDP(名目):9911億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):55,985ドル(2022年)
経済成長率:4.5%(2022年)
物価上昇率:10.0%(2022年)
失業率:3.5%(2022年)
オランダの人口は増加傾向にある。オランダは、他国で宗教や政治、思想などで迫害を受けた多くの人々を寛容に受け入れてきた国として知られており、移民の増加がオランダの人口増加に寄与している。2022年は、ウクライナからの移民が急増した。
オランダの経済規模は、名目国内総生産(GDP)が世界18位(2022年)。主要産業は、専門サービス業、卸売り・小売業、製造業などで、小国ではあるが農畜産物・食料品の輸出額は米国に次いで世界第2位。産業別GDP構成比(2021年)は、第一次産業が1.7%、第二次産業が20.3%、第三次産業が78.0%となっている。
オランダAEX指数は、オランダを代表する株価指数。オランダのユーロネクスト・アムステルダム(旧アムステルダム証券取引所)に上場する銘柄のうち、主要企業25銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数で、1983年1月3日を基準値45.38として、ユーロネクスト・アムステルダムが算出・公表している。
セクター別構成比(2023年9月末時点)は、情報技術が23.5、生活必需品が23.3%、エネルギーが17.4%、一般消費財が14.4%、金融が10.1%など。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年9月末時点)は、英石油大手のシェル、日用品大手のユニリーバ、オランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディングス、RELXグループ、オランダ発祥の総合金融機関のINGグループなどとなっている。構成銘柄の見直しは、3月の年次見直しのほか、6月、9月、12月の中間見直しと四半期ごとに行われる。
オランダには、資本参加免税と呼ばれる優遇税制があるため、世界各国のグローバル企業が登記上の本店を置いている。グローバル企業は、豊富な資金力や優れた開発力、価格競争力、ブランド力、マーケティング力などの優位性があることが魅力。また、しっかりとした収益や財務基盤を有することで中長期的な成長が期待され、これまでもITバブルやリーマンショック、コロナショックなどを乗り越えている。
同期間において、10月と12月の上昇確率が70%と相対的に高い。続いて、11月が65%となっている。
株式取引が行われた世界最古の証券取引所は、1602年に設立されたオランドのアムステルダム取引であるといわれている。日本では、天下分け目の戦いといわれた「関ヶ原の戦い」が起きた2年後のこと。また、1630年代にオランダでチューリップの球根の価格の急騰と暴落が起きた「チューリップ・バブル」が世界初のバブルといわれている。
オランダAEX指数の史上最高値(終値ベース)は、2021年11月17日の827.57。
単位:米ドル
日経平均、ダウ平均よりも値動きが激しい
中国本土の上海市場と深圳市場で取引される株式には、A株とB株の2種類がある。両社は中国本土企業が発行する同一の権利、同一額面の株式だが、取引を行う投資家の違いによって分かられる。A株(正式名称:人民元普通株券)の取引は、人民元建てで、基本的に中国の国内投資家専用の市場。B株は外貨建ての株式で、取引は外貨で行われるが、株式市場では人民元建てで表記される。
FTSE中国A50指数とは、上海証券取引所と深セン証券取引所に上場する中国A株のうち、流動性及び浮動株比率の基準を満たす時価総額上位の主要50銘柄で構成されている株価指数。英国ロンドン証券取引所傘下のグループ企業FTSE Russell社が算出・公表している。
指数は、2003年12月13日に設定され、2003月7月21日を基準値5,000とし、浮動株調整後の時価総額を加重平均して計算される。構成銘柄は、3月、6月、9月、12月の四半期ごとに見直しが行われる。
構成銘柄のセクター別比率(ICBスーパーセクター構成比)は、食品・飲料・タバコと銀行でほぼ半分を占める(2023年10月時点)。
構成比率が高い銘柄(2023年10月時点)は、中国酒造大手の貴州茅台酒、車載電池大手のCATL、中国で初の株式会社商業銀行である招商銀行(CMB)、伝統蒸留酒の白酒を生産する宜賓五糧液、主に水力発電事業を行う中国長江電など。
近年、中国の経済はIT(情報技術)分野やAI(人工知能)分野で大きく成長しており、今後も成長することが見込まれている。日本を代表する日経平均株価指数や米国を代表する米国ダウ工業株30種平均よりも値動きが激しい側面を持っている。また、共産主義国家のため、政府が民間企業への介入を行う可能性もあり、政府介入による変動リスクがある。
同期間において、4月、10月、11月、12月の上昇確率が63%と相対的に高い。一方、8月の下降確率は68%と目立っている。
香港証券取引所に上場している中国本土企業のうち、中国本土で登記を行っている企業の株式をH株、香港で登記を行っている企業の株式のことをレッドチップといい、それぞれ香港ドルで取引されている。また、シンガポール証券取引所に上場しているものをS株、ニューヨーク証券取引所に上場しているものをN株という。
FTSE中国A50指数の史上最高値(終値ベース)は、2007年10月16日の23,413.83。
単位:香港ドル
ITやAI分野の成長が見込めるが、政府介入によるリスクも
中国ハンセン企業指数(英語名:Hang Seng China Enterprises Index、中国語名:恒生中国企業指数)とは、香港証券取引所に上場されている中国本土企業の50銘柄で構成されている株価指数。恒生銀行(ハンセン銀行)の子会社であるHang Seng Indexes Company Limitedが算出・公表している。
選定される銘柄は、香港証券取引所のメインボードに上昇するH株、レッドチップ、Pチップ(香港やバミューダ諸島、ケイマン諸島など中国本土以外を登記地とする中国の民営会社)の銘柄。
中国ハンセン企業指数は、1994年8月8日に設定され、2000年1月3日を基準値2,000とし、浮動株調整後の時価総額を加重平均して計算される。構成銘柄は、3月末、6月末、9月末、12月末の四半期ごとに見直される。
構成銘柄のセクター別比率(2023年10月時点)は、情報技術が36.74%とウエイトが高く、続いて金融が24.66%、一般消費財が14.17%、エネルギーが7.41%、コミュニケーション・サービスが5.81%となっている。
構成比率が高い銘柄(2023年10月時点)は、電子商取引(EC)最大手アリババグループ、ネットサービス大手のテンセント、中国の四大商業銀行の一つである中国建設銀行、フードデリバリー大手の美団、中国最大の通信キャリアのチャイナ・モバイルなど。
近年、中国の経済はIT(情報技術)分野やAI(人工知能)分野で大きく成長しており、今後も成長することが見込まれている。日本を代表する日経平均株価指数や米国を代表する米国ダウ工業株30種平均よりも値動きが激しい側面を持っている。また、共産主義国家のため、政府が民間企業への介入を行う可能性もあり、政府介入による変動リスクがある。
同期間において、2月、7月、10月の上昇確率が65%と相対的に高い。一方、8月の下降確率は74%と目立っている。
1994年に設定された中国ハンセン企業指数は、当初は香港H株の54銘柄で構成されており、H株のみだったことでハンセンH株指数とも呼ばれていた。2001年に構成銘柄が25に減少したものの、2010年のインデックスの刷新で最大40銘柄となり、2018年3月にはレッドチップ銘柄とPチップ銘柄の10銘柄が新規に採用され、H株に限らず香港証券取引所に上場する中国企業全体の値動きを示す指数へと位置づけが変更された。
中国ハンセン企業指数の史上最高値(終値ベース)は、2007年10月31日の20,400.07。
単位:香港ドル
中国全体のニュースや経済指標、特に米中関係の影響を受やすい
