2022年11月2日配信
積立投資家の皆様、本日もお疲れ様です。
楽天証券の山口です。
毎週水曜日の「元気が出るニュースレター【#積クラ通信】」をお届けいたします。
本ニュースレターでは、積立投資家のお客様に役立つ「資産形成がうまくいくヒント」をお伝えしてまいります。
さて、先週より、「実際に運用しながら取り崩しを続けていたら、最終的にどうなったのか?」について検証するため、過去のデータを用いた具体的なシミュレーションをお届けしております。
60歳時点で2,000万円の余裕資金があった場合の、下記3つのパターンについて振り返ってみましょう。
(1)運用せずに、毎月10万円を取り崩した場合
2,000万円÷120万円(毎月10万円×12か月)=約16.7年
2,000万円あった資金は、普通に毎月10万円ずつ使っていくと、16年程度、つまり76歳頃には無くなってしまいます。
(2)米国株式で運用した場合(取り崩し無し)
1992年10月:2,000万円で運用開始
↓
2022年10月:1億7,770万円
米国株式(S&P500)は、過去30年間で約9倍になっていますので、もし取り崩しを行わず純粋に運用を30年間続けていた場合は、資産も約8倍になります。
(3)米国株式で運用しながら、毎月10万円を取り崩した場合
1992年10月:2,000万円で運用開始
↓(毎月10万円取り崩し)
2022年10月:6,189万円
毎月10万円×30年で合計3,600万円と、元手の2,000万円を上回る資金を下ろしていたにも関わらず、最終的には資産が3倍になっているという結果に!
何も運用していなかった場合は、約16年で資金が無くなってしまっていましたが、運用を続けていると資産が尽きることはなく、むしろプラスになる結果となりました。
本日は、運用しながら取り崩していたケースの、途中の経過をのぞいてみたいと思います。
最終的にはプラスになっていたものの、運用は順風満帆だったのでしょうか…?
結論から申し上げますと、30年も運用を続けていれば、大きな谷底が数回は訪れます。
取り崩しに限らず、積立で資産形成を行っている方も、相場には常に波があるものだと思っていてくださいね。
まず、最初の谷は2000年~2001年頃のITバブル崩壊です。
1992年~2000年頃までは、株価は順調に成長を続け、取り崩しながらも資産は約2.5倍に。
しかし、ITバブル崩壊により、株価は約2年半にわたり下がり続け、気づけば資産が半分になってしまう、という事態となりました。
続いての谷は、2008年~2009年頃のリーマンショックです。
2003年2月の谷底から、4年ほどかけて株価が回復したものの、再びリーマンショックにより株価は谷底に。
2009年2月には、再び資産が1年半前に比べて半分以下になってしまいました。
上記の例の場合は、まだ運用開始のタイミングが良かったため、取り崩しながらも2,000万円程度キープ出来ているなら十分だ…と思われるかもしれません。
しかし、もし2000年や2007年頃から退職金などで運用を始めていたら、増やす間もなく運用直後に資産が半減してしまうことになります。
もちろん、その場合でも長期で運用を続けていれば、運用していなかった場合に比べ有利な結果にはなるのですが、下がっている時点では「運用などせずに預金で置いておくべきだった!」と思ってしまうことでしょう。
老後は他の収入でカバーすることも出来ませんから、まだ使ってもいないのに自分の資産があれよあれよと減っていくのを見ると、恐怖のあまりに運用資産を手放してしまうことに繋がりかねません。
さらに、積立であれば「下がった時に安く買う」といったことが自動的に実践できるため、下落時にも「安い時はチャンス!」と構えることができますが、取り崩しの場合はそうはいきません。
次回は、上記を踏まえ、運用しながら取り崩しを行う場合の注意点や秘訣についてお伝えしてまいります!
投資信託のリスクと費用について