債券とは、国や政府・地方公共団体、企業などが、資金を投資家などから借り入れるために発行する有価証券の一種です。債券の発行ごとに利率や利払日、償還日などの条件が決められており、購入した投資家はその利子を受け取ったり、元本を返済されたりします。
債券は発行者の立場からすれば資金調達の手段ですが、投資家から見れば利殖のための投資対象といえます。
資金調達の手段としては「設備投資など長期運転資金等の調達に適している」「金融機関からの借入れよりも量的な対応や資金使途が自由」「増資に比べて将来資金の需要が減退すれば返済が可能」といったことで債券が用いられます。
一方利殖のための投資対象としては、一般に ①収益性 ②安全性 ③換金性 といった点が重要とされます。
- 収益性
債券は定められた最終の償還期日まで一定の利子を支払うことを約束する証券です。通常この利子は、その後の金利水準によって変動することはありません。この点は不動産や株式などのように、将来どれだけ収益がもたらされるかわからない投資対象とは異なってきます。
すなわち債券は計画的な資金運用の手段として優れた特性を備えているといえます。
- 安全性
債券は株式とは異なり通常満期日があり、その間に債券価格がいくらになろうとも、その期限になれば一般に額面金額で償還されます。また償還や利子の支払いが確実に行われるよう法律で様々な規定が設けられており、債券の利払い・償還の安全性が高められています。
- 換金性(流動性)
債券は満期までの間に途中換金が可能ですが、時々刻々とする金融情勢や債券の需給によって回収できる資金は減りもすれば増えもします。一般に信用力や知名度が高く、同一銘柄の発行額が多く、広範囲な投資家に保有されている債券ほど流動性が高くなっています。
- 債券はこれらの3つの点が優れているといわれますが、この3つのいずれもが高い債券はありません。例えばそのような債券があれば投資家の買いニーズが増え、価格が上がり、その結果収益性が下がってしまいます。
つまり、以上の3つの関係はトレードオフ(相反)の関係にあります。したがって投資家自身が債券に投資する際は、投資目的や期間、資金の性格に応じて、安全性・収益性・流動性のいずれに重点をおくかを決めることが重要になってきます。