香港ハンセン指数(英語名:Hang Seng Index、中国語名:恒生指数)とは、香港証券取引所に上場されている銘柄のうち、時価総額が流動性の高い上位銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数。香港で最も初期に設立された株価指数の一つで、アジア市場の強さを測る重要な基準となっている。恒生銀行(ハンセン銀行)の子会社であるHang Seng Indexes Company Limitedが算出・公表している。
2021年3月に構成銘柄を最終的に100銘柄まで増やす方針を決定している。2023年12月4日時点の構成銘柄数は82銘柄。
指数は、1969年11月24日に設定され、1964年7月31日を基準値100とし、浮動株調整後の時価総額を加重平均して計算される。構成銘柄は、四半期ごとに見直し、銘柄の入れ替えが行われる。選定される銘柄は、時価総額や売り上げなどの基準を満たし、香港証券取引所に最低3カ月間上場した経歴が必要。
構成銘柄のセクター別比率(2023年10月時点)は、金融が34.08%とウエイトが高く、続いて情報技術が28.49%、一般消費財が9.83%、不動産・建設が5.77%、エネルギーが4.61%などとなっている。
構成比率が高い銘柄(2023年10月時点)は、金融世界大手のHSBCホールディングス、電子商取引(EC)最大手アリババグループ、ネットサービス大手のテンセント、アジア保険大手のAIAグループ、フードデリバリー大手の美団など。
香港は、1983年10月に香港ドルのドルペッグ制(自己通貨と米ドルを連動させる固定相場制度)を採用し、2005年には目標相場圏制度が導入され、1ドル=7.75~7.85香港ドルの間での変動幅が設けられ、この目標範囲内に為替レートが収まるように為替介入が実施されている。このため、レンジ上限で推移している場合は、資本流出の可能性から香港ハンセン指数の圧迫要因になると考えられている。一方、レンジ下限で推移している場合は、資本流入が予想されるため、香港ハンセン指数の上昇要因と捉えられる。
また、指数構成銘柄の大多数は中国本土企業であるため、中国全体のニュースや経済指標が指数に影響を与える傾向がある。特に米中関係に絡むニュースの内容によっては大きな変動が起きる傾向がある。
同期間において、4月の上昇確率が78%と相対的に高く、続いて10月が70%となっている。一方、5月の下降確率は65%。
もともとはハンセン銀行の内部資料であったが、香港ハンセン指数は1969年11月24日に一般公開された。1985年には、金融指数、公益指数、不動産指数、商工業指数の4つの業種別指数のサブインデックスが算出され、1994年にレッドチップ銘柄、2006年にH株が指数に追加された。また、2020年には加重議決権銘柄(普通株より議決権の多い種類株と呼ばれる株式を発行するなど特殊な株式構造を持つ企業)やセカンダリー上場銘柄(米国で上場している銘柄が香港に重複上場すること)も指数に採用された。
香港ハンセン指数の史上最高値(終値ベース)は、2018年1月26日の33,154.12。
単位:米ドル
巨大な人口で内需拡大、IT大国として経済成長
首都:デリー
面積:330万㎢(日本の約8.8倍)
人口:14億1717万人(2022年)
通貨:インドルピー
GDP(名目):3兆3851億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):29,550ドル(2022年)
経済成長率:7.0%(2022年)
物価上昇率:6.7%(2022年)
失業率:7.3%(2022年)
インドの人口は増加傾向で、国連人口基金(UNFPA)の「世界人口白書2023」によると、2023年のインドの総人口が14億2860万人となり、中国(14億2570万人)を抜いて世界最多に。また、インドは2064年に17億人近くまで増加すると予測され、平均年齢も若く、今後数十年間は人口ボーナス期(全人口に対して、生産年齢人口の比率が増加する時期)を享受すると予想される。
インドの経済規模(2022年)は、名目国内総生産(GDP)が世界5位。2021-22年度の名目GVA(総付加価値)の産業構成比は、第1次産業が15.6%、第2次産業が20.9%、第3次産業が63.5%となっており、IT大国として著しい経済成長を遂げている。日本の消費税にあたる物品・サービス税(GST)は、主な物品、サービスによって料率が異なる(パンや果物などが0%、タバコや高級車などは28%)。
インドニフティ50指数とは、インドを代表する株価指数。インドのナショナル証券取引所(NSE:National Stock Exchange of India)に上場している銘柄のうち、時価総額、流動性、浮動株比率等の基準を用いて選定した50銘柄の株価を時価総額比率で加重平均し、指数化し、NSE Indices Limitedが算出している。1996年4月22日に設定され、1995年11月3日を基準値1,000として算出されている。
セクター別構成比(2023年11月末時点)は、金融サービスが35.26%、情報技術が13.64%、エネルギーが11.3%、日用消費財が9.22%、自動車・部品が6.63%などとなっている。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年11月時点)は、インド民間銀行大手のHDFC銀行、インド財閥大手のリライアンス・インダストリーズ、インド商業銀行大手のICIC銀行、インドIT大手のインフォシス、インド複合企業のITC。構成銘柄の見直しや入れ替えは年2回実施され、新規採用銘柄は6カ月間の上場履歴があるなどの条件が設定されている。
インドニフティ50指数は、マクロ的、ミクロ的な要因など様々な要因の影響を受けるものの、巨大な人口がもたらす内需の拡大を主因に長期的に上昇傾向となっている。インドニフティ50指数の2000年以降の年間上昇確率(年初と年末の値)は78%。ただ、外生的な要因として、2008年のリーマンショック、2015年のチャイナショック、2020年のコロナショック、内生的な要因として、2016年の資産査定、高額紙幣の廃止、2023年のアダニショックなどがインド株式市場の押し下げ要因となった経緯がある。
同期間において、7月と12月の上昇確率が70%と相対的に高い。続いて、8月と10月が65%となっている。
インドに関する成長市場を表す言葉として、2000年代以降に著しい経済発展を遂げた5カ国の総称であるBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が有名。そのほか、IBSAC(インド、ブラジル、南アフリカ、中国)、VTICs(ベトナム、タイ、インド、中国)、E7(中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア、メキシコ、トルコ)などがある。
単位:豪ドル
金融業や資源産業に特化した指数
首都:キャンベラ
面積:379万2,024㎢(日本の約20倍)
人口:2627万人(2022年)
通貨:オーストラリアドル
GDP(名目):1兆6754億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):64,491ドル(2022年)
経済成長率:3.6%(2022年)
物価上昇率:6.6%(2022年)
失業率:3.7%(2022年)
オーストラリアの人口は、多くの移民を受け入れている移民国家のため増加傾向にあるが、先進国の中では極端に少ない部類に入る。人口が少ない理由は、様々な要因があり、1970年代初めまではヨーロッパの以外の国からの移民を制限する「白豪主義」の政策をとるなど、閉鎖的な国だったことも要因のひとつとして指摘されている。
オーストラリアの経済規模(2022年)は、名目国内総生産(GDP)が世界12位。オーストラリアの産業別GDP構成比は、第一次産業が2.5%、第二次産業が29.1%、第三次産業が59.5%。内訳は、農林水産業(2.5%)、鉱業(14.3%)、製造業(5.7%)、建設業(7.1%)、卸売・小売業(8.7%)、運輸・通信業(6.9%)、金融・保険業(7.4%)、専門職・科学・技術サービス(7.6%)などとなっている。
オーストラリアS&P/ASX200指数とは、オーストラリアの代表する株価指数。オーストラリア証券取引所(ASX:Australian Securities Exchange)に上場している銘柄のうち、浮動株調整後時価総額が大きく、かつ流動性も高い200銘柄で構成され、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表している。2000年3月31日を基準日とし、2000年4月3日に算出が開始されている。
