公募型株式投資信託では、受益者一人一人の個別元本に基づき、分配された収益に対して課税されます。(個別元本方式)
個別元本とは、既存の受益者が追加購入を行った場合や収益分配時に元本払戻金(特別分配金)を受け取った場合、分配金を再投資した場合に修正されます。収益分配時や換金(一部解約)時の税金を算出するうえでの税法上の元本です。
個別元本の計算方法
- 単位口数が10,000の銘柄の場合。
- 一部売却を行っても個別元本の修正は発生しません。
初回購入時
個別元本(1万口あたり)=買付約定単価
追加購入時
追加購入後の個別元本(1万口あたり)=(追加購入前の投資総額(※1)+追加購入にかかった投資額)÷追加購入後に保有している受益権口数量×10,000
- 追加購入前の投資総額=追加購入前の個別元本×追加購入前の受益権口数量
- 分配金を再投資した場合も追加購入時と同様に個別元本は修正されます。
特別分配金が払い出された場合(1万口あたり)
個別元本=個別元本-特別分配金
普通分配金とは…運用によって生じた配当金や利子、売買益などから保有口数に応じて配分される分配金のこと。普通分配金は原則、配当課税として課税対象となります。
特別配当金とは…追加型株式投資信託の分配金のうち個別元本を下回る部分から支払われる分配金のこと。元本払戻金(特別分配金)については非課税となります。
元本払戻金(特別分配金)の具体例
個別元本10,000円で買付をした投資信託が9,000円で分配落ちし、分配金を3,000円受け取った場合
解約(償還)により換金した場合の損益(譲渡所得)の計算は、解約(償還)価額から個別元本額を控除して求められます。
税金の算出
所得税額=(解約価額-個別元本)×所得税15.315%(※1)
住民税額=(解約価額-個別元本)×住民税5%
- 東日本大震災からの復興財源を確保するため、平成25年1月1日か平成49年12月31日までの25年間、復興特別所得税として所得税額に2.1%を乗じた金額が上乗せされます。
公募株式投資信託の「収益分配金」や「譲渡代金」が以下のように一定金額を超えた場合、「支払調書」が税務署宛に提出されます。
「収益分配金」
- 分配金(普通分配金・元本払戻金(特別分配金))
お取引において生じる上場株式等の配当金等の支払調書については、金額の多寡に関らず、全て税務署に提出されることになります。
- 解約差益・償還差益
1銘柄で1回に支払いを受ける解約・償還の金額が30万円を超える場合
お取引において配当所得が生じた場合、金額の多寡に関らず、「支払調書」が税務署に通知されます。
同様に、証券会社よりお客様のもとへ配当金等の受取明細を記した「支払通知書」が発行されます。
- 1月から12月までに受取った配当等の明細が、翌年1月中にお客様に発行されます。
- 特定口座にて配当等の受入れを選択されている場合は、支払通知書は発行されず、上場株式等の譲渡とともに特定口座年間取引報告書に記載されることになります。
公募株式投資信託の収益分配金は株式の配当と同様に配当所得に該当します。
そのため一定の要件を満たす株式投資信託は総合課税として確定申告をすれば配当控除の適用を受けることが可能です。
(特定口座への受入選択や確定申告の選択等により、配当金等を申告分離課税として申告なさる場合は、配当控除の適用を受けることができません)
一定の要件を満たす株式投資信託とは
配当控除の対象になるかどうかは、信託約款において規定される投資方針(株式の組入れ比率と外貨建て資産の組入れ比率の組み合わせ)により下記のようになります。
また、配当控除率もその組み合わせ、課税所得金額によって異なります。ご注意ください。
課税所得金額が1,000万円以下の場合の配当控除率
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- ( )内の数字は、課税所得金額等が1,000万円超で、かつ課税総所得金額等から配当所得を控除した金額が1,000万円超の場合の配当控除率です。
- 公募株式投資信託でも配当控除が適用されない場合がございます。投資信託の目論見書等でご確認ください。