その上で気になるのは、「10年後に5割上がっている」とか「20年に2倍になっている」って、いったいどういうことなんだろう?ってことだよね。実はそれこそが投資資産を選ぶってことなんだよね。具体的には株式なのか債券なのか、はたまた…ってことね。
次回にもう少し丁寧に話すけど、具体的には自分の投資の中での「株式比率」をどれくらいに設定するかという作業。
君たちには最初から、「20年後に人生のハンドルを握っている感覚を持ったイケてる大人家族になるためには、ギリギリ無理でない“本気の金額”の給与天引きを、何も考えず株式100%の投資信託で積み立てなさい」っていう、上から目線の、親から目線の話を押し付けてきた(笑)わけだけど、その理由というか、僕がそう考える背景の部分になるかな。
結論から言うと、10年後に5割や20年後に2倍になるパワーを自分の資産運用に取り入れるためには、少なくとも株式比率を8割以上にする必要があると、僕は思っている。できれば株式100%にした方がより「固い作戦」になると思う。
さっきの絵だとこんな感じで、株式100%だと「ゴールの高さ」の期待は高くなる。10年後に5割、20年後に2倍の世界は、もちろんどんな株式かによってまったく異なるとはいえ、一般論としてはバチは当たらないくらいの想定だと思う。
ただその代わり、途中の上下がとても大きくなる。これがとても厄介でストレスになるわけだよね。そこに債券という資産を混ぜると、下の絵のようにストレスの軽減が期待される。
でも非常に悩ましいことに、ほとんどの場合「ゴールの高さ」は低くなってしまう。つまり年5%相当のパワーが必要な君たちの皮算用は達成されなくなってしまう。続けている間の「途中のリスク」は小さくなるんだけど、目標達成の確率が低くなるという意味で「最後のリスク」は高まってしまうわけ。
もちろん、株式100%の方が「途中のリスク」が高いということは、ゴールでの「着地位置」も確実ではないってことだよね。例えばだけど、最後の最後に「何とかショック」が来てしまったら、株式100%の分、大きく下がるだろうね。
それでもね、世の中の投資の話って皆、「リスクとはブレのことであり、上手に分散することでリターン獲得の効率が上がるのです」みたいな話ばかりなんだよね。これは投資理論としては正解なんだけど、僕は普通の人にはまったくピンと来ないだろうし、実際的にも資産形成の役に立つ考えはもっと違うところにあると思ってるの。僕らに必要なのはリターン獲得の効率ではなく、「途中を無視して最後に笑う」ための理解だと思ってるの。そのために「リスク」の理解を2つに分けるべきだと思っているんだよね。
一般的なリスク、つまり日々のブレは、長い旅路で避けられない「途中のリスク」として受け入れ、できるだけ無視する。無視できないほど大きいと思う人は、必要なだけの分散投資をもって対処する。ただ単にコンサバに分散しまくることは、投資本来の目的に鑑みると違うよ、って話。
そして僕らにとって避けたいことは、目標達成がなされないまま退職するとか、何らかのゴールを迎えてしまうことにある。それっていわば「最後のリスク」なのだから、投資対象を選ぶにあたっては自分に必要なリターン水準を念頭に、具体的には「株式比率」を真剣に考え、そして長期投資で構えることが大事だ。今日の最初に言った「エンド」でどれくらい上がっているのかを考えるってことでもあるね。
前に似た話をしたのを覚えてるかな。覚えてないね(第8話)。
次回はもう少し突っ込んで、年3%や5%を想定するためにはどんな考え方でファンドを選んでいったらいいのかの話をしたいと思う。では次回。
投資信託のリスクと費用について