セクター別構成比(2023年11月末時点)は、金融が28.6%、素材が24.9%、ヘルスケアが9.3%、資本財が6.9%、一般消費財が6.8%など。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年11月時点)は、オーストラリアの資源大手BHPグループ、オーストラリアの銀行最大手コモンウェルス銀行、オーストラリアのバイオ医薬品大手CSL、オーストラリアの銀行大手ナショナル・オーストラリア銀行、オーストラリアの銀行大手ウエストパック銀行となっている。構成銘柄の見直しや入れ替えは四半期ごとに行われ、採用銘柄には最低50%の相対的流動性が必要などの条件が設定されている。
オーストラリアS&P/ASX200指数は、産業別GDP構成比やセクター別構成比などから金融業や資源産業に特化した指数ともいえ、情報技術セクターの比重が高い米株指数との分散効果が期待される。また、中国が最大の輸出国であるため、オーストラリア経済は中国景気の影響を受けやすい傾向があるほか、鉄鉱石や石炭などの資源価格の動向にも反応しやすい傾向がある。
同期間において、3月、4月、7月、8月、10月、12月の上昇確率が65%と相対的に高い。続いて、2月と5月が61%となっている。
オーストラリアS&P/ASX200指数は、2000年にS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスがASXから指数ビジネスを引き継いで、S&P/ASX指数シリーズを導入したのがはじまり。それ以前は1979年12月31日を基準日として開発された全普通株指数がオーストラリア市場のベンチマーク指数だった。S&P/ASX指数シリーズの導入により、S&P/ASX200がオーストラリア市場の主要金融機関ベンチマーク指数に代わり、その後全普通株指数はオーストラリアの包括的な市場インジケーター指数となった。
オーストラリアS&P/ASX200指数の史上最高値(終値ベース)は、2021年8月13日の7,628.90。
単位:シンガポールドル
中国の景気動向の影響を受けやすい
首都:シンガポール
面積:734.3万㎢(東京23区とほぼ同じ)
人口:564万人(2022年)
通貨:シンガポールドル
GDP(名目):4668億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):82,808ドル(2022年)
経済成長率:3.6%(2022年)
物価上昇率:6.1%(2022年)
失業率:2.8%(2022年)
シンガポールは、外国の富裕層や優良企業を誘致することで経済発展や雇用創出を実現し、急速に発展してきた国。新型コロナウイルスの感染拡大の影響などで、2020年と2021年は人口減少となったものの、シンガポール首相府戦略グループによると、同国の2023年6月時点の人口は過去最高となった。
シンガポールの経済規模は、名目国内総生産(GDP)が世界34位(2022年)。主要産業は、製造業、ビジネスサービス、運輸・通信業、金融サービス業など。産業別GDP構成比(2021年)は、第二次産業が26.4%、第三次産業が73.5%となっている。
シンガポールMSC指数(MSCIシンガポール指数)とは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社が算出・公表する「MSCI指数」のうち、シンガポール市場の大型および中型株22銘柄で構成された株価指数。シンガポール株式市場の浮動株調整後の時価総額の約85%をカバーしている。
セクター別構成比(2023年11月末時点)は、金融が51.04%、不動産が15.35%、資本財が14.34%、コミュニケーション・サービスが13.15%、生活必需品が2.5%、一般消費財が1.98%、公益事業が1.65%となっている。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年11月末時点)は、シンガポールの銀行最大手のDBSグループ、シンガポール第2位の銀行のOCBC銀行、シンガポール3大銀行のひとつのユナイテッド・オーバーシーズ銀行、アジアを代表する通信会社のシンガポールテレコム、シンガポールのオンラインゲーム大手のシーなどとなっている。構成銘柄の見直しは、セミ・アニュアル・インデックス・レビュー(SAIR)として5月と11月、クォータリー・インデックス・レビュー(QIR)として2月と8月に定期的に行われる。
シンガポールは、国際金融センターとしての役割を果たしているといわれ、シンガポールMSC指数のセクター別比率をみても金融セクターが半分以上を占めている。このため、景気敏感株の特徴を持っていると考えられる。また、シンガポールは中国向け輸出が大きく、中国本土で事業展開する企業も多いため、中国の景気動向の影響も受けやすい。
同期間において、3月の上昇確率が74%と相対的に高い。続いて、4月が70%となっている一方、下降確率は8月が78%、5月は70%となっている。
世界の生活費の動向を調査する「Worldwide Cost of Living」の2023年版では、シンガポールが2年連続で生活費の高い都市となった。同調査は、英国の定期刊行物「Economist」の調査部門であるEconomist Intelligence Unit(EIU)によるもの。シンガポールが番付トップを維持した背景には、非常に高い自動車所有コストとアルコール飲料の値段の高さ、食料品の値上がりなどが指摘されている。
単位:米ドル
長期的には成長株、短期的には景気敏感株
首都:台北市
面積:3.6万㎢(九州よりやや小さい)
人口:2327万人(2022年)
通貨:ニュー台湾ドル(台湾元)
GDP(名目):7626億ドル(2022年)
一人当たりGDP(名目):32,811ドル(2022年)
経済成長率:2.45%(2022年)
物価上昇率:2.95%(2022年)
失業率:3.6%(2022年)
台湾の人口は2020年以降、減少傾向となっている。日本よりも少子高齢化が進んでおり、アメリカ合衆国中央情報局(CIA)が発表している世界227カ国・地域の出生率予測では、台湾の合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)は1.09(2023年推計値)とランキング最下位。また、台湾の国家発展委員会が2年に1度公表している人口推計報告では、生産年齢人口は2015年の1737万人をピークに減少が続く見通しが示されている。
台湾の経済規模は、名目国内総生産(GDP)が世界21位(2022年)。主要産業は、電子部品、化学品、鉄鋼金属、機械などで、特に半導体産業やIT産業を中心に世界最大級の半導体メーカーである「TSMC」のような有名企業も多い。産業別GDP構成比(2022年)は、第一次産業が1.4%、第二次産業が37.5%、第三次産業が60.9%となっている。
台湾FTSE指数(FTSE TWSE 台湾50指数)とは、台湾証券取引所に上場する銘柄のうち、優良大型株上位50銘柄で構成された時価総額加重平均型の株価指数。FTSEと台湾証券取引所の共同開発指数で、台湾市場の時価総額の70%近くをカバーしている。2022年4月30日を基準値5000として算出されている。
セクター別構成比(2023年11月末時点)は、情報技術が69.66%と突出しているほか、銀行が9.68%、資本財が4.29%、保険が3.82%、コミュニケーション・サービスが3.53%などとなっている。
構成銘柄で構成比率が高い上位5社(2023年11月末時点)は、世界最大級の半導体メーカーのTSMC、半導体メーカーのメディアテック、電気機器メーカーのホンハイ・プレシジョン・インダストリー、電気機器メーカーのデルタ・エレクトロニクス、半導体メーカーのユナイテッド・マイクロエレクトロニクスなど。構成銘柄の見直しは、3月、6月、9月、12月の四半期ごとに行われる。
台湾FTSE指数は、構成銘柄やセクター別構成比が示すように半導体としての性質が強い。一般的に、半導体は長期的にはテクノロジーの発展に伴う成長株という性格と、短期的には景気の影響を強く受ける景気敏感株という2つの側面を持っている。また、シリコンサイクルという半導体業界の構造的な景気変動サイクルがあり、約4年の周期で好況と不況を繰り返すとされている。
