さて、もうおわかりの通り、この3つは全部同じ結果を違う表現をしているだけだよね。つまりリターンの数字を見る時には、それが年数を考慮しないナマのリターンなのか年率なのか、年率の場合には単利換算なのか複利換算なのか、といった前提条件の確認が欠かせない。
ネット上には投信の過去リターンを論じた個人のブログや動画が溢れているし、プロの業者がやっている情報ポータルみたいなのも一見便利なんだけど、こうした数字を扱うにあたっての理解や配慮が足りなさそうなのも結構ある。期間も書いていなければ計算方法も書いてない。それでは何もわからないし、それで何かを比較しても間違いになる。
いやいや、ここまでお付き合いいただきありがとう。勉強すればきっとどこかで目にするだろう単利と複利について、かなり突っ込んだ説明をしちゃった。さっきのルートの計算のとこなんかは本やサイトには書いてないことで、一般的には余計な知識なのかもしれない。
でも、昔からある預貯金の付利方法(利息の扱い方)としての単利・複利の話と、投資結果を「後から」評価する際の方法(年率換算の作法)としての単利・複利の話の区別はとても大事だと思ってて、つい話しちゃいました。
上に下にと値段が動いた結果の「今」が「前」よりどう違うか――という極めてシンプルな話なのに、それを実はよくわかってない「複利の魔法」みたいな人から聞いた話で曖昧に論じるのがイケてないと常々思っててね。人に説明できるくらいに本質を理解しておくことが、とても大事なんだと思っててね。つい。
さて、今日はもう止めとくけど、実は投信には分配金という仕組みがあるんだけど、これを「受け取る・受け取らない」っていうのが一見一般的な単利・複利の話に似ているせいで、かみ合ってない議論っていうのもあるんだよね。でもこれはまた後日。
そこで寝てる娘には要点だけ伝えといてくれれば十分。次回はこの続きを、もっと簡単で実用的な側面から話をするんでね。
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