2人はきっとまだ積立でしか考えられないと思うけど、前に「元本」には積立以外に、一度にお金を投じる「一括投資」があるという話をしたのを覚えているかな。今少しまとまったお金を預貯金などに持っている人が将来のための資産作りを考えようとする時、積立と一括の「合わせ技」という考え方をしてもいいという話をしておこうかな。2人にはまだ関係ないかもしれないけど、一応聞いといて。
こういうこと。
※一括投資は1年複利、積立投資は1ヵ月複利で運用を行なう計算。表示される結果は何らかの商品の運用成果などを約束するものではありません。また、手数料・税金等は考慮していません。
見方が難しいよね。説明します。
まず期間を20年に、そして目標金額は3,000万円に固定しています。今まではそれを今月からの積立でゼロから作ろうとしてきたわけだけど、この人は「将来の3,000万円大作戦」に対して、今手元にある300万円を投じてもいいと思っているわけだ。今300万円を投じた上で、君らと同じように今月から毎月の積立も始めるという合わせ技。
分かりやすくするために、同じ投資信託を買うってことにしている。つまり同じ「皮算用利回り」を適用している。
3%の列を見ると「一括投資分の結果」というところに542万円とあるよね。これは今投じた300万円が20年後には542万円になっているという意味。242万円も増えてくれて嬉しいね。でも、目標の3,000万円にはほど遠い。2,758万円も足りないわ。でももうこの人は20年分、歳をとってしまった。
それでは困るので、足りない分は今からの積立で補っていくしかない。ということで、その2,758万円を目標金額にした「必要積立額」を計算した結果が、黄色い枠内にある7.5万円ってわけだ。
分かったかな。この人は今300万円を投じると同時に、同じ投資信託で今月から7.5万円の積立をスタートし、その両方を20年間ずっと続ける。そうすると20年後に3,000万円を手にしていることになる――という皮算用のワンケースってことだ。
やや下品な言葉かもしれないけど「タネ金」っていう言い方があってね。この人は300万円のタネ金を持っているから、それがないであろう君らより有利な作戦が立てられるってこと。
でも今ってさ、何だか「積立ブーム」みたいになってて、業界の僕からするとすごく嬉しいことなんだけど、一方で少しまとまったお金の方は依然として預貯金に眠らせたままって人も多いらしいんだよね。
もちろん使うアテがあるお金やイザという時のための、俗に「生活防衛資金」と呼ばれるようなお金は絶対にこの「合わせ技」に使っちゃいけないんだけど、「投資信託には積立しかない」、「クレジットカードの引き落としでポイントをゲットしながらコツコツやるのが王道だ」みたいな固定観念が広まっているとしたら、それは少し違うよっていう話。
次ページへ>投資信託のリスクと費用について