同期間において、10月の上昇確率が71%と相対的に高い。続いて、2月が70%、12月が67%となっている。
TSMCは「Taiwan Semiconductor Manufacturing Company」の略称で、世界初のファウンドリ企業であると考えらえている。半導体メーカーには、主に設計等を担うfab(fabrication facility、工場)を持たない「ファブレス企業」、主に他社からの委託による生産を専門に手掛けるfabを持つ「ファウンドリ企業」がある。そして、ファウンドリというビジネスモデルを構築・発展させたのが1987年に創業したTSMCである。現在では世界中の様々な半導体メーカーから製造を受注しており、2022年には532の顧客にサービスを提供し、高性能コンピューターやスマートフォンなど様々なアプリケーション向け製品を12,698品製造した。
単位:米ドル
2020年は価格がマイナスに転落
1位:米国 日量1,777万バレル シェア18.9%
2位:サウジアラビア 日量1,213.6万バレル シェア12.9%
3位:ロシア 日量1,120.2万バレル シェア11.9%
1位:ベネズエラ 3,038億バレル シェア17.5%
2位:サウジアラビア 2,975億バレル シェア17.2%
3位:カナダ 1,681億バレル シェア9.7%
1位:米国 日量1,914万バレル シェア19.7%
2位:中国 日量1,429.5万バレル シェア12.9%
3位:インド 日量518.5万バレル 5.3%
2022年に10年前の12年と比べて米国の消費が6.8%増となっているのに対して、中国の消費は48.0%増となっている。
WTI原油とは、米国テキサス州沿岸部の油田で産出される原油である。硫黄分が少なく、ガソリンを多く抽出できる質の高さが特徴。産出量自体は少ないものの、世界で最も取引されている原油先物取引であることから、北米のみならず世界の原油価格の代表的な指標になっている。
硫黄分が少なく良質であり、硫黄分の多い中東のドバイ原油よりも高値で取引されるのが一般的である。以前は北海ブレント原油に対しても高値で取引されていたものの、近年はシェール革命による米国内の原油生産増加の影響で安く取引されている。
WTI原油の現物は、オクラホマ州クッシングの貯蔵ハブで地上保管・受渡しが行われている。対して、北海原油は海上油田であり、タンカーなど船舶による輸送が可能である。WTI原油は貯蔵容量を超えることが難しいため、原油を受け取りたくない投資家は「金銭を支払って、誰かに買い取ってもらう」必要が生じ売り圧力が高まることとなり、2020年5月限WTI原油は価格がマイナス(原油を受け取ると、お金を貰える)となった。北海原油は船舶を調達すればほぼ無尽蔵に貯蔵が可能である。
インフレの代表的なコモディティで、金利に影響を受ける。一般的に金利が上がると物価は下がりやすくなり、金利が低下すると物価は上がりやすくなり、WTI原油にもその関係が当てはまる。
金との相関性が高い。金は原油と同様、インフレの代表的なコモディティであり、金の上昇局面では原油も上がりやすく、金の下落局面では原油も下がりやすい傾向がある。
月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率は2003年から2022年の20年間では、2月が75%と高くなっている。次いで、4月と6月の65%となっている。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で1983年3月に上場された。当初は盛り上がりに欠けたが、石油輸出国機構(OPEC)に価格主導権を握られたくない消費国側の意向もあり、年々取引が拡大し、今や石油メジャーをはじめとする実需筋が参加するだけでなく、機関投資家やファンドなどの資金も流入する巨大市場となっている。
コロナ渦では、史上初のマイナス価格。2020年4月20日に新型コロナ大流行による経済の停滞で需要が激減するなか、受渡地の貯蔵施設が限界に近づき、買い手不在となり、買うとお金をもらえるという異常事態が発生した。
単位:米ドル
地理的に近い中東やアフリカの情勢を敏感に反映
1位:米国 日量1,777万バレル シェア18.9%
2位:サウジアラビア 日量1,213.6万バレル シェア12.9%
3位:ロシア 日量1,120.2万バレル シェア11.9%
1位:ベネズエラ 3,038億バレル シェア17.5%
2位:サウジアラビア 2,975億バレル シェア17.2%
3位:カナダ 1,681億バレル シェア9.7%
1位:米国 日量1,914万バレル シェア19.7%
2位:中国 日量1,429.5万バレル シェア12.9%
3位:インド 日量518.5万バレル 5.3%
英国の原油生産量は1999年にピークを打ち、その後減少している。2022年の英国の原油生産量は、1999年のピークの3分の1以下になっている。
北海ブレント原油とは、北海油田の英国領域で産出される原油である。硫黄分が少なく、WTI原油ほどではないが、高品質。欧州で取引される原油の価格指標であり、米国産のWTI原油、中東産のドバイ原油と並ぶ、世界三大原油指標のひとつとなっている。
以前は、良質なWTI原油に対して安値で取引されていた。しかし、近年はシェール革命による米国内の原油生産増加の影響からWTI原油と北海ブレント原油の価格が逆転している。
WTI原油の現物は、オクラホマ州クッシングの貯蔵ハブで地上保管・受渡しが行われている。対して、北海原油は海上油田であり、タンカーなど船舶による輸送が可能である。WTI原油は貯蔵容量を超えることが難しいため、原油を受け取りたくない投資家は「金銭を支払って、誰かに買い取ってもらう」必要が生じ売り圧力が高まることとなり、2020年5月限WTI原油は価格がマイナス(原油を受け取ると、お金を貰える)となった。北海原油は船舶を調達すればほぼ無尽蔵に貯蔵が可能である。
インフレの代表的なコモディティで、金利に影響を受ける。一般的に金利が上がると物価は下がりやすく、金利が低下すると物価は上がりやすくなり、北海ブレント原油にも同様の傾向がある。
金との相関性が高い。金は原油と同様、インフレの代表的なコモディティであり、金の上昇局面では原油も上がりやすく、金の下落局面では原油も下がりやすい傾向がある。
月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率は2003年から2022年の20年間では、2月が80%と高くなっている。続いて、7月が75%、6月が70%となっている。
ロンドン国際石油取引所(IPE)で1988年6月に上場された。その後、IPEは2001年に米国のインターコンチネンタル取引所(ICE)に買収され、2005年に名称をICEヨーロッパに変更、現在の名称はICEフューチャーズヨーロッパとなっている。WTI原油と同様、市場参加者は実需筋ではなく、機関投資家やファンドなど幅広い。
コロナ渦でもWTI原油のようにマイナス価格転落とはならなかった。WTI原油は2020年4月20日にCovid-19大流行による経済の停滞で需要が激減するなか、内陸の受渡地の貯蔵施設の容量が限界に近づいた影響でマイナス価格となったが、北海ブレント原油は海上油田で、タンカーによる海上貯蔵が可能なこともあり、マイナス価格にはならなかった。
単位:米ドル
日本で使用される灯油とは別物
ヒーティングオイルとは、日本で使用される暖房油の灯油とは全くの別物で、米国の一般家庭で暖房設備のボイラー用燃料として使用される暖房油のこと。原油の中間産品の混合油で、成分は軽油やA重油の比重が高く、原油から分留して2番目に取れることから「No.2 Fuel Oil」とも呼ばれる。
日本では一つの部屋に対して室内機と室外機を一対設置する個別空調が主流だが、アメリカではセントラル空調、またはフォースドエアシステムと呼ばれるダクト式空調が主流。建物の1カ所に暖房装置または冷房装置を設置し、温風や蒸気または冷気をダクトにより各部屋へと送る仕組み。
ヒーティングオイルは、世界各国でデリバティブビジネスを展開しているCMEグループの中核をなすニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の中のエネルギー部門で「NY港渡しULSD先物(NY HARBOR ULSD FUTURES)」として取引されている。
