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●NISAで買える商品は制限付き

投資信託を買う一般の口座とは異なり、NISAでは買える商品が限定されているんだよね。
その話の前にまず、NISAの口座が2つの「枠」に分かれていることから説明しとこうかな。
ひとつは「つみたて投資枠」というもの。その名の通り、毎月の投信積立を前提にした枠。

その金融機関が用意するラインアップの中から選んだ「〇〇ファンド」を「毎月〇日」に「〇万円分」買っていく、という指定をするということね。
具体的には注文の画面に行ったら「特定口座」「NISA(つみたて)」「NISA(成長)」みたいなチェックボックスがあるはずなので、そこで「NISA(つみたて)」にチェックを入れるだけでいい。

「特定口座」っていうのは普通の口座のこと。NISAの枠を使い切った後はこれで買うしかないし、後で話すけどNISAでは買えない投資信託を買う場合には、この口座を選ぶ。当然、売る時に利益があったら、そこに課税される。
もうひとつの「NISA(成長)」についてはあとで話すね。

さて、「〇〇ファンド」を「毎月〇日」に「〇万円分」を「NISA(つみたて)」の枠で買うという「初期設定」が済めば、あとは自動運転だ。
僕自身の32歳からの積立の話をしたように、ストップしない限りずっと続いていく。

で、本題だけど、「つみたて投資枠」で選べる商品は金融機関によって異なる。
ウチの会社の投資信託を採用するか、他の運用会社のを採用するかは販売会社の自由なので、金融機関によってつみたて投資枠ラインアップは異なるわけだね。

とはいえ実は、金融機関が採用する前の大元のところで、国が「つみたて投資枠」の対象ファンドを審査しており、そもそもの全体数が相当にしぼられているんだよね。
どの金融機関もそのリストからピックアップした「国の認定済み」の商品しかラインアップできないという意味では、金融機関によってすごく大きな違いがあるわけではない。

その審査項目の一番大きなものは「ノーロード」であること。つまり購入時手数料がゼロということね。そして信託報酬にも上限値が設けられている。
そういえば、ネットを見ていると「数年前から(昔の)つみたてNISAを銀行でやってきたが、銀行は手数料が高いと聞くので、もう解約してネット証券に移した方がいいでしょうか」といった声を見ることがあるけど、これはもうひどい間違い。

あとで説明するもうひとつの枠の方では購入時手数料がかかるものもあるし、信託報酬率も安いものから高いものまでバラつきはあるけど、こと「つみたて(昔のつみたてNISA)」の分に関しては銀行でもネット証券でも購入時手数料はゼロで同じだし、信託報酬率についてはそもそも販売会社が決めるものではなく運用会社が決めているのだから、同じ商品ならどこで買っても同じ。

もちろん、ネット証券の方が品揃えが豊富で、今の銀行では選びたい商品がないから――という理由なら、ネット証券に鞍替えしたらいいけど、世の中の「ネット証券以外の金融機関には近づくな」といった声に影響されただけの判断なら、それは正しくないな。

自分が手続きや商品選択に関するアドバイスを必要としているのか、相場変調時にアドバイスしてくれる店舗や人の存在を心強く思うのかどうか、などで決めればいいと思う。

まあ君たちは、僕がこれまで長いこと話してきたことを2人で咀嚼して腹落ちしてもらえば、もう十分、自分たちだけでやっていけると思う。何かあれば僕を呼んでくれればいいし。

話を元に戻すと、NISAは個人の資産形成のための長期投資にふさわしい投資信託がラインアップされるように制度設計されているってことね
特につみたての分についてはかなり厳格。
インデックスファンドについては「この指数のインデックスファンドに限る」という「指定インデックス」というものが設けられていて、日本の株式ならTOPIXと日経225(日経平均株価)などは指定インデックスだけど、例えば中小型株指数などは指定外なので、どの金融機関に行ってもラインアップに並んでいないわけ。

新興国株式のインデックスも、MSCIエマージング・マーケット・インデックスというのは指定インデックスだけど、例えばインド株の指数は指定外なので、いくらインデックスファンドであっても、インド株インデックスファンドはつみたて枠では買えないわけ。

インデックスファンド以外、前回話した「コンセプトファンド」を含むいわゆるアクティブファンドのジャンルでは、ファンドの大きさ(純資産総額)が50億円以上で、設定から5年以上経っていて、その3分の2以上の期間において売る人による解約金額よりも購入金額の方が上回っていること、そして信託報酬は国内資産を対象とするファンドなら1%以下、海外資産を対象とするファンドなら1.5%以下、といった要件が定められている。

これ、相当に厳しいのよ。だからアクティブファンドで「つみたて枠認定」を得られたファンドは、同業として大したもんだ、と思う。ウチも本当に限られたものしか適格になれてないから。

ちなみにマニアックな補足だけど、指定インデックス「以外」のインデックスファンドでも、こっちの要件の方で「つみたて投資枠」の適格になっているのが最近出始めた。インデックスファンドなのに「アクティブ枠」で要件を満たしちゃった、というちょっとレアなケースだね。

各金融機関は、あらかじめ指定された指数(指定インデックス)のインデックスファンドと、厳しい要件に合格した指定インデックスのインデックスファンド「以外」のファンドの各運用会社のリストの中から、自社にふさわしい「つみたて投資枠」のラインアップを作っているというわけ。

さて、ではもうひとつの枠の話もしますか。「成長投資枠」っていう名前。

でもこれ、少し誤解を招きやすい名前だと思うんだよね。「つみたて投資枠」も、というよりNISA制度自体がお金の成長を期待した投資のための枠組みなんだから、この成長投資枠だけにことさら「成長」と付けるのは、ちょっと違和感を覚えるね。
皆が皆、「そうか、成長投資枠だから大きなリスクを取って成長を狙わなくては!」などと思ってしまうとしたら、それは違うと思うね。あとで2つの枠の使い方のところで、詳しく話します。

「成長投資枠」で買える投資信託については、「つみたて投資枠」ほど厳格ではないもののやはり認定要件があって、それは信託期間、つまり投資信託の運用が終了する期限が20年以上あり、毎月分配型ではなくて、運用の中でデリバティブ取引というものを行なっていない投資信託に限る、というもの。
運用できる期間があと10年しかないようなファンドはお断りだし、毎月分配金を払い出すファンドも認めないし、複雑な取引をするファンドもふさわしくない、ということだね。

各金融機関は、日興アセットなど運用会社が提示した「成長投資枠適格リスト」から、「つみたて投資枠」と同じようにピックアップして自社のNISAラインアップを完成させている。
きっと見直しはされていくのだと思うけど、NISAが想定しているお客さん像を考えると、いたずらに数を増やすことはしないだろうな。多すぎても選べないからね。

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