このグラフは、あり得ないけどブレという意味でのリスク、前に話した「途中のリスク」ね、それがゼロのファンドの5年間の軌跡。それに毎月1万円ずつ積み立てていった場合の金額がグラフの中にある数字で、積立元本60万円、つまり月1万円・年12万円・5年で60万円という積立元本が、最後に75.5万円になったことを示している。
この5年間のリターンはわかるだろうか。10,000円の基準価額が5年で16,000円になっているのでリターンは60%だね。一般的には年率で表現するので、60%を5年で割って単利換算で年率12%、複利換算してみたら年率9.86%だった。この年率換算の話、覚えてるだろうか。そうそう、ルートとか何乗とかで話したやつ。
その年率9.86%のリターンをどの程度のブレで達成したのか、というのを測る考え方があって、それをシャープレシオと言うのね。覚えないでいいです。「リスク当たりリターン」という言い方もするかな。
シャープレシオは分母のリスク、つまりブレ方小さくて、分子のリターンが大きいほど高い数値になり、それが高い場合は、上に下にのストレスが少なくて、かつちゃんと上昇した「いい運用だった」ことを意味する。「このファンドの過去5年間の運用は優秀でしたね」と過去を評価するモノサシってわけ。
広範な業種や国に広く分散する指数のインデックスファンドに投資することは、このシャープレシオが高い世界に近づこうという行為だと思う。
だって、例えば1つの企業の株式に投資するのって、5年後に60%以上に上昇するかもしれないけど、途中の上下動はこんなに小さいわけないよね。もっと上に下にと激しく動くはずだ。シャープレシオは低いはずだ。でもS&P500なら500程度の銘柄に分散するし、オール・カントリーなら2千数百の銘柄に分散していることになるので、途中の上下動はそれよりは絶対に小さいだろう。それが分散を旨とするインデックスファンドへの投資ってわけだ。
でも、こと「積立対象」として考える場合、実は「シャープレシオが高いのがベスト」とは言えなくなる。これ、あんまり言われないことだけど、事実。
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