ヒーティングオイルの主な用途は住宅用暖房で、米国では約810万世帯がヒーティングオイルを主な暖房燃料として使用している。10月から3月までがヒーティングオイルの需要期で、特にニューイングランド州など米北東部地域は米国のヒーティングオイルの約70%を消費している。
ヒーティングオイルは原油から精製される。原油1バレルからの収量は約25%を占め、これはガソリンに次ぐ収量である。また、一般的に、家庭用ヒーティングオイルの消費者向け価格は、原油価格42%、精製コスト12%、販売・流通コスト46%で構成されている。
ヒーティングオイルは原油から製造されるため、原料となる原油の価格に連動してヒーティングオイル価格が変動する傾向が強い。また、逆にヒーティングオイルの需給や在庫の動向、天候要因等が影響を与え、原油価格の変動を促すこともある。
NYヒーティングオイルの2000年2月から2024年1月までの平均月間変化率は7.80%。また、6月の上昇確率が71%と相対的に高く、次いで2月、4月、7月が63%となっている一方、10月の下降確率が63%となっている。
原油価格と石油製品価格の価格差のこと、あるいは原油と石油製品の先物市場で売り買い反対のポジションを建てる取引のことをクラック・スプレッドと呼ぶ。原油を調達して石油製品を精製・販売する石油企業は、原油の買いに対して石油製品の売りのクラック・スプレットを行うことで、相場変動にかかわらず精製マージンを固定化することができる。一般的に、原油3バレルからガソリン2バレルとヒーティングオイル1バレルが生産されると仮定する3:2:1方式と、原油1バレルから1バレルのガソリンあるいはヒーティングオイルが生産されると仮定する1:1方式が採用されており、CMEのサイトにはクラック・スプレッドの変換計算機(https://www.cmegroup.com/tools-information/calc_crack.html)がある。
単位:米ドル
米国のガソリン需要期はドライブシーズンの5~9月
原油を蒸留・精製することで石油製品がつくられ、ガソリンもそのひとつ。原油を約350度に熱し、蒸留塔に送られた蒸気は沸点の低い留分から高い留分へと分けられ、ガソリン・ナフサ成分、灯油留分、軽油留分、重油などに精製されたあと、改質装置や脱硫装置などを用いた二次精製を経て、石油製品として生まれ変わる。
ガソリンは、製造方法や成分の違いによっていくつかの種類に分けられる。代表的なものとして、原油の蒸留精製過程で得られる直留ガソリン、天然ガス田から採取された天然ガスから抽出される天然ガソリン、直留ガソリンや天然ガソリンなどの成分に改質処理を施した改質ガソリンなどが挙げられる。NY市場で取引されているガソリンは、RBOB(Reformulated gasoline Blendstock for Oxygen Blending)で、バイオマスエタノールを10%含む酸素含有改質ガソリン基材。
米国のドライブシーズンは、一般的に5月の最終月曜日のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)から9月第一月曜日のレイバーデー(労働者の日)までとされる。この間は米国のガソリンの需要期であり、通常はこの時期にガソリン価格が上昇する傾向がある。また、4月は需要期を前にガソリンの精製が盛んになる。
車社会の米国では、一般的にガソリン価格が4ドルを超えると消費意欲が落ち込み、景気の下押し要因になるといわれている。また、大統領選に絡んで、ガソリン価格の上昇は現政権の支持率低下につながる可能性があるため、ガソリン価格が高騰していると米政府は中東産油国に対して原油の増産を強く求める傾向がある。
エネルギー価格の上昇などを受けてインフレが進むと、中央銀行によるインフレ対策による政策金利の引き上げが行われる時があり、ガソリンと金利は相関する傾向がある。
ガソリンは原油から製造されるため、原料となる原油の価格に連動してガソリン価格が変動する傾向が強い。また、逆にガソリンの需給や在庫の動向が影響を与え、原油価格の変動を促すことも多い。
NYガソリン(NY市場で取引されているガソリン)の2005年11月から2024年1月までの平均月間変化率は9.05%。また、3月の上昇確率が94%と相対的に高く、次いで4月が78%となっている一方、9月の下降確率が78%となっている。
日本でガソリンを給油する際、レギュラー、ハイオクと種類があるように米国で給油する際も種類に違いがある。州や場所によって数字に違いがあるものの、基本的に「91」、「89」、「87」とオクタン価の表記が多い。オクタン価は、簡単に言い表すとガソリンなどの燃料の抵抗性を示すもので、燃料がエンジン内でノッキング(異常燃焼)を起こしにくいどうかを評価するために用いられる。オクタン価が高いほど、ノッキングに対して抵抗力が強くなる。一般的に日本でハイオクと呼ばれるものは高オクタン価のもので、レギュラーは低オクタン価のガソリンを指す。
単位:米ドル
世界的に分布している地下資源
1位:米国 9,786億㎥ シェア24.2%
2位:ロシア 6,184億㎥ シェア15.3%
3位:イラン 2,594億㎥ シェア6.4%
1位:ロシア 37.4兆㎥ シェア19.9%
2位:イラン 32.1兆㎥ シェア17.1%
3位:カタール 24.7兆㎥ シェア13.1%
1位:米国 8,812億㎥ シェア22.4%
2位:ロシア 4,080億㎥ シェア10.4%
3位:中国 3,757億㎥ シェア9.5%
2022年に10年前の12年と比べて米国の消費が28.1%増となっているのに対して、中国の消費は2.5倍近くになっている。
天然ガスは、石炭や石油と同じ化石燃料の一つだが、石炭や石油に比べて、環境への影響が低いといわれている。天然ガスはメタンを主成分としており、有害な一酸化炭素をはじめとする不純物をほとんど含まず、燃焼したときに地球温暖化の原因となる二酸化炭素や酸性雨の原因となる硫黄酸化物や窒素酸化物の出る量が石炭や石油と比べて少ない。こうしたことから、石炭や石油からの燃料転換が促され、天然ガスの需要を押し上げている。
天然ガスは、原油に比べて地域的偏在が少ない。埋蔵量は、ロシアが一番多く、イラン、カタールと続くが、原油ほど中東地域に偏るようなことはなく、世界的に分布している地下資源である。
原油との弱い相関性がある。天然ガスと原油は同じエネルギー資源であり、一定の相関性が見られる。
エネルギー価格の上昇などを受けてインフレが進むと、中央銀行によるインフレ対策による政策金利の引き上げが行われる時があり、天然ガスと金利は相関する傾向がある。
月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率は2003年から2022年の20年間では、2月が75%と高くなっている。次いで、4月が65%となっている。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で1990年4月に上場された。米国南部ルイジアナ州のエラスにある天然ガスパイプライン集積地、ヘンリーハブの天然ガスに関する先物取引である。ヘンリーハブを有するルイジアナル州、また隣接するテキサス州は米国の天然ガスの主要生産州であり、この2州で米国全体の天然ガスの30%以上を生産している。
史上最高値(期近ザラバベース)は、2005年12月13日に付けた15.780ドル。2005年は米国にとってハリケーンの当たり年で、超大型のハリケーン「カタリーナ」と「リタ」が米メキシコ湾岸を襲い、天然ガスの生産関連施設が被害を受け、冬場に向けて供給不足懸念が高まり、価格が高騰した。
単位:米ドル
北半球7~8月、南半球1~2月の天候で価格が上下する
1位:ブラジル 1億3,493万トン シェア36.3%
2位:米国 1億2,071万トン シェア32.5%
3位:アルゼンチン 4,622万トン シェア12.4%
1位:ブラジル 8,611万トン シェア53.4%
2位:米国 5,305万トン シェア32.9%
3位:パラグアイ 635万トン シェア3.9%
1位:中国 9,912万トン シェア60.7%
2位:アルゼンチン 487万トン シェア3.0%
3位:メキシコ 460万トン シェア2.8%
ブラジル、米国、アルゼンチンの3カ国で世界全体の80%以上の大豆を生産しており、その3カ国の天候が価格に大きく影響する。北半球の米国では7~8月、南半球のブラジルやアルゼンチンでは1~2月が最も重要な生育期で、この時期に過度な高温乾燥の天候に見舞われると減産のリスクが高まり、価格が大きく上昇する。逆に適温・適雨に恵まれると、豊作の可能性が高まり、価格は大きく下落する。
