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最終話 父から(ようやく)最後のお話

父から(ようやく)最後のお話

では少し照れるが今日も始めますか。
ついに今日が最後の日です。今まで30回にわたって精神論から投資信託の仕組みから、最後は結構本格的なファンド選びの方法論まで話してきたね。
今日は総まとめの復習大会にしようと思う。君たちのことだから忘れてることなんて断じてないと思うけど……、まぁ何事にも復習は大事だからね。

●「必ず元本割れするもの」をなぜやるのか

最初の頃に「投資信託はほぼ間違いなく元本割れする」ものだと言ったよね。
日々基準価額が変動する以上、その日から一直線に上がっていく大底で買った「奇跡の人」以外は、翌日なのか1年後なのかは別として、必ず買値を下回る日「含み損」を経験するよ、という意味だった。

そんな嫌な思いをすることがわかっているものをなぜ買うのか。

それは、(預金という)直線を諦めて(投資という)曲線を受け入れるしか、自分の人生を前向きに設計することができないからだったよね。

この10年くらいで投資を始める手続き面のハードルはとても下がった。
前はネットで申し込んでも紙の申込書が郵送されてきて、印鑑押して免許証をコピーして添えて返信して……って世界だったのが、劇的に簡単になった。

でもその分、口座は開いたけどそれきり放置してしまったり、僕が何度もしつこく言ってきた「覚悟」がないまま始めたせいで、少し下がったところで積立を停止してしまったり、目的意識が弱いせいで、相場に合わせて変な売買に走ってしまったり、という人も結構いる気がする。

簡単に始められるようになったし、NISAみたいな背中を押してくれるものも増えたけど、一方で「簡単に始めないこと」も大事だと思う。変なこと言うようだけど。

とは言っても、ライフプランニングとかキャッシュフロー表の作成から取り組めとか、ファイナンシャルプランナーを探して相談しろとかはまったく思ってないからね。
そもそも人生はプランした通りになんていかないし、そもそも自分の人生設計の根本部分を赤の他人に頼ってはいけないのよ。

そういうことではなく、「人生のハンドルを握った大人家族になっている!」のような、自分たちが本気で目指したい大きな目的意識や憧れを持つことの方が大事だと僕は思うな。
それが持てれば、そのために前向きにリスクを取る、元本割れするものを喜んで買う、ということに腹の底から納得できるから。

そういうことこそを、2人で話してほしい。
どんな40代になりたいか、どんな50代になりたいか、どんな60代、70代、80代になっていたいのか。それまでの過程ではどんな風な幸せな毎日を過ごしたいのか。
そして、そのためにはどういうお金を家族として作っていれたらいいのか――。

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