2022年10月19日配信
積立投資家の皆様、本日もお疲れ様です。楽天証券の山口です。
肌寒くなってきましたが、体調を崩さないようにお過ごしくださいね。
本日も、毎週水曜日の「元気が出るニュースレター【#積クラ通信】」をお届けいたします。
本ニュースレターでは、積立投資家のお客様に役立つ「資産形成がうまくいくヒント」をお伝えしてまいります。
さて、8月下旬から先週まで約2ヶ月間にわたり、4つの出口戦略についてお伝えしてまいりました。
出口戦略は、老後だけでなく、今後大きな出費を控えている現役世代の皆様にも大きく関係する話題となります。
先週は、ついに出口戦略の最後となる4つめの選択肢「積極的な運用を続けながら取り崩す。」までお伝えいたしました。
ここで、それぞれの出口戦略について、改めてまとめながら振り返ってみましょう。
【4つの出口戦略】
リスク:☆☆☆ (売却後はリスクゼロ)
8月31日配信・9月7日配信
こちらのメリットは、何と言っても、売却後はマーケットの変動の影響を全く受けないということです。
全て売却してしまえば、今後資産がマイナスになる、ということはありません。
その反対に、デメリットとしては、今後一切資産を増やすことはできない、ということです。
運用資産を保有していない限り、マーケットの成長の恩恵を得ることはできません。
このため、老後の長いスパンでの出口戦略を考えるのであれば、(1)の方法はあまりおすすめできません。
基本的に老後は収入が増えることはありませんから、もし運用を全くしていなかった場合、取り崩しにより預金がただただ減っていくという状況になってしまい、資金が枯渇してしまうリスクを防ぐことができないためです。
一方で、今後2~3年以内に売却した資金を使い切る場合(お子様の大学資金や住宅購入の頭金など)は、(1)の方法が適している、ということをお伝えしました。
その理由は、運用できる期間が非常に短い期間しか残されていない場合、ハイリスクでの運用を続けると、当てにしていた資金が使う直前に大きく目減りしてしまう可能性があるためです。
大きな資金を売却するのは勇気のいることかと思いますが、必要な資金がしっかり確保できるように、是非計画的に出口戦略を立てておいてくださいね。
売却時の考え方については、9月7日配信のメールをご参照ください。
リスク:★☆☆(リスク低~中)
9月14日配信・9月28日配信
「安定的な運用とはこういうもの」という定義は特に無いのですが、ここではリターンが3~4%程度期待できるような運用のことを指すことにします。
3~4%が期待できる運用とは、株式・債券等の複数の資産をバランス良く組み合わせたようなバランスファンドなどで実現することができます。
この方法のメリットとしては、株式のみの投資に比べてリスクを大幅に抑えることができる点です。
ある程度資産額が大きくなり、そこから取り崩しを始めるという段階では、安定運用に切り替えてリスクを抑え、大幅な下落を防ぐことで、心理的なショックの軽減や長期運用の継続に繋げることができます。
老後は、現役時代とは異なり、定期的な収入や新たな収入で運用の損失を補うことは難しくなりますから、下落の際の心理的なショックも大きくなってきます。
安定運用に切り替えることで、穏やかに老後を過ごしていくことができるでしょう。
一方で、デメリットとしては、当然ながら株式ファンドなどに比べてリターンが低い分、取り崩し期には資産が減るスピードが速くなってしまうという点です。
このため、この方法が適しているかどうかは、3%のリターンで本当にこの先十分か、を考える必要があります。
の3点と照らし合わせたうえで、取り崩し期のリターンがどの程度必要なのかを考えておきましょう。
そのうえで、3%程度の安定運用のリターンでは資産の取り崩し分をカバーできず、より資産の減るスピードを緩めていきたい、という場合は、3点の方法(運用のリターンを高める、運用に回す金額を増やす、毎月の取り崩し金額を減らす)が取ることができます。
資産が減るスピードを緩める方法について、詳しくは9月28日配信のメールをご参照ください。
リスク:★★☆(リスク中)
10月5日配信
これまで、株式ファンドなどで資産形成を続けてきた方などは、この方法が適しているかもしれません。
積立などで資産形成を続けてきた場合、老後を迎えた時点では、運用資産が大きく膨らんでいるケースがあります。
例えば、株式ファンドが2,400万円、預金が600万円程度になっているとしましょう。
この場合、全体の資産3,000万円に対して、株式比率が80%、預金が20%という比率になっていることになります。
この状態のまま運用を続けても良いのですが、かなり株式比率が高いため、大きな下落があった際には資産全体が大きなダメージを受けてしまうことになります。
このため、老後を迎えたら株式比率と預金比率の「リバランスを行う」という考え方が必要になってきます。
これまでは定期的な収入があったため、そこまで預金とのバランスを考える必要はありませんでしたが、老後は大きな出費や下落があった際に新たな収入でカバーすることができないため、ある程度預金の比率を高めるなどでバランスを取ることが必要になってきます。
この方法は、運用資産と預金の比率でリスクを調整するという考え方ですので、運用資産の部分は、これまで運用を続けてきた株式ファンド等をそのまま持ち続けていただければ大丈夫です。
運用資産の部分を安定運用に切り替える等も検討できますが、こちらの方法の方が、ファンドを選ぶ手間やファンドを乗り換える心理的ハードルも少なく、実行しやすい方法といえます。
また、運用資産の部分は今後も運用を継続することでリターンを生み出すことができますので、預金部分からは資金を取り崩しつつ、運用部分は老後もしっかり増やしていくことができます。
攻めと守りのバランスを取りたい方には、実践しやすい方法ではないかと思います。
リスク:★★★(リスク高)
10月12日配信
こちらは、4つの選択肢の中で最もリスクを取る出口戦略となります。
この出口戦略は、株式ファンドでの積立等で資産形成を行ってきた資産を、先ほどの(3)のように預金比率を調整することなく、そのまま運用し続け、その中から取り崩していくという方法になります。
資産形成を長く続けていた場合、老後を迎えた時点では、運用資産が大きく膨らんでいるため、全体の資産に占める株式比率が高くなっていますから、大きな下落があった際には資産全体が大きなダメージを受けてしまうことになります。
一方で、長期的には取り崩しながらも資産全体を増やしていくことが期待できます。
例えば、2,400万円を株式ファンドで運用し続け、この中から毎月10万円(2,400万円に対し年率5%)を取り崩していったとします。
株式ファンドの期待リターンを7%程度とすると、リターンが取り崩し分を上回っていることになりますから、理論上は取り崩しを続けても、資産は緩やかに増えていくことになります。
これだけ見ると、「長期的に上昇するのであれば、老後もなるべく多くの金額を運用に回して、取り崩し金額を上回るリターンを獲得していった方がよいのではないか?」と感じられるかもしれませんが、当然ながら株式ファンドは一定に増えていくわけではありませんので、途中で大きな下落が発生します。
その際、精神的なショックが大きくなり、途中で手放してしまう可能性も高まるため、結果的に出口戦略が大きな失敗に終わってしまうことにも繋がりかねません。
このため、これまでお伝えしてきたように、老後の出口戦略としては、いざ大きな下落が合った時にも安心して運用を続けられるよう、運用のリスクを調整しておくことがお勧めです。
積極的な運用を続けながら取り崩していった場合の「取り崩しシミュレーション」については、また次週、お伝えさせていただきます!
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