中国はかつて大豆の純輸出国だったものの、1996年に純輸入国に転じ、その後瞬く間に世界最大の大豆輸入国になった。中国の経済成長に伴う所得の向上により食肉消費が増え、家畜飼料の原料としての大豆の輸入が押し上げられたためであり、その買い付け動向は価格に大きな影響を与える。
コーンとの相関性が高い。コーンとは米国の主要生産地域が重なるなど需給構造が似ており、価格についても同じような動きになりやすい。
金との相関性が高い。大豆はコモディティのひとつであり、そのコモディティの代表的な銘柄である金の上昇局面では大豆も上がりやすく、金の下落局面では大豆も下がりやすい傾向がある。
金利に影響を受ける。一般的に金利が上がると物価は下がりやすくなる一方、金利が低下すると物価は上がりやすくなり、大豆にもその関係が当てはまる。
月足陰線(月末値が月初値より低い)の確率は2003年から2022年の20年間では、5月が75%と高くなっている。一方、2月と4月の上昇確率が相対的に高く、月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率は、2月と4月が65%となっている。
シカゴ商品取引所(CBOT)で1936年10月に上場された。1974年12月に上場されたニューヨーク金、1982年4月に上場されたS&P500先物、1983年3月に上場されたWTI原油などよりも、かなり歴史が長い。
史上最高値(期近ザラバベース)は、2012年9月4日に付けた1,794.75セント。2012年夏に米国の主要大豆産地である中西部が深刻な干ばつに見舞われ、米国の減産懸念が高まり、価格が高騰した。
単位:米ドル
米国ではエタノールとしての需要が最大シェア
1位:米国 3億8,394万トン シェア31.7%
2位:中国 2億7,276万トン シェア22.5%
3位:ブラジル 8,846万トン シェア7.3%
1位:米国 7,004万トン シェア35.7%
2位:アルゼンチン 3,691万トン シェア18.8%
3位:ウクライナ 2,454万トン シェア12.5%
1位:中国 3,271万トン シェア16.4%
2位:メキシコ 1,740万トン シェア8.7%
3位:日本 1,524万トン シェア7.6%
米国、ブラジル、アルゼンチンの3カ国で世界全体の40%以上のコーンを生産しており、その3カ国の天候が価格に大きく影響する。北半球の米国では7~8月、南半球のブラジルやアルゼンチンでは1~2月が最も重要な生育期で、この時期に過度な高温乾燥の天候に見舞われると減産のリスクが高まり、価格が大きく上昇する。逆に適温・適雨に恵まれると、豊作の可能性が高まり、価格は大きく下落する。
コーンからは燃料用アルコールのエタノールを作ることができる。世界最大のコーン生産国の米国では、再生可能エネルギーであるエタノールの需要が2000年代に環境問題と中東産原油へのエネルギー依存の脱却という安全保障上の戦略から急増し、それに伴いコーンのエタノール向け需要も急拡大した。米国では今やコーンの用途別の需要としてはエタノール向けが最大シェアを占め、エタノール需要の動向がコーンの需要全体に大きな影響を与えるようになっている。
大豆との相関性が高い。コーンとは米国の主要生産地域が重なるなど需給構造が似ており、価格についても同じような動きになりやすい。
金との相関性が高い。コーンはコモディティのひとつであり、そのコモディティの代表的な銘柄である金の上昇局面ではコーンも上がりやすく、金の下落局面ではコーンも下がりやすい傾向がある。
金利に影響を受ける。一般的に金利が上がると物価は下がりやすくなる一方、金利が低下すると物価は上がりやすくなり、コーンにもその関係が当てはまる。
月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率は2003年から2022年の20年間では、12月が85.0%と高くなっている。次いで、1月と2月の70%となっている。一方、7月の下落確率が相対的に高く、月足陰線(月末値が月初値より低い)の確率は、7月が75%となっている。
シカゴ商品取引所(CBOT)で1877年1月に上場された。1974年12月に上場されたニューヨーク金、1982年4月に上場されたS&P500先物、1983年3月に上場されたWTI原油だけでなく、1936年10月に上場された大豆と比べても、歴史はかなり長い。
史上最高値(期近ザラバベース)は、2012年8月10日に付けた843.75セント。2012年夏に米国の主要コーン産地である中西部が深刻な干ばつに見舞われ、米国の減産懸念が高まり、価格が高騰した。
単位:米ドル
通貨であるブラジルレアルの動向も価格に影響
1位:ブラジル 299万トン シェア30.2%
2位:ベトナム 185万トン シェア18.6%
3位:インドネシア 77万トン シェア7.7%
1位:ブラジル 228万トン シェア29.2%
2位:ベトナム 122万トン シェア15.6%
3位:コロンビア 69万トン シェア8.8%
1位:米国 147万トン シェア19.4%
2位:ドイツ 111万トン シェア14.7%
3位:イタリア 62万トン シェア8.2%
2021年に10年前の11年と比べて米国の輸入が6.8%増となっているのに対して、中国の輸入はおよそ2.4倍になっている。
ブラジルの生産と輸出がそれぞれ世界全体のおおよそ3割を占めており、その天候が価格に大きく影響する。ブラジルのコーヒーの主な開花期は10月~12月、収穫期は5月~8月となっている。開花期には雨が必要とされ、雨が降らないと開花せず、実を付けなくなることから減産が懸念されて価格は上昇する。また、収穫期には霜が降りることがあり、その年の収穫量には大きな影響はないものの、木が被害を受けると翌年以降の減産のリスクが高まるため、価格は高騰する。
コーヒーはドル建て取引のため、ブラジル通貨のレアルがドルに対して上昇すると、現地生産者や輸出業者のレアル建て手取り収入の目減りで輸出が手控えられるとの見方が強まるため、価格上昇の方向に働く。一方、ブラジル通貨のレアルがドルに対して下落すると、現地生産者や輸出業者のレアル建て手取り収入の増加から輸出が促進されるとの思惑が広がるため、価格下落の方向に働く。
粗糖との相関性が高い。世界最大の生産国と輸出国がブラジルであるという共通点を持つ粗糖とは同じ値動きになりやすい。
コーンとの相関性が高い。コーヒーで世界最大の生産国で輸出国であるブラジルはコーンでも世界の主要な生産国と輸出国になっており、コーンとも似たような値動きになりやすい傾向がある。
月足陰線(月末値が月初値より低い)の確率は2003年から2022年の20年間では、3月が70%と高くなっている。次いで月末陰線の確率が高いのは2月で、65%となっている。
1882年にニューヨーク・コーヒー取引所が成立され、上場された。ニューヨーク・コーヒー取引所は1914年に粗糖の先物取引を追加して1916年にニューヨーク・コーヒ・砂糖取引所に名称を変更、1979年にはニューヨーク・ココア取引所を合併してコーヒー・砂糖・ココア取引所(CSCE)となり、さらに1998年にはニューヨーク綿花取引所と統合して発足したニューヨーク・ボード・オブ・トレード(NYBOT)の1部門になったあと、2007年にNYBOTはインターコンチネンタル取引所(ICE)に買収された。取引の対象は、レギュラーコーヒーに使われることが多いアラビカ種となっている。
史上最高値(期近ザラバベース)は、1977年4月14日に付けた337.50セント。1975年7月に発生したブラジルの大規模な降霜の影響で1976年にブラジルが大減産となったことが尾を引いた。
単位:米ドル
エタノールの需要動向にも注目
1位:ブラジル 3,510万トン シェア19.9%
2位:インド 3,376万トン シェア19.2%
3位:中国 1,066万トン シェア6.1%
1位:ブラジル 2,766万トン シェア38.2%
2位:インド 977万トン シェア13.5%
3位:タイ 377万トン シェア5.2%
1位:中国 661万トン シェア9.6%
2位:インドネシア 551万トン シェア8.0%
3位:米国 373万トン シェア5.4%
