何度か話してきたように、投資におけるリターンとは極めてシンプルで、「買った時と売った時の差」なんだよね。物事を難しく考えてはいけない。買った時と売る時の2時点が大事であり、上がったり下がったりするその途中に複利も単利もない。
そういえば、その前に基本のリターンの計算方法を教えてなかったな。これはすごく大事で、色んなことを自分で納得するベースになるので是非こういう風に覚えて欲しい。はい、「今÷前―1」。これを覚えとけば一生役に立つよ。ん?急に言われても困るか。少し説明するかね。
例えば100万円が120万円になったら「リターン」は何%?馬鹿にするなって顔してるな。そうだよね、20%ってすぐわかるよね。じゃあ80万円が135万円だったらどう?すぐは答えられないでしょ?じゃスマホの計算機で計算してごらん。どう?すぐに式が浮かぶだろうか。
こういう計算になるんじゃない?――まず利益はいくらかな。80万円が135万円に増えたんだから135-80で55万円だよね。それが「元本」の何パーセントに相当するかがリターンなので、55万円を最初の80万円で割り算すればいいよね。つまり135-80を80で割ればいい。
そしてこの式はこういう風に約分されるので、最終的には135÷80-1と簡単にできるよね。なんか懐かしいな。小学生の時かな、苦手な算数を頑張ろうって一緒に勉強したよね...。
――と感傷に浸ってても気持ち悪いので結論。
投資のリターンが何パーセントだったかは、「今」つまり135万円を「前」つまり当初元本の80万円で割って、その後に1を引くことで求めることができる。135÷80-1=0.6875なので、パーセント表示なら100をかけて68.75%、つまり80万円が135万円になった投資のリターンは68.75%と表現されるわけだ。
はいこれ、絶対覚えておいて。
投資の場合はリターンがプラスのことばかりじゃなくマイナスのリターンっていうのもあるので、どちらでどちらを割り算するかを間違えると大変。だから必ず「今」が先の「今÷前」。で最後に必ず1を引く。「今÷前―1」と覚えておけば間違いない。
これって、どんな投資にも共通する基本の考え方なんだよね。前にも、途中は無視無視、“途中のリスク”と“最後のリスク”の峻別を――なんて話をしたのを覚えてるかもしれないけど、投資の成否とはこの式でも示されているように、最初と最後、つまり「前」と「今」とで決まるわけ。
途中は毎日変動するんだから無視。短期視点の人などが動かす「ムード」なんか気にしない。アインシュタインだか複利効果だかはよう知らんが、最後にしっかり上がっているかどうかだけが大事。「今」と「前」の割り算の結果がすべて――。自分が理解できることに煎じ詰めるなら、そういうことなのよ。
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