では少し照れるが今日も始めますか。投資信託の仕事で32年目の僕が、父親の最後のアドバイスとして結婚した娘とその夫2人にこんな話ができるのは、まぁありがたいことだよね。
前々回、毎月使っていくお金から考えると、取り崩しスタート時点の目標金額は3,000万円で十分。もし5,000万円に到達していたら最高って感じだ、という話をしたよね。3,000万円なら月13万8,000円ずつ、5,000万円なら月23万円ずつを20年にわたって取り崩せるっていう計算から逆算した目標金額だったよね。
公的年金で基礎的な生活をまかない、月13万8,000円とか月23万円をプラスアルファの楽しみに、前向きにジャンジャン使ってDie with ZERO、君たちに一銭も残さずに死ぬよ(笑)って話だった。
さて、それを君たちに当てはめると、今から30年から35年後にその金額を作っているためには何をしたらいいのか?って話だよね。今までは手取りの25%から30%の強制天引きを、できれば投信積立のかたちでしなさいって話をしてきたし、その考え方で十分OKなんだけど、より深い納得を自身で持つためには、「目標金額を達成するための条件は何か」という切り口からも理解しておいた方がいいと思う。
ということで、今日は「お金を増やす方程式」の話をします。これは僕が投信業界に入ってすぐに考えたことで、長年ずっと大事にしているコンセプト。はい、これ。
仰々しく言った割に大したことなくてゴメンなんだけど、この式で色んなことが学べると思ってるんで、今日はこれを使って説明していく。まず「目標金額」とは、さっきの3,000万円や5,000万円のことだよね。さて、それを作るには3つの要素、変数があるって意味だ。
まず「元本」。その目標達成のために君らはいくらのお金を出せるのか。これは一度にまとまったお金を投じる、いわゆる従来型の投資のやり方と、ずっと話してきた少しずつ元本を積み上げていく「積立投資」との2つがあるよね。ちなみに前者のことを「一括投資」と呼ぶことがあるから覚えておいて。
次に「期間」。その目標達成のためにいったいどれくらいの時間を充てられるのか。65歳を目標金額の達成時点とした場合、君たちなら35年以上はあるわけだけど、キリよく35年としておこうか。
さてこの「元本」と「期間」の2つってさ、その人によって固有に決まってしまう数値だよね。だっていくら「本気の積立で!」なんて言われたところで、無理なく毎月出せる積立金額はその人や家計の事情によって自然と決まってくるし、人によって違うじゃない。
期間だってそうだよね。今30歳の人なら35年だろうし、50歳の人なら15年ってことになる。あるいは同じ30歳や50歳でも、その人が70歳まで働くつもりなら、40年や20年にもなるわけだ。
最初にすごくシンプルな「算数」をしてみようか。例えば今は「一括投資」のお金がない、コツコツ積み立てるしかない30歳の人が「期間」として35年かけられる場合、目標金額の3,000万円を35年で割り算して、それを1年は12ヵ月なので12で割ってやれば、毎月の「元本」は7.14万円と出る。
つまりお金を増やす方程式は、
ということだ。(×0%)としているのは、毎月7万1,400円を銀行で積み立てたり投資信託で積み立てるのではなく、毎月淡々と現金で積んでいく、昔は「タンス預金」なんて言葉があったけど知らないかもな。まぁ比喩的にだけど、タンスに35年入れ続けられれば、65歳になった時には必ず3,000万円が貯まっていると。
単純な算数だけど、具体的に金額が出るとさ、漠然とした3,000万円をどうやって作るかが急に具体的に見えてくるでしょ?こんな風に自分で計算できるくらいのシンプル化した理解、人に説明してあげられるくらいの腹落ちをしていることって、すっごく大事なんだよね。
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