砂糖に精製される前の粗糖は、サトウキビから作られる。砂糖の原料にはその他にビート(てん菜)がある。サトウキビはアジア・中南米・オーストラリア・アフリカなどの熱帯や亜熱帯地域で栽培され、ビートは欧州・北米などの比較的冷涼な地域で栽培されている。ブラジルとインドが世界二大砂糖生産国であり、その二カ国で世界全体の砂糖の40%近くを生産している。砂糖は世界各地で生産されているが、大量に輸出可能な国は限られ、ブラジル、インド、タイ、オーストラリアの上位4カ国の輸出が世界全体の60%以上を占め、そうした国の天候が価格に大きく影響する。干ばつ、過度な降雨、霜などに見舞われると減産のリスクが高まり、価格は上昇する。一方、天候に大きな問題がなければ、増産の可能性が高まり、価格は下落する。
世界最大の砂糖生産国かつ輸出国であるブラジルは、粗糖の原材料となるサトウキビを使い、エタノール(燃料用アルコール)も生産している。ブラジルは米国に次いで世界第2位のエタノール生産大国であり、サトウキビ加工工場の大部分が粗糖の生産設備とエタノールの生産設備の両方を有している。エタノールの需要が高まると、エタノール生産のためにサトウキビが多く使われ、粗糖生産に回すサトウキビが少なくなるため、粗糖価格に上昇圧力がかかる。逆にエタノールの需要が減退すると、エタノール生産のために使うサトウキビが少なくなり、粗糖生産に回せるサトウキビが多くなるため、粗糖価格に下落圧力がかかる。
金との相関性が高い。粗糖はコモディティのひとつであり、そのコモディティの代表的な銘柄である金の上昇局面では粗糖も上がりやすく、金の下落局面では粗糖も下がりやすい傾向がある。
コーヒーとの相関性が高い。世界最大の生産国と輸出国がブラジルであるという共通点を持つコーヒーとは価格についても同じような動きになりやすい。
月足陰線(月末値が月初値より低い)の確率は2003年から2022年の20年間では、3月が75%と高くなっている。次いで月末陰線の確率が高いのは4月で、70%となっている。一方、1月の上昇確率が相対的に高く、月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率は、1月が70%となっている。
ニューヨーク・コーヒー取引所で1914年に上場された。ニューヨーク・コーヒー取引所は1916年にニューヨーク・コーヒ・砂糖取引所に名称を変更し、1979年にはニューヨーク・ココア取引所を合併してコーヒー・砂糖・ココア取引所(CSCE)となり、さらに1998年にはニューヨーク綿花取引所と統合して発足したニューヨーク・ボード・オブ・トレード(NYBOT)の1部門になったあと、2007年にNYBOTはインターコンチネンタル取引所(ICE)に買収された。
史上最高値(期近ザラバベース)は、1974年11月21日に付けた66.00セント。1974年にビートの主要産地である欧州で天候不順からビートが不作となり、砂糖の供給不足の懸念が高まり、価格が高騰した。
単位:米ドル
米、コーンと並ぶ世界三大穀物のひとつ
1位:中国 1億3,695万トン シェア17.8%
2位:インド 1億0,959万トン シェア14.2%
3位:ロシア 7,606万トン シェア9.9%
1位:ロシア 2,737万トン シェア13.8%
2位:オーストラリア 2,556万トン シェア12.9%
3位:米国 2,401万トン シェア12.1%
1位:インドネシア 1,148万トン シェア5.7%
2位:中国 1,099万トン シェア5.5%
3位:トルコ 888万トン シェア4.4%
小麦は、米、コーンと並ぶ、世界三大穀物の一つである。中国が世界最大の小麦生産国だが、消費量も多く、世界第2位の小麦輸入国となっている。大量に輸出可能な国は限られ、ロシア、オーストラリア、米国、カナダ、ウクライナの上位5カ国の輸出が世界全体の60%近くを占めており、そうした国の天候が価格に大きく影響する。小麦は比較的冷涼乾燥な気候が適していると言われているが、極端な乾燥には耐えられないため、過度な高温乾燥の天候に見舞われると減産のリスクが高まり、価格は上昇する。一方、天候に大きな問題がなければ、増産の可能性が高まり、価格は下落する。
世界最大の小麦輸出国であるロシアの輸出動向も価格に影響を及ぼす。ロシアは、自国の生産動向などかから輸出を規制することがある。ロシアの輸出が減れば、供給不安が強まり、価格は上がりやすくなる。逆にロシアの輸出が増えれば、供給への安心感が広がり、価格は下がりやすくなる。
コーンとの相関性が高い。米国ではコーンと小麦の主要生産地域の重なる部分が多く、価格についても同じような動きになりやすい。
金との相関性が高い。コーンはコモディティのひとつであり、そのコモディティの代表的な銘柄である金の上昇局面では小麦も上がりやすく、金の下落局面では小麦も下がりやすい傾向がある。
金利の影響を受ける。一般的に金利が上がると物価は下がりやすくなる一方、金利が低下すると物価は上がりやすくなり、小麦にもその関係が当てはまる。
月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率は2003年から2022年の20年間では、9月が70.0%とやや高くなっている。次いで、12月の65.0%となっている。
シカゴ商品取引所(CBOT)で1877年1月に上場された。米国で秋に種を播いて翌年の初夏に収穫する冬小麦の中でも粒が軟らかく外皮が赤い小麦を対象とする先物取引で、コーンと肩を並べる長い歴史を有する。
史上最高値(期近ザラバベース)は、2022年3月4日に付けた1,340.00セント。ロシアのウクライナ侵攻により、世界の主要な小麦輸出国である両国からの小麦輸出の減少が懸念されて価格が高騰した。
単位:米ドル
生産国の政治情勢で価格が上下する
1位:コートジボワール 220万トン シェア39.4%
2位:ガーナ 82万トン シェア14.7%
3位:インドネシア 73万トン シェア13.0%
1位:コートジボワール 168万トン シェア40.2%
2位:ガーナ 59万トン シェア14.0%
3位:ナイジェリア 34万トン シェア8.2%
1位:オランダ 85万トン シェア20.8%
2位:マレーシア 48万トン シェア11.8%
3位:米国 47万トン シェア11.6%
カカオの樹は、平均気温27度以上、年間を通じて気温の上下幅が狭く、降水量が年間最低でも1000mm以上の高温多湿であることに加え、直射日光や強風を避ける必要があるという非常に限られた条件の下でしか生育しない。こうした条件を満たすコートジボワール、ガーナ、インドネシア、ブラジル、エクアドルといった主要生産国の天気が注目される。その中でも西アフリカのコートジボワールとガーナの2カ国で世界全体の生産と輸出の半分以上を占めているため、特に西アフリカの天候が価格に大きな影響を与える。主要生産国が異常高温や異常多雨などに見舞われると、減産リスクが高まり、価格が高騰する。逆に主要生産国が生育に適した天候となれば、増産の可能性が高まり、価格は下落する。
カカオ生産国にはアフリカや南米などの政治の安定しない国が多い。特に主要生産国で政治が混乱すれば、供給不安が高まり、価格は上昇する。一方、主要生産国の政治が安定すれば、供給への安心感が広がり、価格は下落しやすくなる。
金との相関性が高い。ココアはコモディティのひとつであり、そのコモディティの代表的な銘柄である金の上昇局面ではココアも上がりやすく、金の下落局面ではココアも下がりやすい傾向がある。
金利に影響を受ける。一般的に金利が上がると物価は下がりやすくなる一方、金利が低下すると物価は上がりやすくなり、ココアにもその関係が当てはまる。
月足陰線(月末値が月初値より低い)の確率は2003年から2022年の20年間では、5月が70%と高くなっている。一方、2月と4月の上昇確率が相対的に高く、月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率は、2月と4月が65%となっている。
1925年にニューヨーク・ココア取引所が設立され、上場された。ニューヨーク・ココア取引所は1979年にニューヨーク・コーヒー・砂糖取引所と合併し、コーヒー・砂糖・ココア取引所(CSCE)となり、さらに1998年にはニューヨーク綿花取引所と統合して発足したニューヨーク・ボード・オブ・トレード(NYBOT)の1部門になったあと、2007年にNYBOTはインターコンチネンタル取引所(ICE)に買収された。
