「インデックス」はもともと投資家の資産形成のために生まれたものでは必ずしもなく、経済指標のように全体のトレンドを捉えるモノサシでしかない面もあります。
そのメリットとデメリットを理解することが重要です。
「インデックス投資」とは投信選びのひとつのカテゴリーのこと。具体的には「S&P500インデックス ファンド」とか「全世界株式インデックスファンド」といった名称のついた投信を買うことです。
S&P500とは米国の主要500社を対象にした、日本でいえば日経平均株価やTOPIXのようなもの。
日経平均は日本経済新聞社が終戦直後から算出している指数で、日本全体の株価の動きをザックリ押さえる「経済指標」のような役割を担っています。
米国の株価指数S&P500も基本は同じ。
業種のバランスを勘案しつつ、「時価総額」という企業の株式市場における規模をもとにウエイト付けして計算されている、60年以上の歴史を持つ指数です。
その時々の米国株全体の推移を映すモノサシとして、やはり経済指標の一面も持っているといえます。
時価総額を基準にするというこの考え方はプロの世界ではスタンダードな一方、個人の資産形成を「託す対象」としてはデメリットも。それは「今、株価が高い」という日々の人気の変化を日々キャプチャする仕組みである点。
足もとでいえば、GAFAM(Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoft)の株価を日々追っているに等しくなっています。
それらIT巨大企業は、これまでの発行株式数が膨大で株価も高いため、掛け算である時価総額が大きくS&P500を上にも下にも左右します。
特にここ数年はこれら企業の株価の上昇が大きかったため、指数に占めるインパクトの上位集中が顕著です。
逆にいうと、そうした人気企業「以外」は軽視した指数ということになります。
株式市場をありのまま広くカバーする点、いわば市場の平均を持ち続けられる仕組みはもちろん優れた点で、だからこそNISAつみたて投資枠の対象ファンドとしても多く採用されています。資産運用の「ベース基地」として、市場全体をカバーするインデックスファンドは「最適解」といえます。
一方、日々の人気企業を「キャプチャし続けるだけ」であるという仕組みの特徴は知っておきたいもの。
時価総額比重で計算するインデックスへの投資のリターンがあがるためには、基本的に「高い株価のものがもっと高くなる」ことが求められます。
この10年ほど、特に足もと5年のGAFAMはその役割を見事に果たしました。
しかし日興アセットが、インデックス投資のメリットを理解しつつも、同時に思うのは、
●未来に向けた資産形成には、これから起こるであろう大きな潮流にも着目したい。
●今の人気企業を日々キャプチャする仕組みではとらえられない胎動にも、余裕があれば是非目配りを。
いわば「メガトレンド(大きな潮流)投資」です。
それは昔から言われてきた「アクティブはインデックスに勝てない」といったテクニカルでシニカルな話とは違う話。
指数をベンチマークに、「+α」を乗せて勝とうとする一般的なアクティブファンドでは、勝ち組と負け組を平均化すれば手数料が高い分だけ、確かに負けてしまいがちですが、そもそもベンチマークが存在しないファンドたちまでをその議論に含めてはなりません。
メガトレンド投資——NISAのつみたて投資枠では世界株式のインデックスファンドなどを「ベース基地」として押さえた上で、NISAの成長投資枠などで上乗せファンドを選ぶ際やボーナスの一部で買うファンド選びの考え方として、一度調べてみる価値はありそうです。
投資信託のリスクと費用について