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●株価は「利益×ムード(PER)」

PER、ピーイーアールというのを覚えておくといいと思う。Price Earnings Ratioの頭文字なんだけど、Priceは株価、Earningsは利益、Ratioは倍率っていう意味だな。つまり、その企業の今の「株価」を、その企業が稼ぎ出している、あるいは今後1年間で稼ぐと予想される「利益」で割った数字がPER。

株価は元々1株当たりの値段だからいいとして、利益の方は企業が売上から経費とか社員の給料とか税金とかを全部引いて残った最終の利益を、世の中に出回っている株式の数で割った「1株当たり利益」というやつにしてから割り算をしたのがPER。

急に専門的な話になって申し訳ないんだけど、これを深く説明したいわけじゃなくて、株価っていうのが、利益で代表される「企業価値」に対して何倍かの倍率をもって取引されているんだなってことが分かってもらえるといいかなと思う。

このPERは歴史的に見て15倍くらいなのが普通。ある企業の1株当たり利益の15倍くらいの値段が株価に与えられてるのが妥当、さっきの絵で言うと15倍のラインがオレンジだと考えるわけだ。この時に、もし20倍とか30倍という株価で取引されている瞬間があったら、「オレンジよりずいぶん上に行っちゃってるんじゃないか?」と思い、10倍の株価の時は「今はオレンジより下で割安かも?」となる。

さて、この式を展開するとこうなるよね。はい、昔の算数を思い出して。

株価とは、その企業の利益にPERをかけたものだ、という意味だよね。もっと「意訳」するとこうなる。

そう、PERって市場のムードなんだよね。セリに参加している色んな人が作り上げるその時々のムード。皆がイケイケの時はムードがいいからPERは高まる。何かあって皆がショボーンとする時はPERが萎んでしまう。

PERが萎むとどうなるだろう。この式で明らかなように株価は下がるよね。そう、利益は何にも変わってなくても!――これが今日一番言いたかった原理原則なんです。

市場では毎日「セリ」が行なわれてるんだけど、それはムードの伸び縮みでしかないことがほとんど。だって君らの会社の業績って昨日と今日で変わらんでしょ。1時間前と今とで変わらないよね。でも株価は今もカチッと動くよね。これは投資家が作るムードの伸び縮み、PERの伸び縮みだ。僕らが過度に気にすべきものではない。

逆にムードは一定の時に、その企業の利益の見通しが下がった場合にも株価は下がる。これはマズイ株価下落だよね。今日も日経平均株価が上がった、米国のニューヨークダウ平均が下がった、などとニュースは教えてくれる。でもそれが単なるセリ市場におけるムードの伸び縮みなのか、はたまた利益見通しの変化なのか――。

その見極めは簡単じゃない。でもこの違いの認識があるかどうかは、今後長きにわたって株式ファンドと付き合っていく上ではとっても大事なことなんだよね。

今日は今までで一番難しかったんじゃないかな。
疲れたよね。うん、ムードが暗いわ。お茶にしようかね。また次回。

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