史上最高値(期近ザラバベース)は、1977年7月18日に付けた5,379セント。西アフリカと南米の天候不順で減産懸念が高まり、価格が高騰した。
単位:米ドル
市場規模が相対的に小さいため、価格変動率が大きい
1位:中国 668.4万トン、シェア26.4%
2位:インド 572.6万トン、シェア22.6%
3位:米国 315.0万トン、シェア12.4%
1位:中国 816.5万トン、シェア33.7%
2位:インド 511.7万トン、シェア21.1%
3位:パキスタン 189.4万トン、シェア7.8%
1位:米国 277.9万トン、シェア34.5%
2位:ブラジル 144.9万トン、シェア18.0%
3位:オーストラリア 134.3万トン、シェア16.6%
1位:バングラデシュ 152.4万トン、シェア18.6%
2位:ベトナム 140.9万トン、シェア17.1%
3位:中国 135.7万トン、シェア16.5%
綿花は、生育期は高温・多雨、収穫期は乾燥する天候に適しているといわれる。このため、生産国である中国やインド、米国、ブラジルなどの天候が価格に影響することがある。綿花栽培は、中国では新疆ウイグル自治区に集中しており、インドではグジャラート州,パンジャーブ州及びデカン高原、米国では「コットンベルト」と呼ばれるシシッピ州、アラバマ州などの南東部で盛んに行われている。
綿花は人間や動物の衣にかかわるもので、消費者は景気が減速してくると衣食住のうちまずは衣の購入を控えるようになるといわれている。このため、世界のGDP(国内総生産)と綿花相場には相関関係があることが指摘されている。
綿花は、需給要因や天候要因、国際法、為替相場以外に、肥料や燃料価格の影響も受けやすい。特に、綿と競合する合成繊維の原料となる石油価格の動向を受けて、綿花価格も変動することがある。
商品相場は、大きく分けると金属とエネルギー、そして農産品の3つのカテゴリーに分けられる。綿花は農産品のカテゴリーに属するため、穀物価格の変動の影響も受けやすい。また、農産品のなかでは綿花は相対的に市場規模が小さいため、価格変動率が大きくなる傾向もある。
NY綿花(NY市場で取引されている綿花)の2000年2月から2024年1月までの平均月間変化率は6.86%。また、12月の上昇確率が71%と相対的に高く、次いで10月が67%となっている。一方、5月の下降確率が63%となっている。
綿花先物は、インターコンチネンタル取引所(ICE)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に上場している。そのうち、指標となるのはインターコンチネンタル取引所に上場しているもの。1870年に創設されたニューヨーク綿花取引所(NYCE)と1882年に創設されたコーヒー・砂糖・ココア取引所(CSCE)が統合してニューヨーク取引所(NYBOT)が発足し、2007年にインターコンチネンタル取引所に買収され、現在はインターコンチネンタル取引所傘下の「ICE Futures U.S.」と呼ばれるデリバティブ取引所に上場されている。
単位:米ドル
CME生牛先物は現物決済が可能
1位:インド 3億740万頭、シェア32.6%
2位:ブラジル 1億9378万頭、シェア20.6%
3位:中国 9817.2万頭、シェア10.4%
1位:インド 7000万頭、シェア24.1%
2位:中国 5324万頭、シェア18.3%
3位:ブラジル 4783.6万頭、シェア16.5%
1位:EU 98万頭、シェア23.7%
2位:メキシコ 87.1万頭、シェア21.0%
3位:カナダ 75.4万頭、シェア18.2%
1位:米国 162.8万頭、シェア61.1%
2位:中国 35万頭、シェア13.1%
3位:カナダ 31.7万頭、シェア11.9%
CMEに上場されている牛の先物取引は2種類あり、そのうち、肥育牛(Feeder Cattle)は差金決済先物であるが、生牛(Live Cattle)は現物決済が可能。取引単位(生体重量)は生牛先物が40,000ポンド、肥育牛先物が50,000ポンド。なお、肥育牛は体重600~800ポンドの子牛で構成され、生牛は収穫体重まで肥育された牛。
米国の牛の飼養頭数には、キャトルサイクルと呼ばれる周期(8~12年)がある。これは、肥育牛の出荷に至るまでに、繁殖家畜の交配や子牛の生産、肥育という一連のプロセスを要するため、生産の増減と価格変動の間にタイムラグが生じることが原因とされる。米国の牛の飼養頭数の直近のピークは2019年で、2024年はキャトルサイクルの減少局面。
米国では、収穫量が多く、栄養価も高く、短期間で太らせることができるという理由から牛にコーンを飼料として与えて飼育することが有益とされている。このため、コーンの価格変動が生牛の価格に影響を与えやすい。
原油価格の上昇は牛の飼育コストの上昇につながりやすい。原油価格が上昇すると、コーンを原料としたバイオエタノールの需要が高まり、飼料用のコーンが減少する。そして、飼料用コーンの価格上昇によって牛の飼育コストが高くなる傾向がある。
金利に影響を受ける。一般的に金利が上がると物価は下がりやすくなる一方、金利が低下すると物価は上がりやすくなり、生牛にもその関係が当てはまる。
CME生牛の2000年1月から2024年1月までの平均月間変化率は3.96%。また、12月の上昇確率が79%と相対的に高く、次いで9月が75%、2月が71%となっている。一方、5月の下降確率が88%となっている。
米国の牛肉には、USDA(米農務省)の格付検査員が評価する牛肉格付制度がある。任意制度ではあるものの、生産事業者はUSDA格付検査員へ依頼し牛肉を評価することで、牛肉を流通・販売する上でその品質を証明する(ラベル表示)ために利用している。牛肉格付制度は、肉の柔らかさや旨味、ジューシーさを評価する「肉質等級」と、一頭当たりから牛肉が取れる量を示す「歩留等級」から構成され、それぞれ等級分けされている。「肉質等級」は、牛の成熟度と脂肪交雑に基づき評価され、「プライム」、「チョイス」、「セレクト」、「スタンダード」、「コマーシャル」、「ユーティリティ」、「カッター」、「キャナー」の8つの等級に分類される。なお、現在日本に輸入されている等級は、主に「プライム」、「チョイス」、「セレクト」の上から3番目まで。
単位:米ドル
別名:「恐怖指数」
「Volatility Index」の略で、米国の代表的な株価指数の一つである「S&P500種株価指数」の今後30日間の変動率を予測する指数である。シカゴ・オプション取引所(CBOE)がS&P500種株価指数のオプション価格をもとに算出している。
株式市場の将来に対する投資家心理を反映する指数とされている。S&P500種株価指数の値動きが今後激しくなるとの予測が強まればVIX指数は上昇、逆にS&P500種株価指数が安定するとの予測が強まればVIX指数は低下する。
VIX指数の上昇は、市場でS&P500種株価指数が今後大きく変動する、言い換えれば混乱するとの見方が強まっていることを示している。株価が急落する時に大きく上昇することが多い。
VIX指数は、0~100の数字で表される。市場が安定しており、大きな不安がない通常時には10~20の範囲内で動くことが多い。30を超えると市場の動きが不安定になっており、40を超えてくると市場はパニック状態とされている。
局面的にはS&P500種株価指数が急落する時に大きく上昇しやすいものの、長期的にはS&P500種株価指数と有意な正・負の相関性はない。VIX指数は、株価の方向性よりもその変動の大きさが強く影響する。
S&P500種株価指数は、米国金利と強い負の相関性がある。しかし、VIX指数と米国金利には、そうした関係性は見られない。
月足陰線(月末値が月初値より低い)の確率は2003年から2022年の20年間では、5月と11月が70%と高くなっている。一方、上昇確率が目立って高い月は特になく、月足陽線(月末値が月初値より高い)の確率が最も高い月の1月でも60%にとどまっている。
VIX指数は、市場の混乱時、つまり投資家の先行き不安が強くなればなるほど高くなる。このため、恐怖指数とも呼ばれている。
史上最高値は、2008年10月24日に付けた89.53。米国の信用力の低い借り手向け住宅ローンであるサブプライムローンの証券化商品の不良債権化から米大手投資銀行リーマン・ブラザーズが2008年9月15日に経営破綻したことをきっかけに世界中に金融・経済危機が広がり、先行き不安が高まった。
CFD取引のリスクと費用等について